よくあるご質問
人体への健康影響について
A1 強い磁界を一度に浴びることにより、体への悪影響が現れることが科学的に明らかになっています。これを短期的影響と言います。導体である金属を変化する磁界が通過すると、金属内部に誘導電流が流れます。同じように人体が強い磁界を浴びると、体内にわずかですが誘導電流が流れ、これが筋肉や神経に“ピリピリ“や”チクチク“といった刺激作用を起こします。しかし、5,000マイクロテスラ以上という強い磁界を浴びることは、日常生活ではありえません。
A2弱い電磁波を日常的に浴びることによる体への影響のことを長期的影響と言います。がんや小児白血病を含む様々な疾病に関する仮説がありますが、科学的に明らかになっているものはありません。
A3電磁波は、容易に人体を通過することができますが、発生源がなくなると同時に体内からも消えてしまいます。ダイオキシンやアスベストような化学物質とは違い、体内に取り込まれ蓄積することはありません。
A4電力設備や家電製品から生じる電磁波は、周波数が低く、エネルギーが非常に小さいため、遺伝子を傷つける力はありません。
A5世界中の研究の中には、「悪影響があるのではないか」との結果を示しているものもいくつかある一方、「影響はない」という結果を示しているものも数多くあります。そのため、WHO等の中立公正な国際機関は、一部の研究だけではなく、多くの信頼できる研究結果を総合的に評価しています。WHOは、「悪影響があるのではないか」との研究結果も考慮に入れたうえで、「長期的影響は科学的証拠が不十分」との評価を行っており、日本でもそれに基づき「長期的影響の可能性を考慮した規制は科学的合理性がなく不適切」との評価が行われました。
A6国内外で行なわれた疫学研究の中には、そのような結果を示している研究もありますが、動物実験や細胞実験では、電磁波の発ガン性はほとんどが否定的であり、「0.4マイクロテスラ以上で」という説は、科学的に証明されているものではありません。
国内では、国立環境研究所が実施した疫学研究結果が、「生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究(第2期成果報告書)」として公表されています。
また、この研究の評価結果が、文部科学省のホームページに公表されています。
この結果は、0.4マイクロテスラ以上で小児白血病のリスクが高くなるというものでしたが、文部科学省はこの研究結果について、症例数が少ないこと、他の交絡因子の影響の除去が適切であるか不明であること等から「優れた研究であるとは言えない」と評価しています。
A7電磁波過敏症という言葉には明確な定義はありませんが、一般的には「電磁波の発生源である送電線、家電製品、携帯電話やパソコン等に近づくと、頭痛、めまい、疲労などの症状が出ること」をいいます。
しかし、国際的に実施されたほとんどの研究では、そのような症状が電磁波に起因するとの結果は認められていません。
・WHOは電磁波過敏症に関して、ファクトシート296(2005年12月)で、「症状が電磁波と関連するような科学的根拠はありません」と示しています。
・米国電気電子学会(IEEE)の「人と放射線に関する委員会(COMAR)」が電磁波過敏症に関する報告をホームページに掲載しています。
現在までの症状を誘発させる試験結果は、症状が電磁波に関係していないこと、電磁波過敏症患者も電磁波の検知という点では健康な人とほとんど差がないことをはっきりと示唆しています。
身のまわりの電磁波について
A1 電磁波による影響は蓄積されませんから、浴びる回数は関係ありません。したがって、2回使ったからといって2倍の影響があるということにはなりません。
A2IHクッキングヒーターでは、一般の家電製品と同じ50ヘルツの電気をより高い周波数(2万~9万ヘルツ)に変換して加熱しています。したがって、調理中には、一般の家電製品と同じ電源からの電磁波と、加熱部分からの電磁波の2種類が同時に出ています。
A3他の家電製品と同様に、ガイドライン値を大きく下まわっていることが確認されています。なお、医療用ペースメーカーなどをお使いの方は、念のため医師とよくご相談ください。
A4電子レンジの中で食品を温める電磁波はマイクロ波という種類の“電波”です。この電磁波には、発熱作用がありますが、電磁波そのものが食品に残留することはありません。また、法規制に基づき電磁波が外に漏れないような設計となっています。詳しくは各メーカーやJEMA(日本電機工業会)のホームページ等をご覧ください。
A5携帯電話の電磁波は電子レンジと同様、マイクロ波という“電波”です。この電磁波には発熱作用がありますが、携帯電話は法規制に基づき人体に影響がないレベルとなるような設計となっています。詳しくは各メーカーや総務省のホームページ等をご覧ください。
WHOの付属機関であるIARC(国際がん研究機関)は、携帯電話を発ガン性評価結果として、「人に対して発がん性があるかもしれない」というグループ2Bに分類しました(2011年5月)。
なお、グループ2Bとは、人への発がん性を示す証拠が限定的であり、動物実験での発がん性に対して十分な証拠がない場合に用います。他にコーヒー、漬け物などがあります。
A6東京電力パワーグリッドが設置するスマートメーターの電磁波は、総務省が示している指針値を十分に下まわっていることを確認しており、世間一般的に使用されている携帯電話等とも同じ程度の値であることから、人体への影響を与える可能性は極めて低いと言われています。
