尾瀬を知る

尾瀬だより

第13回 「尾瀬での様々な出会い♪」

平成22年10月11日

長かった夏の暑さも今では懐かしく、尾瀬では秋の紅葉が見頃を迎えています。各入山口では、秋の草紅葉を一目見ようと訪れるハイカーも多く、にぎやかになってきました。また、10月半ばを過ぎると山小屋や公衆トイレの営業を終了するところもあり、冬支度の準備が始まります。尾瀬のシーズンも残すところあとわずかですが、秋は北風のようにあっという間に過ぎ去っていくのでしょうね。尾瀬へ行かれる際は、事前にご確認をされることをおすすめいたします。(「尾瀬に行くなら要チェック!」)

さて、今回は秋と言えば、“実”、“きのこ”、そして道中で見つけた尾瀬の珍風景!?を中心に、桑原がお届けします。ぜひ、ご覧ください。

【草紅葉の尾瀬ヶ原と至仏山】
雲一つない天気となり、太陽の日差しに映える草紅葉がとてもきれいでした。まるで真っ白なキャンバスに絵の具で塗ったような一コマでした。いよいよ今週末には、秋のピークを迎える頃になるそうです。ぜひ尾瀬の紅葉を見に、足を運んでみてくださいね!!

(10月2日 見晴~東電小屋分岐)

【ズミの実】
まずは、尾瀬で見られる“実”をご紹介します。春に、白色の花を咲かせ、サクランボに似た小さな赤い実をつける、バラ科リンゴ属の樹木です。ズミは、樹皮を煮出して黄色の染料が取れることから、明礬(みょうばん)を加えて絵の具としても使われているそうです。それにしても、一瞬、サクランボのようだと思ってしまいました・・・。

(10月2日 見晴~竜宮間)

【マユミの実】
紅葉を楽しむ低木の1つとして広く親しまれています。材質が強く、よくしなるため、昔は弓の材料として使われていたことから、名前の由来となったそうです。現在では、印鑑や櫛(くし)などの材料としても使われています。尾瀬ヶ原でもよく見ることができるので、訪れる方はぜひ見つけてみてくださいね。

(10月2日 山ノ鼻~鳩待峠間)

【ツルコケモモの実】
春に咲くヒメシャクナゲと同じ仲間で、寒地の湿原に広く分布するツツジ科の常緑低木樹です。つる状の枝を分岐しながら、ミズゴケの上を這うように伸びています。9月から10月にかけて、直径1cmくらいの小さな丸い球形の実をつけ、ミズゴケの絨毯(じゅうたん)によって大切に守られています。赤色に熟すと、クランベリーとして食用になるため、ジャムやジュースなどに利用されるそうです。以上、「植物の実」情報でした。

(10月4日 竜宮~牛首間)

【ヨシの朝露】
ヨシの花穂(かすい)が、朝露に濡れて垂れ下がり、朝露の雫(しずく)がアクセントをつけて、とてもきらきらとしていました。この日の朝は、朝靄(あさもや)が見られ、朝早くからカメラを片手に朝の散策へと出かけたハイカーが多かったそうです。尾瀬で迎える朝の光景はとても清々しく感じ、いつも元気を分けてもらっています。

(10月2日 東電小屋周辺)

【トチの葉】
秋空の下、黄色く色づいたトチの大きな葉は、大きな手をひろげたようなインパクトでハイカーを楽しませていました。トチの実はデンプンやタンパク質を多く含むため、栃餅(とちもち)として広く好まれているそうです。また、トチの木は栃木県の県木として指定されているそうです。

(10月2日 山ノ鼻~鳩待峠間)

【イヌセンボンタケ】
ここからは尾瀬で見ることのできる“きのこ”の仲間をご紹介したいと思います。生えて間もない純白のキノコですが、徐々に灰色になっていくそうです。名前の「イヌ」は動物のイヌからの由来ではなく、食用にならない、役に立たないといった意味合いで名付けられたそうです。また、大量に生えることが多いのでセンボンとも付けられたそうで、分かりやすいネーミングですよね。

(9月30日 沼山峠)

【マスタケ】
沼山峠で見つけたマスタケ。片品村や桧枝岐では「アカタケ」と呼ばれ、好んで食されているようですが、今年は夏の暑さの影響であまり採れなかったそうです。ナスや玉ネギなどと一緒に油味噌で炒めたり、テンプラや汁の実などに利用しているそうです。東京電力自然学校スタッフのお話を聞いていたら、とても美味しそうで、お腹が「ギュルル~」。とはいえ、尾瀬国立公園内では採取は禁止となっていますので、目で楽しんで、おいしい気分を味わってきました。

