自然との共生・生物多様性
尾瀬国立公園と東京電力
尾瀬国立公園における保全活動 <GRI304-1, 304-3>
群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがる尾瀬ヶ原及び尾瀬沼を中心とする尾瀬は、高層湿原を主体とする湿原としては日本最大級、900種を超える植物、160種の鳥類、40種のトンボなど豊かな動植物と変化に富んだ地形により学術的にも貴重な生態系から成り立ちます。2005年にラムサール条約湿地(基準:1、高層湿原・淡水湖、湿地タイプ:U,O、登録面積:8,711ha)として登録されました。
当社はこの地域に16,334haの土地を保有しています。このうち尾瀬国立公園に該当するエリアは公園の約4割、特別保護地区(ラムサール条約登録湿地)の約7割(6,277ha)に及びます。これらの土地は当初は発電用地として、発電所建設計画撤回後は水源涵養林として保有し、およそ60年にわたり地域のパートナーとともに生態系の回復と保全活動に取り組んでいます。1995年の尾瀬保護財団設立後は同財団の参加メンバーの一員として、地域の皆様と共に尾瀬の自然保護や環境施策の促進を進めるとともに、尾瀬利用者への適正利用の働きかけ等を進めています。
尾瀬希少種リスト <GRI304-4>
ラムサール条約湿地情報票(RIS)より 学名 (英名) [レッドリスト※1] |
和名 [レッドリスト※2] |
---|---|
植物(flora)11種 | |
Nuphar pumilum [(VU)] | オゼコウホネ [(VU)] |
Chara globularis [(CR)+(EN)] | カタシャジクモ [CR+EN] |
Amitostigma kinoshitae [(VU)] | コアニチドリ [VU] |
Iris laevigata [(VU)] | カキツバタ [NT] |
Cirsium homolepis [(VU)] | オゼヌマアザミ [VU] |
Pogonia japonica [(VU)] | トキソウ [NT] |
Habenaria sagittifera [(VU)] | ミズトンボ [VU] |
Drosera anglica [(VU)] | ナガバノモウセンゴケ [VU] |
Viola kamtschadalorum [(VU)] | オオバタチツボスミレ [NT] |
Carex nemurensis [(VU)] | ホソバオゼヌマスゲ [NT] |
Utricularia uliginosa [(VU)] | ムラサキミミカキグサ [NT] |
動物(fauna) | |
鳥類 [Birds] 12種 | |
Aquila chrysaetos japonica(Golden eagle)[(EN)] | ニホンイヌワシ [EN] |
Spizaetus nipalensis orientalis(Hodgson's hawk-eagle) [(EN)] | クマタカ [EN] |
Accipiter gentilis (Goshawk) [(VU)] | オオタカ [NT] |
Falco pergrinus japonensis (Peregrine falcon) [(VU)] | ハヤブサ [VU] |
Pericrocotus divaricatus (Ashy minivet) [(VU)] | サンショウクイ [VU] |
Lanius tigrinus Drapiez (Thick-billed shrike) [(VU)] | チゴモズ [CR] |
Emberiza yessoensis (Japanese reed bunting) [(VU)] | コジュリン [VU] |
Gorsachius goisagi (Japanese night heron)[(NT)] | ミゾゴイ [VU] |
Pandion haliaetus(Osprey) [(NT)] | ミサゴ [NT] |
Pernis apivorus (Honey Buzzard) [(NT)] | ハチクマ [NT] |
Accipiter nisus (Sparrow hawk) [(NT)] | ハイタカ [NT] |
Lanius cristatus (Brown shrike) [(NT)] | アカモズ [EN] |
昆虫類 [Insects] 1種 | |
Nehalennia speciosa [(NT)] | カラカネイトトンボ [指定なし] |
- ※1
ラムサール条約登録時(2005年11月)における環境省レッドリスト
- ※2
2024年11月現在における環境省レッドリスト(2020年3月公表)
CR+EN: 絶滅危惧Ⅰ類
CR: 絶滅危惧ⅠA類
EN: 絶滅危惧ⅠB類
VU: 絶滅危惧Ⅱ類
NT: 準絶滅危惧種
尾瀬における自然資本の活用事例
当社にとって尾瀬はステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションの場でもあります。特に、小中学校等の次世代層を中心に、尾瀬の貴重な自然を体験し、自然保護や生物多様性の重要性について学んでいただくため、環境教育支援活動を実施しています。
近年では、専門学識者監修のもと、尾瀬の自然環境と周辺地域社会をフィールドに、次世代層や社会人を対象とした課題解決型の環境学習プログラムを独自に企画した「尾瀬SDGs探究型スタディツアー」を展開しています。
また、2022年4月、尾瀬が立地する群馬県片品村が環境省「尾瀬かたしなゼロカーボンパーク」 に登録され、東京電力グループがその運営をサポートしています。具体的には、脱炭素社会の実現に向けた国立公園とその周辺施設の再エネ活用と電化促進、サステナブル・ツーリズム等を地元と協働で進めています(詳細は、「TEPCO BIODIVERSITY REPORT 2024」をご参照ください)。