新潟本社

第2回 柏崎刈羽原子力発電所 核物質防護事案に係る改善措置評価委員会

1.日 時  2023年12月4日(水)09:00~11:30

2.場 所  柏崎刈羽原子力発電所 ビジターズハウス2階 第二会議室

3.出席者

○柏崎刈羽原子力発電所 核物質防護事案に係る改善措置評価委員会
 委員長    伊丹 俊彦
 副委員長   大場 恭子
 委員     新野 良子
 委員     伊藤 聡子
 委員     開沼 博
 オブザーバー 水谷 良亮(柏崎刈羽原子力発電所 発電所長補佐)

○東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力)
 代表執行役社長              小早川 智明
 原子力・立地本部長            福田 俊彦
 原子力運営管理部長            山田 清文
 柏崎刈羽原子力発電所長          稲垣 武之
 柏崎刈羽原子力発電所セキュリティ管理部長 堀川 健
 核物質防護モニタリング室長        大槻 雅久

4.議事次第

  • (1)

    委員長、東京電力HD社長のご挨拶

  • (2)

    第一回委員会以降の主な活動内容について
    核物質防護モニタリング室長 大槻より、資料を用いて説明した。

  • (3)

    委員会からの評価・提言の伝達
    主な評価・提言は以下の通り。

  • <項目①:東電と協力企業との連携>
    ※多くが項目①②共通として頂戴したご意見

(伊丹委員長)

  • 挨拶の重要性についての浸透活動が始まり、良好なふるまいが増加した一方で、未だ挨拶や声掛けが出来ていない運転員、職員もいるとのこと。アンケート結果から警備側と警備される側の意識のギャップもあり、挨拶の意味について、深い理解を浸透させる活動を通じて改善していく必要がある。

  • LED照明装置不点灯の問題では、原因として警備員との情報連携、コミュニケーション不足が挙げられており、情報連携の見直し・強化が必要である。

  • 協力企業にも様々な方がいらっしゃるので、きめ細かく、遺漏なく必要なことを伝達してほしい。

(大場副委員長)

  • 発電所上層部と協力企業の上層部の関係は、縮まっていると評価できる。一方、発電所上層部以外の所員や、協力企業も二次下請け、三次下請けに対しては、まだ課題がある。さまざまなメッセージの発信等も評価できるが、そのメッセージが受け止め側から見て、ワンボイスになっているのかをより強く意識して頂きたい。

(新野委員)

  • 協力企業の方との距離感が改善されているとの感触は大いに受けている。だが、インタビューを通して、まだまだ情報共有の内容・タイミングが精査されていない印象。全体像と趣旨を伝える必要があるが、その手順が踏めているかということ。どこかが欠落すると伝わらないし、企業側の遠慮も考えられ、東電が汲み取って意見を出し合う必要がある。

(伊藤委員)

  • 所長ブログなど、発信は行われているが、見る側が見ているかどうかまで把握したうえで、同じ認識に立って一体感を持つことが必要。

  • インタビューでは警備員同士でも会社が違うと会話がないとのことであり、同じ現場で同じ仕事をしているのに、この関係性では問題が起こる温床となり得る。会社単位で連携して頂きたい。

(開沼委員)

  • インタビューで、元請業者はワンチーム化が出来ているが二次請負・三次請負はまだという回答があった。ルールの腹落ちが出来ていないような声もアンケートで見られた。伝言ゲームになったときが課題であり、ワイガヤや対話会等を通じて浸透度を確かめていくことが重要。

<項目②:東電社内の部門間の距離感>

(大場副委員長)

  • トップの行動を通じて、PP部門を軽視する風土はなくなり、尊重されるべきことが所員に伝わっていると評価できる。一方で、ヒアリングでは、人やお金がPP部門に投入されたことにより、結果としてそれ以外の部門にしわ寄せが行っているとの発言もあり、懸念がある。

(開沼委員)

  • PP部門に問題があるからこそ手厚く対応し、改善してきたことは良い結果。しかし、それでもまだ一部の要員に業務が集中するとの声や、実際に不適合が発生している現実がある。インタビューで「なぜそれが起きるのか、KKだから注目されていると考えるか?」と問うと、まだ言語化できていないようだった。改善が見られるものの、根源を取り除くには至っていない状態であり、さらなる対応を検討頂きたい。

