人権尊重
人権デュー・ディリジェンス
東京電力グループは事業活動のすべての局面において人権を尊重します。自らの事業活動によって影響を受ける人々をはじめ、あらゆるステークホルダーの人権が尊重されるよう、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権DDの仕組みを構築しています。「自社」「連結子会社」「サプライヤー」を優先的に対応するスコープとして取り組みを推進しています。
東京電力グループ 人権尊重の仕組み
人権DDを優先的に対応するスコープ
人権方針に記載の人権課題を軸とした人権影響評価・エンゲージメントを実施しています
自社 | 従業員 | 2021年度に重要人権課題を「ハラスメント」「労働時間」「個人情報の適正な管理」と特定し、防止・是正策を推進・モニタリング中 |
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事業 |
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連結子会社 |
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サプライヤー |
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「自社(従業員)」の人権影響評価について
「自社(従業員)」に関する人権DDの実施にあたり、当社事業における負の影響の特定(人権影響評価)を行いました。社外の専門家に意見をいただきながら社内ルールや社員への意識調査結果、過去の訴訟事案や人権に関する相談・通報内容等を分析、人権課題を抽出し、「人権侵害の発生の可能性」、「人権侵害の規模」、「人権侵害が及ぼす範囲」、「人権の完全回復の不可能性」の観点から評価しました。
結果、「ハラスメント」、「労働時間」、「個人情報の適正な管理」の項目について特に負の影響が大きいと評価されました。この3つの課題については、かねてより対応をしていましたが、2022年度より、重要人権課題として、更に不適切事例の発生防止や発生した際の影響の最小化に重点的に取り組んでいます。
「自社(事業)」の人権影響評価について
2022年度は、3基幹事業会社9部門を対象に、以下のプロセスで人権影響評価を実施しました。
- ①人権方針でコミットメントを表明した具体的な人権課題を含む、企業実務上影響を与えうる25の人権課題をカバーした、人権尊重セルフアセスメント(約70問)の実施
- ②回答結果を踏まえ、外部専門家によるインタビューを実施し、各部門が潜在的な課題として認識している事項を把握
- ③①、②をもとに「人権侵害の発生する可能性」「人権侵害の規模」、「人権侵害が及ぼす範囲」、「人権の完全回復の不可能性」の観点から評価し、重要人権課題の抽出・優先順位付け、行動計画の策定
これまでの人権影響評価のカバー率
事業実態を踏まえ、各社経営層・人権委員会事務局にて以下の組織を選定し、人権影響評価を実施しました。
RP | 水力部、風力部 | 30.0% |
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PG | パワーグリッドサービス部、工務部、配電部、電子通信部、用地部 | 26.1% |
EP | 法人営業部、お客さま営業部、カーボンニュートラル部 | 30.5% |
人権課題の抽出と優先順位付けの結果、認識した課題に対する防止・是正策の検討・実施は100%行っていることが確認できましたが、以下については、負の影響が生じる恐れが新たに検知されたため、2023年度より防止・是正の対応を開始しています。
会社 | 内容 | 対応状況 |
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RP | 山間部にある水力発電所やダム設備ではトイレ環境が悪く、女性社員がトイレへ行くことをためらう場面があることを把握したため、ダイバーシティを意識した発電所内における施設の拡充に向け、女性社員を中心としたワーキングループによる環境改善を検討・展開。 | 上期:ワーキンググループ開催・改善策提示 下期:展開 |
PG | 外国人労働者も安全を自分事として捉え、リスクとして感じてもらうために、相手に「伝わる」伝え方が必要であることから、以下を防止・是正策として実施。
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展開中 |
EP | 太陽光発電パネルの調達リスクの懸念があることを踏まえ、太陽光発電による電力調達(FIT制度除く)の対応方針を策定し、方針に沿った対応を実施 | 2022年度方針策定、展開中 |
2023年度は、さらに範囲を拡大予定です。