電力設備からの電磁波について
A1電磁波の大きさは「電流の大きさ」と発生源からの「距離」によって決まります。送電線や変電機器等の電力設備のすぐそばでは電磁波の値は大きいですが、私たちがふだん生活している場所とは数メートル以上離れているので、身近な家電製品と同じレベルかそれ以下のレベルになります。
A2電磁波の大きさは「電流の大きさ」と「発生源からの距離」によって決まるので、「電圧の高さ」は関係ありません。電圧の高い設備は、私たちがふだん生活している場所からずっと離れたところに造られていますから、大きな電流が流れても、電磁波の大きさは一般の電力設備と同じレベルです。
A3電力設備を流れる電流の大きさが変わるのに比例して、電磁波の大きさも変わります。設備の利用状況は常に変化しますが、たとえば、電気がたくさん使われる夏の昼間や冬の夕方に大きくなることがあります。
A4電力設備から発生する電磁波の大きさは、身近な家電製品を同じくらいであり、国際的なガイドライン値や国の規定値である200マイクロテスラを大きく下まわるレベルです。
A5蛍光灯は電気につながなくても、周辺に電界があると光ることがあります(電磁波は関係ありません)。これは単なる物理現象であり、人体への影響とは関係ありません。なお、送電線の下だけでなく、乾いた布でこすった場合でも同じように電界(静電気によるもの)が発生しますので、光ることがあります。
【蛍光灯が光る原理】
蛍光灯は、電極(フィラメント)に通電することにより放出された電子が、電極間の電圧(電界)により加速され、管内の水銀原子に衝突します。この時発生する紫外線が、管壁に塗布されている蛍光体を照射して発光します。
送電線の下には電界が発生しているため、そこに蛍光灯を置くと、管内に存在する少量の電子が送電線による電界で動きだし、管内の水銀原子にぶつかって、発光する場合があるのです。
A6特殊な金属で全面を覆えばできないことはありませんが非常に大がかりな工事が必要であり、住宅では現実的ではないでしょう。なお、距離が離れるほど、電磁波は小さくなります。
A7日常生活における電磁波の長期間ばく露と小児白血病との関連については、WHOは因果関係と見なせるほど強くないと結論づけています。
海外における規制基準について
A1日本では、「電気設備に関する技術基準を定める省令」により電界の大きさは国際的に見ても厳しい規制があり、規制値は3キロボルト/メートルとなっています(第27条)。一方、磁界については、同省令により、国際的なガイドライン値が採り入れられ、50・60ヘルツの商用周波数でいずれも200マイクロテスラとなっています(第27条の2)。
A2電界は、静電誘導による人の感知を防止するなどの目的から、様々な国で規制値を定めています。一方、磁界は、一部の国で規制値を定めており,その根拠としてICNIRPガイドラインを採用していたり、あるいは独自に定めていたりまちまちです。また、アメリカでは国レベルの規制はありませんが、州レベルでは規制を設けているところもあります。
規制:法規に基づいた義務的な基準
レベル
組織名/国名
制定年
電界(50ヘルツ)
磁界(50ヘルツ)
[キロボルト/メートル]
区分
[マイクロテスラ]
区分
国際レベル
ICNIRP※1
2010年
5
ガイドライン
200
ガイドライン
国レベル
日 本
1976年(電界)
2011年(磁界)3
規制
200
規制
韓 国
1988年
3.5
告示
83※2
告示(2004年)
米国※3
-
-
-
-
ドイツ
2013年
5
規制
100
規制
スイス
2000年
5
規制
100※4
規制
フランス
2001年
5
規制
100
規制
スウェーデン
2002年
5
勧告
100
勧告
イタリア
2003年
5
規制
100※4
規制
英国※5
2011年
9
基準
360
基準
ガイドライン・勧告・基準:法的な拘束力を持たない自発的な基準・方針
告示:法的拘束力あり
※1 ICNIRPはWHOの環境保健クライテリアNo.238の発刊を受けて、新しいガイドラインを2010年末に発行しました。それまでの磁界のガイドライン値(1998年)は100マイクロテスラ(50ヘルツ)、83マイクロテスラ(60ヘルツ)でした。
※2 韓国は、商用周波数は60ヘルツです。
※3 米国には国レベルの規制はありませんが州レベルでは規制を設けているところもあります。
※4 スイス、イタリアでは本規制値(ばく露制限値)以外に住宅、病院、学校等の特に防護が必要な場所において、設備に対して念のための政策に基づいた磁界の放出制限値(スイス:13マイクロテスラ、イタリア:3マイクロテスラ)を設定しています。念のための政策(Cautionary Policies)についてはWHO背景説明資料「電磁界と公衆衛生:コーショナリ政策」(2000年3月 )に解説があります。
※5 英国の基準は自主的実施基準であり、旧ICNIRPガイドラインから独自に換算した値に基づいています。
【出典】電磁界情報センター「ジェイクくんのなっとく!電磁波 解説集」
A30.4マイクロテスラという安全基準値はありません。
国際的な電磁界に関する基準の一つとして、WHOの協力機関であるICNIRPガイドラインが、周波数ごとにガイドライン値を示しており、一般公衆に対して電力設備、家電製品(50ヘルツ、60ヘルツ)で200マイクロテスラ、IH加熱用(2万~9万ヘルツ)で27マイクロテスラとしています。
<参考>1マイクロテスラ(μT)=10ミリガウス(mG)