いまよりもっと便利で快適な暮らしの未来へ…
スマートメーターで広がる可能性。
2016/10/04
スマートメーターの優れた特徴を要約すると、電気使用量の30分値を計量、その使用量を私たち自身が見ることができる、また、通信機能が搭載されたことで自動検針や遠隔での契約アンペア変更が可能となることなどがあげられる。
スマートメーター導入の背景に触れつつ、スマートメーターを上手に活用した今後の可能性や、“より便利で快適な未来”について聞いた。
スマートメーター推進室 営業業務革新グループ※
竹谷脩
2010年入社。江東支社の料金グループに配属、電力メーターを検針し、お客さまの電気使用量を確定する業務を担当。2014年10月、スマートメーター推進室に異動し、現在に至る。
※取材当時。現:スマートメーターオペレーションセンター運用第二グループ。スマートメーター導入の背景・電力小売全面自由化
2016年4月から、電力小売全面自由化がスタートしているが、これは、2011年の東日本大震災を契機とした電力システム改革によるものである。電力小売全面自由化において、スマートメーターが設置されるといったことをよく聞くが、その理由を聞いた。
竹谷「電力小売全面自由化に伴い、電気の契約先を変更される場合には、スマートメーターへの交換をお願いしていますが、それは、スマートメーターで30分ごとに使用電力量を計量し、小売電気事業者ごとに30分間の発電量と需要量の合計の差(インバランス)を把握して、過不足精算を行う必要があるためです。小売電気事業者は、発電量と顧客の需要量とを一致させる義務を負っています。常に両者を一致させることが望ましいのですが、需要量は時々刻々と変動しているため、常に一致させることは技術的に困難です。このため、30 分単位での発電量と需要量の一致が制度化されています。スマートメーターに交換することで、この制度に対応できます。スマートメーターは電力小売全面自由化のキーアイテムですね。」
■電力の需要と供給のイメージ
需要と供給のバランスを上手に取ることで電気料金が下がるかも!?
それでは、一般家庭の場合、スマートメーターの導入で生活はどのように変化するのだろうか。
スマートメーターと宅内のHEMS機器、さらには家電機器などがつながれば、時間帯別や機器別の使用量を把握できることで、「夜間に電力使用量が多すぎる」「もっと高効率な空調機器に見直したい」など省エネへの取り組みや光熱費の見直しに役立つだろう。
また、私たちがスマートメーターのデータ※を各小売電気事業者に開示して、電気料金の見積もりを取ったり、より条件のいい会社と契約することも可能だ。
※HEMS機器などにより、ご確認いただけます。
竹谷「皆さまが契約された小売電気事業者にご相談すれば、『お客さまの場合、○〜○時の使用量が多いですから、こちらのプランがお得です』など、もっと皆さまのライフスタイルに合った適切なプランを提示してもらえるでしょう。さらに将来的には、電気の使用状況に合わせて、いまよりももっと細かく時間を区切った、リアルタイムに変動する料金プランが登場する可能性もあります。」
竹谷「例えば、電力需要の多い時間帯の電気の消費を抑えるために、真夏の日中などのピーク時間帯の電気料金を高く、涼しい夜の時間帯を安く設定した料金プランとか…そうやってピーク時間帯の使用量を減らすことで、各ご家庭の光熱費の節約にもなりますし、電力の安定供給にもつながります。このようにして需要と供給のバランスを取ることが可能になれば、電力会社側もムダな発電や過剰な設備投資を抑えることができるようになります。効率的な電力供給──それによって、電気料金の引き下げにもつながるかもしれません。」
遠くに住む両親の様子も確認できる見守りサービスなども!
通信機能を活用した新たなサービスの可能性。
将来的には、家庭で使用するエネルギーを極力少なくする──太陽光発電で電気を作り、蓄電池等で電気を蓄え、高効率にエネルギーを使う──スマートメーターを上手に活用することで、私たちの家が、そういった省エネハウスになることも可能かもしれない。
竹谷「現在、当社でもスマートメーターの機能を活用したサービスをいろいろと考えている段階です。」
スマートメーターやHEMS機器の通信機能とスマホの連携がさらに一般に普及すれば、電気などエネルギーのスイッチとしてスマホを使う…なんてことは、当たり前のことになるのかもしれない。
竹谷「スマートメーターの30分ごとに使用電力量を計量する機能を活用すれば、日々の変化も把握できます。例えば、離れた場所に住むご両親のご自宅で電気を使った形跡がなかったら…ご家族のスマホに通知し、安全を確認してもらう、といったサービスの提供もできると思います。スマートメーターのデータをHEMS機器やスマホに連携させることで、さらに便利なサービスにつながる可能性も十分にあります」
竹谷「約2700万台※ものスマートメーターが計量する膨大な量の30分使用電力量というビッグデータは、未知の領域です。世代別や家族構成、地域別など、あらゆる切り口で分析することで、さまざまな他業種と連携した新しいサービスが生まれるかもしれません。スマートメーターには、便利で快適な暮らしのチャンスが秘められていると思います。」
スマートメーターの導入、さらにさまざまにネットワークが広がることで、どこにいても家のエネルギー状態が“見える”ようになれば、住まいを快適に保ったり、離れた家族の状況をチェックしたりすることもできる。そんな未来が訪れるのは、そう遠いことではないようだ。
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当初計画は、当社エリア全域に約2,700万台の設置としておりましたが、最近の情勢変動を考慮し、約2,900万台へ変更しております。