「連結子会社」の人権影響評価について
- 2021年度に続き、2022年度は、人権方針の適用範囲であると同時に東京電力HDと基幹事業会社のサプライヤー・ビジネスパートナーである主要連結子会社38社を対象に、「人権尊重セルフアセスメント」(72項目-人権尊重の自社体制、サプライヤーに関する人権対応、人権方針でコミットしている9つの人権課題に関する状況や対応等)を実施しました。
- 連結子会社の会社規模、設立年や事業特性によって特徴があることを踏まえ、各社の状況を確認の上、課題を把握し、対策を立案・実施する必要があることから、2022年度より優先順位をつけて個別にインタビューを行っています。2022年度は7社を実施しましたが、東京電力グループが一丸となって人権尊重の推進を進めるために、2023年度は事業規模が大きい会社を優先して実施対象をさらに拡大予定です。3年で主要連結子会社を一巡する計画です。
- 2023年度には、各社に「人権担当」を設置してHDとの連携を強化するとともに、連結子会社各社の人権尊重の自立的な取り組みを促すために「東京電力グループ人権方針の取り組み推進ガイドライン」を策定しました。
連結子会社の人権尊重推進の仕組み
<参考>
「サプライヤー」の人権影響評価について
サプライチェーンにおける人権尊重を強化するため、「調達基本方針」に人権尊重の要素を追加し、「サステナブル調達ガイドライン」を2021年5月に策定しました。さらに「サステナブル調達ガイドライン」を適切に実施していることを宣言する「確認書」を提出いただくとともに、遵守状況確認のため「サステナブル調達アンケート」を実施する等、サプライヤーの人権尊重を徹底する仕組みを構築し、2022年度より対応を開始しました。
サプライヤーの人権尊重を徹底する仕組み
- サプライチェーンにおける人権尊重を強化するためPDCAサイクルを適用しています。
- 3年で一巡するPDCAサイクルとして運用します。
サステナブル調達アンケート実施結果
人権をはじめ、CSR、コンプライアンス、労働安全衛生、環境、リスクマネジメント、サプライチェーン全体での持続可能な発展と地域社会への貢献に関する約60問について、2022年度は約300社のサプライヤーに回答を依頼しました。
その結果、会社の規模が大きくなるほど、すべての項目で概ね均一に取り組んでいることが分かりました。
■全社に回答をフィードバック
回答いただいた全サプライヤーに、人権をはじめ、7領域について、以下の3つ値をレーダーチャートで結果を表示し、フィードバックを行いました。ベンチマークとして、全体平均、類似規模のサプライヤーの平均を示し、回答いただいた各サプライヤーが自社と比較ができるようにしています。
ベンチマーク用資料
ベンチマークとして以下の値を表示
- 「全体平均」
- 「貴社と類似規模の平均」
- 「貴社」
人権尊重に関する研修資料
サステナブル調達に関する約60の設問・7領域のうち、「人権」の領域については、今後取り組みの余地があることが確認されたことから、解説資料を作成し、各社での研修にお使いいたただけるようフィードバック時に添付しました。
資料では、サプライヤーを含むあらゆるステークホルダーを対象とした「人権に関する通報窓口」を紹介しています。
■対話の実施
サプライヤーに対する人権DDのスコーピングは、「責任ある企業行動のための OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づき、「セクター・事業特性」「製品」「地理的要素」の3つの観点で検討するとともに、UNEP FI Human Rights Guidance ToolやFTSE Risk Exposure等を活用・分析し、建設セクターを優先順位【高】と結論付けました。
課題 | 労働安全衛生、多重下請け構造による作業員の搾取、外国人労働者問題等 |
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2022年度は、「サステナブル調達アンケート」の回答状況を踏まえ、6社とエンゲージメントを実施しました。
その結果、特に小規模事業者はリソース面で対応が後手に回っていることが判明しました。
当社としては、以下の取り組みにより自社サプライチェーンにおける人権DDの必要性について働きかけ、フォローしてまいります。
取り組み内容 | 期待される効果等 |
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サステナブル調達アンケートの結果の個社別フィードバック | 自社の強み・弱みを客観的に認識 |
人権尊重の資料の配布(方針・通報窓口の周知) | 東電グループの人権尊重の姿勢についての理解促進 |
継続的なエンゲージメントの実施 | コミュニケーション強化と潜在リスク把握、人権DD実施要請 |