<項目③:地域内外とのコミュニケーション>

(伊丹委員長)

  • 広報がまとめたアンケート結果によると、「次から次に不適切事象が起きると応援しにくくなる」という声があった。このような事象が無くなること自体が最大の広報であると認識すべき。

  • 次世代の人たちへの理解をもターゲットに考えてほしい。親子の催し物に参加する親世代だけでなく、子供たちにも東電や発電所がやっていることを理解してもらう取組みを検討すること。

  • サイレントマジョリティーとの接点創出を検討してほしい。いろいろと意見を出していただいている方々だけではなく、それ以外の方々のご意見などをも踏まえないと全体の真意が見えづらくなるおそれがある。

(大場副委員長)

  • すべての方に同じように理解されることはできない。地元といっても、PAZ内、立地市村、隣接市町村、UPZなどさまざまあり、これらと県、TEPCO管内、国全体等、分けながら、「この地域の方には何を伝えたいか。何を理解してほしいか。」といった目標を定めてもよいのではないか。

  • 東電が伝えたいことではなく、相手が知りたいことを伝えるべき。東電の説明は、突っ込まれない伝え方を意識するあまり、本来伝えるべきことが伝わらなくなってしまっていることがある。

  • 一般の方からすれば、原子力は、その仕組みがよくわからない。そのため、そこで働いている「人」、自分が接した「人」がどういう方なのかが原子力のイメージに繋がることが少なくない。「あの人がいるなら大丈夫」と思われる人材の育成をしてほしい。

  • 東電が持つ良い部分も維持したまま、挨拶運動のようなある種の“泥臭さ”を含めた等身大を見せていくことが必要だと思う。

  • 柏崎への本社機能移転では、建設予定の本社社屋を単に東電にとって運営しやすいものとするのか、それとも地域住民が行きたくなるようなものと設計するのか、その仕上がりによって東電が地域をどう考えているかが伝わる。また、こうした社屋のあり方を含め、地域の声が聞こえる仕組みを作ってほしい。「東電がここにいるからこれができた」というものを生み出せるものを考えてほしい。

(新野委員)

  • 情報収集先を多角的に増やすべき。新潟県は広く、地域で文化風土が異なり、ひとつの事象への捉え方が異なる。柏崎刈羽も県内から見ると独特である。

  • 広報については1部門では収まりきらない。トップ層で目標があって、それが各部署や部門を覆うような姿を目指すべき。広報の位置づけと認識の違いが大きな結果の違いを生むため、価値観、認識の違いを社内で統一する必要がある。

  • トラブル時のメディア対応等において説明者が末端のことまで瞬時に答えられるようにするには、縦横多岐にわたって情報を持っている必要がある。これを叶えるため、末端の情報を持つ者も速やかに情報を上げるべき。

  • 一対一での対話は非常に大事で、東京電力に対して批判的な意見を述べる方々も冷静でいろんな情報を持っている。一面だけを見ずにいろんな側面から対話すること。

  • 率先した対話と、伝え続ける姿勢が重要であり、PPだから情報を全部出せない、ということもないはず。当事者の東京電力が努力して、地域に寄り添って情報の出し方を研究してほしい。

(伊藤委員)

  • 地域の方にとっては、東京から来た大きな会社が、原子力発電というよくわからないものを扱っているのは、壁の向こうの世界のように思われる。過剰なくらいに寄り添う必要があり、そこに「心」があるかどうかを地域の方は見ている。「突っ込まれないように」という説明では心が見えない。

(開沼委員)

  • どうしても地域の視点、外の視点が欠けてしまいがち。伝えたいことを伝えるだけでなく、伝わっているかどうかまで確認する必要があり、具体的な対応を考えてほしい。

  • ALPS処理水の説明会を数多く実施していることが伝わっていないのと同じで、例えば対話会もワイガヤも東電が自分たちで取り組んでおり、手触り感がある取組みを見せていくことも必要。ある種パフォーマンスと言われるかもしれないが、そもそもやっているということ自体が伝わっていない。

<項目4:一過性にしない取組みに対する総括評価>

(伊丹委員長)

  • モニタリング室の創設等一過性にしないための取組みのシステムは出来た。今後は、それを形式的なものにせず、実効性のあるものとして運用していく必要がある。委員会として、その運用をしっかり見ていきたい。

