専門機関の評価
電磁界の健康への影響に関する問題については,国内外の専門機関が総合的な評価を行っており,総じて「電力設備や家電製品など居住環境における電磁界が人の健康に有害な影響をおよぼすとは認められない」という報告となっています。
下表に主な専門機関において総合評価を行った結果の概要を紹介します。
【専門機関の評価の概要表】
国内外の専門機関「報告書」(発表年) | 見解・結論の要点 |
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世界保健機関(WHO) |
50ガウス(50,000ミリガウス)以下の50/60ヘルツ磁界では有害な生物学的影響は認められていない。 |
環境庁(現環境省) |
WHO刊行の2文書(1984,1987)の内容を超える資料はない。極低周波電磁界の生体影響に関しては従来の知見をとくに修正する必要はないと結論できる。 |
通商産業省(現経済産業省) |
現時点において、居住環境で生じる商用周波磁界により人の健康に有害な影響があるという証拠は認められない。 |
環境庁(現環境省) |
1992年のレビューと同じく、WHO刊行の2報告に示される極低周波電磁界の生体影響に関するこれまでの知見を修正するに足る報告はない。 |
全米科学アカデミー |
居住環境での電磁界の曝露が,ガンや神経,行動への有害な影響,あるいは生殖,成長への影響を生じさせることを示す一貫した証拠は何もない。 |
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP) |
一般公衆の50ヘルツ磁界曝露制限のガイドラインを1ガウス(1,000ミリガウス)とする。 |
米国EMF-RAPID計画 |
電磁界の曝露が,何らかの健康リスクを提起するということを示唆する科学的証拠は弱い。疫学研究の知見を完全に無視することはできないが,電磁界が真に健康に危険であるという確率は小さい。 |
英国放射線防護局(NRPB) |
実験研究では,極低周波電磁界がガンを引き起こすことを示す十分な証拠は得られておらず,疫学研究でも,極低周波電磁界が一般にガンを引き起こすことは示唆されていない。 |
国際がん研究機関(IARC) |
極低周波(ELF)磁界をコーヒーや漬け物などと同じ「人に対して発がん性があるかもしれないグループ(グループ2B)」、静磁界,静電界および極低周波(ELF)電界をコレステロールやお茶などと同じ「人の発がん性に関して分類できないグループ(グループ3)」に分類。ただし、疫学的証拠は限定的で、選択バイアス*の影響の可能性が残ることや、動物実験での証拠は不適切であることを指摘している。 [分類](2014)
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世界保健機関(WHO) |
極低周波磁界は、人に対して発ガン性があるかもしれないと分類されたが、極低周波磁界への曝露と小児白血病との間に観察された関連性について、他の説明がある可能性も残る。特に、疫学研究における選択バイアスの問題や他の種類の電磁界曝露については厳密に分析するに値する。 |
電気学会(電磁界生体影響問題調査特別委員会) |
通常の居住環境における電磁界が人の健康に影響を与えるとは言えない。 |
世界保健機関(WHO) |
100マイクロテスラよりもはるかに高い磁界への短期的な曝露は、神経・筋肉への刺激等の生物学的影響が生じるため、国際的なガイドライン(ICNIRP等)を採用すべきとしている。 低いレベルの磁界の長期的な曝露と小児白血病との関連性は、因果関係があると見なせるほど強いものではないため、以下を推奨している。
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国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP) |
〔短期的影響〕 〔長期的影響〕 |
<参考>1マイクロテスラ(μT)=10ミリガウス(mG)