トップページ > 福島復興へ向けた取り組み > 福島第一・第二原子力発電所の状況 > 福島第一原子力発電所事故の経過と教訓 > 福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか
福島第二原子力発電所は、福島第一原子力発電所と同様に地震・津波の被害を受けましたが、炉心損傷に至ることなく全号機の冷温停止を達成しました。その要因としては、地震・津波の後も外部電源等、交流電源設備が使用可能であり、原子炉を冷やすことができたことが挙げられます。
一方で、海水ポンプが津波によって損傷したため、原子炉からの除熱を行うことができなくなりました。
このため、原子炉隔離時冷却系や復水補給水系といった、海水ポンプのサポートを必要としない系統を活用するなど、臨機応変に圧力容器や格納容器内の冷却を進めました。その間に損傷していた海水ポンプのモーター交換や仮設ケーブルの敷設を行い、海水ポンプを復旧したことで除熱が可能になり、全号機を冷温停止とすることができました。
津波による被害後(全体)福島第二原子力発電所 2011年3月18日撮影
津波の集中的遡上により1、2号機が大きく浸水
福島第二原子力発電所は主要建屋設置エリアが海抜12mと高かったこと、また、襲来した津波が、福島第一原子力発電所に比べ低かったことが幸いし、福島第一原子力発電所より津波の被害は軽微だったものの、並んで設置された原子炉4機のうち、1号機は大きな被害を受けました。
これは、1号機の主要建屋エリア側を道路が通っており、この道路を津波が集中的に遡上したためでした。
ベントの準備を進めていた
福島第二原子力発電所では津波により1、2、4号機の除熱機能が失われました。注水して炉心を冷却していましたが、それによって発生する蒸気(熱)を逃がす先が無く、格納容器の圧力は徐々に上昇していきました。このため、各号機では格納容器ベントの準備を進めていましたが、並行して進めていた除熱機能の復旧に成功したため、ベントを実施することなく冷温停止を達成することができました。
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