国内初 オフィスビルより排出される有機性廃棄物をオンサイトでエネルギー化する実証実験を実施
~循環型社会形成に向けて~
2021年12月20日
東京建物株式会社
明治安田生命保険相互会社
日本プライムリアルティ投資法人
損害保険ジャパン株式会社
東京電力エナジーパートナー株式会社
サステイナブルエネルギー開発株式会社
東京建物株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員:野村 均、以下「東京建物」)、明治安田生命保険相互会社(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長:永島 英器、以下「明治安田生命」)、日本プライムリアルティ投資法人(本社:東京都中央区、執行役員:城﨑 好浩、以下「JPR」)、損害保険ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:西澤 敬二、以下「損保ジャパン」)、東京電力エナジーパートナー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:秋本 展秀、以下「東電EP」) とサステイナブルエネルギー開発株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長CEO:光山 昌浩、以下「サステイナブルエネルギー開発」)は、循環型社会※1の形成に向け、オフィスビルより排出、焼却処理されている有機性廃棄物を燃料化する実証実験を実施しましたので、お知らせします。なお、本実証実験は新宿センタービル(新宿区西新宿、54階建)にて行っております。
※1 廃棄物等の発生抑制と適正な循環的利用・処分により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会
■背景と目的
現在、気候変動と併せて、資源・エネルギー・食料需要の増大、廃棄物量の増加等の環境問題の深刻化が世界的な課題となっています。従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型といった一方通行の線形経済(リニアエコノミー)から、循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行の必要性が注目され、社会的な潮流となりつつあります。
今般の実証実験に参画する各社では、循環型経済への移行が事業活動の持続可能性を高め中長期的な競争力の源泉となりうると考え、廃棄物の総量削減、リサイクル率の向上、資源循環等さまざまな視点から、循環型経済の移行について種々検討してまいりました。
オフィスビルにおいても、廃棄物の総量削減に向けて、適切な分別とリサイクル率の向上に取り組んでおりますが、これらの廃棄物のうち、リサイクルされずに焼却処理されている一部の紙ごみや厨芥ごみ等の有機性廃棄物について、低廉な費用でエネルギー化することにより、ビル内で電気エネルギーとして利用する自立分散型のエネルギーシステムを構築し、循環型経済への移行に貢献することを目指します。
(線形経済(リニアエコノミー)循環型経済(サーキュラーエコノミー)のイメージ図)
■実証実験の概要
今回行う実証実験は、新宿センタービルに入居している損保ジャパン他一部のテナント企業の協力のもと、有機性廃棄物から固形燃料「バイオ石炭」※2を生成するものです。
燃料を生成する過程においては、損保ジャパンが業務連携しているサステイナブルエネルギー開発が開発したISOPシステムを用いて亜臨界水処理※3を行います。
ISOPシステムを設置した場合に期待される生成エネルギー収支(電力だけを考慮)は、亜臨界水処理装置を稼働する際に消費される電力量に対して、およそ2.5倍※4を生成できる見込です。
なお、実施する亜臨界水処理に用いる電気は、東電EPが供給する実質的に再生可能エネルギーとみなされる電気※5を使用し、脱炭素に向けた環境にも配慮した取り組みとなります。
- ※2 「バイオ石炭」とは、有機性廃棄物から生成される固形燃料のうち、石炭火力発電所などにおいて石炭の完全代替燃料として用いられることを前提にしたものをいいます。エネルギー密度や残留塩素濃度などの点で既存の石炭火力発電所での利用に問題がないスペックを満たすことが求められます。
- ※3 亜臨界水処理とは、臨界点以下の高温高圧の水が持つ強い加水分解力を活かして、プラスチックを含む有機物を低分子化すると同時に、病原性を持った有機物も滅菌して無害化することが可能な技術です。
https://sustainable-energy.co.jp/technology/ - ※4 投入ごみの嵩密度を0.55kg/l、含水率を48%、生成燃料の低位発熱量を26MJ/kg、発電装置の発電効率を30%と想定した場合。
- ※5 東電EPが通常販売する電気(火力、FIT電気、再生可能エネルギー、卸電力取引所、水力等で構成)に非化石証書(再生可能エネルギー指定)を使用する電力メニュー。
(実証実験イメージ図)
■今後の計画
新宿センタービル内で生成された亜臨界水処理物、および亜臨界水処理物から生成したバイオ石炭それぞれが持つ物性について、東電EPおよびサステイナブルエネルギー開発が連携して分析を行い、燃料の再利用方法を検討します。具体的には、コージェネレーションシステムの設置などオンサイトの活用サイクルの検討を行います。
東京建物、明治安田生命およびJPRは、その検討結果をもとに、今後、新宿センタービルや他の保有ビルにおいて有機性廃棄物から生成したバイオ石炭(またはメタン発酵原料としてバイオ石炭に変換する前段階の亜臨界水処理物)を、コージェネレーションシステム等の燃料として利用しエネルギーを生成、電気や蒸気に変換したうえでビルに供給するモデルの展開を検討する計画です。
