トップページ > 福島復興へ向けた取り組み > 福島第一・第二原子力発電所の状況 > 福島第一原子力発電所事故の経過と教訓 > 1号機はなぜ過酷事故に至ったか
地震発生時、1号機は直ちに制御棒が挿入され、設計通り自動で原子炉が停止しました。1号機は地震により外部電源を全て失い、復水器などは使用できない状況でしたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し、非常用復水器※1による炉心の冷却が始まりました。
しかし、地震から約50分後の津波とこれに伴う浸水により、非常用ディーゼル発電機やバッテリー(直流電源)、電源盤※2等すべての電源を失いました。全ての電源を失ったことにより、非常用復水器が機能を喪失し、高圧注水系も起動できなくなりました。加えて、監視・計測機能も失ったため、原子炉や機器の状態を確認することができなくなりました。この後、圧力容器内の水は蒸発し続け、約4時間後、燃料が水面から露出して、炉心損傷が始まります。
露出した燃料棒の表面温度が崩壊熱により上昇したため、燃料棒の表面が圧力容器内の水蒸気と反応して、大量の水素が発生しました。格納容器の損傷部(温度上昇によって生じた蓋接合部等の隙間と考えています)から漏れ出た水素は、原子炉建屋上部に溜まり、何らかの原因により引火して、津波襲来から約24時間後の3月12日午後3時36分に爆発しました。また、溶融した炉心が圧力容器の底を貫通し、格納容器の床面のコンクリートを侵食しました。
水素爆発に伴う周辺の瓦礫の散乱等は作業の大きな妨げになり、2号機、3号機への対応が遅れる原因ともなりました。
※1 非常用復水器:圧力容器内の蒸気を冷却して水に戻し、再び圧力容器へ送り込むことで炉心を冷却する設備。
※2 電源盤:受電・配電のための設備。発電機やバッテリーがあったとしても、電源盤が使えないと建屋内の各設備に電気を送ることができない。
事故の教訓 | 発生した問題点 |
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1:津波からの防護 |
●津波の襲来により、建屋内外が浸水した。 |
2:電源/注水手段の確保 |
●交流・直流全ての電源を喪失したことにより、全ての注水・除熱機能を失った。
●注水・除熱ができなくなったことにより、圧力容器内の水位が低下し、津波から約4時間で炉心損傷に至った。 |
3:炉心損傷後の影響緩和 |
●炉心損傷によって発生した水素が、圧力容器・格納容器から原子炉建屋内に漏れ出し、水素爆発が起こった。
●溶融した炉心が圧力容器を貫通して、格納容器のコンクリートを侵食した。 |
4:プラントの状態把握 |
●全ての電源が失われたことで照明、通信、監視・計測等の手段を失った他、全号機同時に危機的状況に陥ったことにより初動対応の混乱や情報共有の不備が生じた。 |
5:復旧作業環境の改善 |
●大きな余震やそれに伴う津波の恐れ、瓦礫等の散乱により、現場のアクセス性・作業性が低下した。 |
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