(9月30日 沼山峠)

【マメホコリ】
桃色のような可愛らしいマメホコリが、枯れ木の表面にぽつぽつと見られました。時間が経つと、徐々に黒っぽくなってしまうため、変形菌といわれる仲間だそうです。ピンク色のときには弾力性があるそうですが、黒色の頃には固くなり、胞子がぎっしりつまっているそうです。以上、「きのこ」情報でした。※食用ではありません。

(9月30日 沼山峠)

【富士見小屋の始さんと】
富士見峠にある富士見小屋主人の萩原始さん。エコ対談にも登場していただいています。久しぶりにお会いすることができたのですが、いつもと変わらない元気な姿で迎えてくれました。冬には、尾瀬の麓にある戸倉のスキー場で子どもたちにスキーを教えるそうです。年中通してパワフルな始さんの姿勢、私も見習わなきゃ!

(9月30日 富士見峠)

【珍風景その1 季節外れのミツガシワ】
春にミズバショウが見頃を迎える頃、咲き始める植物と言われています。本来ならば、この時期には、見ることのできない植物のはずなのですが、「季節なんか関係ないわ~!」といった声でも聞こえてきそうなぐらいの勢いで咲いているようでした。

(10月3日 竜宮付近)

【珍風景その2 アカハライモリ】
湿原の池塘でよく見られる両生類の一種で、別名ニホンイモリとも呼ばれています。本州、四国、九州とその周辺の島々に分布する日本の固有種だそうです。全長は10cm前後で、4本の短い足と長い尾をもっています。お腹が赤いことからその名前がつけられたそうです。とはいえ、お腹の色が全く見えませんでしたね・・・。普段は、池塘の中を泳ぎ、木道にあがっている姿はなかなか見かけません。この瞬間をパチリ!

(10月4日 牛首~ヨッピ吊橋間)

【珍風景その3 ホンドキタキツネ】
牛首からヨッピ吊り橋方面へ向かう途中、なにやら動いている影が見えた!と思ったら、ホンドキタキツネの子どもでした。親のキタキツネは近くの草むらに隠れていたらしいですが、全く見えず、子どものキタキツネは餌を探し求めているようでした。東京電力自然学校スタッフの話によると、ここのところ日中でも見かけることが多くなったそうです。でも、野生の動物ですので、あまり驚かさない方がいいそうです。皆さんも見かけても、そっ~としてあげてくださいね。

(9月29日 牛首~ヨッピ吊橋間)

【珍風景その4 色付くヤマドリゼンマイ】
前回の尾瀬だよりでは、色付く前のヤマドリゼンマイでしたが、一週間経つと、とても鮮やかなオレンジ色へと変化し、尾瀬ヶ原の中でも目立っていました。まさにお色直しの瞬間ですね。以上、「尾瀬の珍風景」でした

(9月29日 中田代付近)

【尾瀬の名物、ぼっかさん】
春から秋にかけて様々な植物や風景を楽しむことができますが、その中でも歩荷(ぼっか)さんが歩く風景は「尾瀬の名物」です。尾瀬と長野県の白馬岳でしか見ることができないそうです。尾瀬ヶ原にある山小屋へ食料や飲み物等をほぼ毎日鳩待峠から歩いて届けています。山小屋に荷物を届けたあとも、山小屋から出たゴミやガスボンベを一生懸命運んでいます。雨の日には、荷物にビニールをかぶせて、山小屋まで届け、もちろん山小屋の食事も歩荷さんが運んでくれています。いつも会う度に汗を流している歩荷さんですが、時折休憩の合間に見せる顔は充実しているように見えます。いつもありがとう!!

(6月中旬 尾瀬ヶ原付近)

【ぼっかさんたちと一緒に】
現在、尾瀬では7人の歩荷さんが活躍しているそうです。この時ちょうど、歩荷さんたちが至仏山荘前で集まっていました。残念ながら、1人だけ会えなかったのですが、一緒にパチリ!重いときには100kgほどの荷物を背負って歩く歩荷さんですが、疲れも見せない姿にいつも感服させられます。私も段ボール3個なら背負えるかなぁ・・・。

(9月29日 至仏山荘)

次回は、10月中旬に、アヤメ平の植生回復作業、山小屋の冬支度の模様を中心に辰井よりお届けします。

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