水力発電のしくみ、
種類などを解説します。
水力発電は、資源の少ない日本において、
「環境性」「安定性」を兼ね備えた
純国産エネルギーです。
かつて、水力発電は日本の発電方式の主流でしたが、経済発展等に伴う電力需要急増にともなって、昭和34年には発電の主体は水力から火力へと移行しました。
しかしながら、水力発電は、風力や太陽光等他の再生可能エネルギーに比べて安定しており、CO2を排出しない純国産エネルギーである事から「環境性」「安定性」を兼ね備えた電源として改めて見直されています。
東京電力グループでは、水力発電は東京電力リニューアブルパワー株式会社が運営を担い、主に群馬県・栃木県を中心とした利根川水系、長野県・新潟県にまたがる信濃川水系、山梨県の相模川・富士川水系に、合計164ヶ所、総出力約945万kWの水力発電所を保有しています。
電気の需要は昼と夜とで大きく差があります。
このため、昼夜を通して使われる部分は大型の火力発電や原子力発電が担当し、
昼間の時々刻々と変化する部分は使用量の変動に柔軟に対応できる火力発電、
ピーク時間帯に素早く対応できる揚水発電が加わります。
このように、電気エネルギーを水の位置エネルギーとして蓄える事ができるのも水力発電の特徴です。
水力発電では、水が高い所から低い所に落ちる時の
高速・高圧の水の流れを利用して水車を回し、電気をつくっています。
ダム式発電所で発電に使われる水は、取水口と呼ばれる水の取り入れ口から鉄の管を通って水車まで運ばれます。
取水口は貯水池の池底よりやや高いところにあり、土砂や魚、流木などが流れ込むのを防ぐために、丈夫なスクリーンがかけられています。
鉄管によって導かれた高速・高圧の水の流れは水車を勢いよく回転させます。写真は今市発電所のもので、水は横から入って下に流れ落ちます。この水の量は水車の回転数を一定に保つよう調速機によりコントロールされています。この装置により安定した周波数の電気を起こすことができます。
発電機は水車と同じ回転軸でつながっており、水車の回転の力が発電機に伝えられ発電が行われます。水力発電所の出力は水量と落差(放水路の水面からダムの水面までの高さ)によって決まり、理論出力(kW)=9.8(重力加速度)×水量(m3/秒)×落差(m)の関係があります。写真は発電機の回転部分が静止部分に挿入されているところの様子です。
発電機のつくる電気の電圧は1万8,000V以下。このままでは電気を遠くまで送るのにロスが大きくなるため、変圧器で電圧を15万4,000~50万Vまで高めて送り出しています。
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河川の流量をそのまま利用する方式です。豊水期(川の水が豊富なとき)と渇水期(川の水が少ないとき)の水量変化により発電量が変動します。
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河川の流量を調整池で調整して発電する方式です。取水ダムを大きくしたり、水路の途中に調整池をつくることにより、一日あるいは数日間の発電量をコントロールすることができます。
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調整池より大きな貯水池を利用する方式です。雪どけ水や梅雨、台風の雨水などを貯水し、渇水期に利用するなど、年間を通した水量の調整ができます。
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これまで、水力発電所は大規模なものが主流となってきましたが、最近は、使われていない水資源も発電に有効利用しようという動きがあります。中でも、最大出力1,000kW以下の水力発電を「小水力発電」などと呼んでいます。
昼間の電力需要のピーク時に活躍する発電方式で、主に地下につくる発電所と、これをはさむ上下の2つの調整池からなります。電気の使用量が多い昼間に上部調整池から下部調整池に水を落として発電し、発電に使った水は下部調整池にためておきます。電気の使用量が少ない夜間には、下部調整池から上部調整池に水をくみ上げ、再び昼間の発電に使うというように、一定量の水を繰り返して使用します。