  • 例えば挨拶の目的は「自分が安全な人間であることを示すこと」に他ならない。自分たちの仕事・行動が発電所にとってどのような意味があるのか、社員一人ひとりが今一度考え直して欲しい。

  • ゆとりのない中で仕事をすると問題が生じる。忙しさの中では仕事の質は落ちる。リソース問題の検討や業務効率化をなお一層進めてほしい。

  • 協力企業の方々に東電は素晴らしい会社だと思って頂いて、それを伝えてもらうことも重要な広報活動。そのような草の根的な活動も忘れてはならない。

(大場副委員長)

  • 「運転しないほうが楽なのでは」「運転して何かトラブルがあったらと思うと恐怖がある」という社員の声がある。これを踏まえて、改善を進める必要がある。

  • ワンボイスで伝えようとしているのはわかるが、ブログでもポスターでも実際の業務プロセスでも、一貫してワンボイス“に”伝わるコミュニケーションを検討頂きたい。

  • 多方面から考えることが重要で、本社機能移転の例でも、どうすれば自分たちがやりたいことが伝わるのか貪欲に出来ることをやってほしいし考え続けてほしい。考え続けることは、人や文化の至らない点を埋められることに繋がる。

  • 仕組みを作ることは大事だが、作ったもののよくなかった仕組みもあるはず。加えて、仕組みの積み重ねで良かったはずのことを削いでしまっていないかにも目を向けてほしい。

(新野委員)

  • 顔を合わせたコミュニケーションを継続すること。シンプルでいいので継続性をもたせること。

  • 隠ぺい体質が不祥事を生むため、包み隠さず情報を出すこと。どのように情報を出せるか考える努力をすること。そして、努力しているという経過報告も見せること。

  • 風評被害が生じるのは情報不足からであり、原子力分野は地域への情報共有を大事にしてきたばかりに、国民全体には伝わっていない。基礎の情報は子供も含めて全国へ伝えるべき。

  • 関心がない人に対しては、中高生が分かる程度の表現にすること。また、住民・国民をステークホルダーとして対応すること。

(伊藤委員)

  • コミュニケーションがまだ足りていない。小早川社長も稲垣所長も発信しているが、現場レベルで腹落ちしておらず、共有もされていない。これだけ注目されているのにトラブルが繰り返されるのは、組織として負のスパイラルに入っているのではないか。MITのダニエル・キム教授が提唱しているのは、結果から入ることはいけないという考えで、東電で言えば、不祥事の結果を見て責任の押し付け合いが始まると一人一人のやる気が失われ、同じことが繰り返されてしまう。一方で、よい組織は関係性をよくすることから始めていて、互いにやる気が出て良い行動にも繋がる。まずはお互いに顔が見えて情報を出し合える関係性作りが大事。

  • 日本航空も経営破綻をしたときに何をしたかというと、まずはボトムアップ。まずは現場レベルで社会に果たす役割を話し合って、現場からフィロソフィー手帳として共有した。広報の話も同じで、トップが何かを決めて伝えるだけでなく、社員一人一人が普段の生活の中で、地域のことを大事にしているということが伝わるのが重要。

  • 一過性のものとしない取組みのための社内チームを作るべき。多様な観点で議論が出来るよう、女性も入れた方がいい。

(開沼委員)

  • 規制対事業者で全てが起こっているわけではないということを見せるべき。自主的に現場で事業者として活動・改善している姿がより信頼できる。見る側からするとバージョンアップしたように思えるだろう。

  • 社会心理学では「噂=重要性×あいまいさ」と言われている。東電の原子力発電に対する取組みの重要性は変わらないだろうから、“あいまいさ”を減らすことが必要。例として、廃炉資料館で「やたらと謝罪しなくなった」と聞いている。社内で多くの議論があったろうし、道徳的に謝るべきと言いたいのではなく、結果して、例えば高校生を引率する教員がそれを受けて「なぜ謝らないようになったのか考えよう」という課題を設定してしまっている。これは非常に勿体ないことで、“あいまいさ”を排除し、余計な勘繰りを生ませないことが大事。

  • (4)

    委員会運営要綱の改訂
    実態等を踏まえた改定案で了承された。

5.配布資料

以 上

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