新潟本社

電源と冷やす機能の多重化・多様化

原子炉と使用済燃料プールを冷やし続けるためには、すべての電源がなくなった場合に備えて、冷却用の水を供給するポンプや水源も必要です。
福島第一原子力発電所事故では、すべての電源を失い、原子炉冷却に必要な重要な設備を冷やすための海水ポンプも津波の影響で使えなくなりました。
これにより、1~3号機は原子炉を冷やし続けることができず、炉心溶融に至りました。
また、その過程で大量の水素が発生し、1,3号機の原子炉建屋ならびに3号機と繋がっている4号機の原子炉建屋が水素爆発で壊れました。
柏崎刈羽原子力発電所では、このような重大な事故に進展するのを防ぐため、原子炉と使用済燃料プールを冷やし続けるための多様な注水設備や手段を確保しました。
さらに、消防車の運転やホース等の敷設等については、緊急時にすみやかに対応できるよう、当社社員が日々訓練を重ねています。

電源の多重化・多様化

原子力発電所の安全確保に必要な電源を失う場合を想定し、電源確保の手段を多重化・多様化します。

多重化:バックアップのために同じ設備を複数設置すること
多様化:バックアップのために原理の異なる対策を複数用意すること

非常用ディーゼル発電機

非常用ディーゼル発電機

運転中の原子力発電所で、何らかの異常により発電所内への電力供給が停止した場合、その際起動され発電所内で必要な電力を供給する発電機です。

空冷式ガスタービン発電機車 (GTG)

空冷式ガスタービン発電機車(GTG)

空冷式ガスタービン発電機車は、軽油の燃焼ガスでタービンを回して電気を作る発電機を搭載した車です。発電所内のすべての電源が失われても、原子炉を冷却する機器などへ電気を供給するための代替手段を用意しています。

地下軽油タンク

地下軽油タンク

発電所構内の津波の影響を受けないガスタービン発電機車付近の地下に5万リットルの軽油タンクを2基設置し、燃料である軽油を供給します。

電源車

電源車

電源車は、必要な時に必要な場所に移動して電気を供給する車です。発電所構内の津波の影響を受けない海抜35mの高台に、合計20台を分散して配備しています。

緊急用高圧配電盤

緊急用高圧配電盤

プラント本来の非常用電源(外部電源、非常用ディーゼル発電機)が使えない際の対策として 緊急用高圧配電盤を設置しています。

注水・冷却手段の多様化

地震や津波などで原子炉を冷やす複数の冷却設備が同時に機能を失う場合を想定し、原子炉の炉心が損傷する重大事故(シビアアクシデント)を防ぐため、冷却機能の復旧や代替する設備を整備します。

消防ポンプ車

消防ポンプ車

消防ポンプ車は、発電所が全ての交流電源を失って、電動の注水設備が使えなくなったとしても、原子炉等を冷やし続けるために、注水機能を確保する車です。

貯水池

貯水池

原子炉等を冷やす機能の更なる強化として、大量の水を確保するため海抜約45mの高台に淡水貯水池を設置しました。貯水容量は約2万トンです。緊急時には、消防ホースと消防車を接続してプラント近傍まで水を送ります。

高圧代替注水系(HPAC)

高圧代替注水系(HPAC)

原子炉圧力容器から発生する蒸気を駆動源にしてポンプを回し、原子炉へ注水する設備で、全ての電源を失った時(全交流電源喪失時)の注水機能を補完します。

代替海水熱交換器車

代替海水熱交換器車

代替熱交換器車は、緊急時に高台から各号機まで移動し、仮設の海水ポンプを使用し、圧力容器、格納容器及び使用済燃料プールを冷却する役割の車です。

それでも冷やすことができなくなった場合

発電所では、炉心損傷に至るような重大事故に進展することがないように、幾重にもわたる対策を実施していますが、炉心の著しい損傷が発生した場合においても、原子炉格納容器の破損を防ぐための対策に取り組んでいます。