また、東電EPにおいては、本実証実験で生成されたバイオ石炭について、火力発電所における代替燃料としての活用の可能性を検討し、オフサイトでも活用できる循環型経済の移行に向けた検討を進めます。
(今後の計画イメージ)
■ISOPシステムの概要
ISOPシステムは、有機性廃棄物から固形の燃料を生成する一連のシステムであり亜臨界水処理技術をそのコア技術としているものです。亜臨界水処理によって、多種多様な有機性廃棄物は一定性状の低分子化合物に変換されます。この低分子化合物(亜臨界水処理物)は、石炭と同等の性質をもつ固形燃料の生成原料やメタン発酵の投入原料として利用することを想定しています。
今般の実証実験で用いる亜臨界水処理装置は、想定している実装サイズのおよそ10分の1スケールのもので、高圧ボイラの付属を必要とせず電気だけで稼働するタイプのものであり、新宿センタービル内廃棄物処理室(地下4階)の一部に設置し、燃料製造過程における「振動」「騒音」「臭気」等のビル内への影響を検証し、将来の本格的な実装を見据えた課題を抽出します。また、生成された亜臨界水処理物の一部を、サステイナブルエネルギー開発の山形支店に設置しているペレット製造装置においてバイオ石炭に変換し、それらの物性(エネルギー密度、残留塩素等の含有率など、オンサイト型発電装置や大型火力発電所などで利用する際に検討が必要な項目)を分析します。さらには、ビル内部にも設置できる超小型メタン発酵槽の可能性を探るべく、バイオ石炭に変換する前の亜臨界水処理物のメタン発酵試験にも取り組みます。
■新宿センタービルの概要
所在地 | 東京都新宿区西新宿1-25-1 |
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竣工 | 1979年10月 |
敷地・延床面積 | 14,920.83m2・183,063.79m2 |
規模 | 地下4階 地上54階 搭屋3階 |
用途 | 事務所、店舗 |
所有者 | 東京建物、明治安田生命、日本プライムリアルティ投資法人 |
入居テナント | 損保ジャパン他 |
電力供給 | 東電EP |
■東京建物の取り組み
東京建物グループは、2030年頃をターゲットにした長期ビジョンとして「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立する「次世代デベロッパーへ」の進化を掲げ、積極的にサステナビリティ施策に取り組み、ESG経営の高度化を推進しています。また、グループ環境方針「緑あふれる潤いのある街・暮らしの創造」「地域をリードする温暖化防止」「地域に優しい省資源活動」「環境意識の高い社員づくり」のもと、今後も持続可能な社会づくりに向け、環境に配慮した事業活動を進めてまいります。
■明治安田生命の取り組み
明治安田生命は、「確かな安心を、いつまでも」という経営理念のもと、人々が安心して暮らせる地球環境を永続的に保全することが人類共通の重要課題であると認識し、環境保全への取組姿勢を定めた「環境方針」に基づき、事業活動のあらゆる面において地球環境との調和に努めています。また「環境保全・気候変動への対応」が世界的に喫緊の課題となるなか、「生命保険事業者」「機関投資家」の双方の立場から当該課題の解決に取組みを強化しており、これらの取組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
■JPRの取り組み
JPRは、ステークホルダーからの社会的要請と事業領域のふたつの側面から5つマテリアリティ(重要課題)を特定しており、「気候変動への対応」をそのひとつとして掲げています。環境問題の重要性を認識し、省エネルギー・温室効果ガスの削減、水資源の有効活用や廃棄物の3R(リユース・リデュース・リサイクル)化、環境に関する情報の積極的な開示に取り組み、環境負荷の低減を目指してまいります。
■損保ジャパンの取り組み
損保ジャパンはサステイナブルエネルギー開発とエネルギー分野の社会課題解決に資する技術・サービスを提供するために業務連携し、グループ持株会社であるSOMPOホールディングス株式会社(本社:東京都新宿、グループCEO取締役代表執行役社長:櫻田 謙悟)はサステイナブルエネルギー開発に出資しています。業務連携以降、企業や自治体にサステイナブルエネルギー開発を紹介するなどのほか、生成物であるバイオ石炭の買取りと第三者への販売等の新事業を広く検討しています。損保ジャパンは自然災害や気候変更リスクの脅威に備え、地球規模の課題である温暖化対策に取り組むお客さまと共創することにより、脱炭素、資源循環型社会の実現に貢献してまいります。
■東電EPの取り組み
東電EPは、「脱炭素・再エネ推進」の頼れるパートナーとして、お客さまの暮らしと企業の成長を強く支えるとともに、引き続きお客さまのニーズにお応えしながら、「脱炭素・再エネ推進」等の時代の潮流に即したサービスをカタチにして提供し続けてまいります。
※第四次総合特別事業計画におけるカーボンニュートラルへの取組み(東京電力ホールディングス):https://www.tepco.co.jp/press/release/2021/pdf3/210721j0303.pdf
■サステイナブルエネルギー開発について
- (1) 会社名 サステイナブルエネルギー開発株式会社
- (2) 主な事業内容
クリーンエネルギー供給システムの設計・製作・販売
有機系廃棄物活用事業
畜産飼料およびバイオマス燃料作物の生産事業
高付加価値農産物の生産事業
非常用光源等の販売
地域資源循環構築のためのコンサルティング など - (3) 設立年月日 2014年6月
- (4) 本社所在地 宮城県仙台市青葉区中央 3-10-11
- (5) 代表者 代表取締役社長CEO 光山 昌浩
- (6) 資本金 1億312万5000円(2021年12月1日時点)
以 上