尾瀬を知る

尾瀬だより

第11回 「尾瀬ものがたり ~9月~」

平成22年9月21日

暑さも和らぎ、朝晩が一層冷えてくるようになりました。尾瀬ヶ原では、徐々に色付き、いよいよ秋の本番です。草紅葉が見られるようになるのも、もうすぐだそうです。でも、「秋は短し・・・」とよく言われるように、ようやく秋が訪れたと思ったら、終わりが意外と近かったりするのでしょうね。風も冷たくなってきていますので、尾瀬に行かれる時は、暖かい格好でお出かけください。

今回はテプコのエコ先生フォローアップ研修、山ノ鼻のお祭り「十二様山神祭り」など、竹内より便りが届いた最近の出来事を桑原がお届けします。

【元気なテプコのエコ先生】
ボランティアとして、当社の「環境・エネルギー教育」にご協力いただいているテプコのエコ先生。エコ先生は当社OBだけではなく大学生の方にもご協力いただいており、日頃から「エネルギー講座」や発電所での「自然観察会」、そして「尾瀬出前授業」など各方面で活躍しています。尾瀬に関する知識のブラッシュアップを図っていこうと、現地での研修を行いました。出発前に必ず欠かさないのが体調の確認。親指がまっすぐに立っているほど「体調がいい」ことを示しています。あれっ?!親指立てていない人がいらっしゃいましたね・・・。

(9月8日 東電小屋)

【何事にも熱心!!】
エコ先生の皆さんは、「私も見習わないと!」って思うほど、とても向上心が強く、また好奇心旺盛な方々でした。今回の研修では、テプコのエコ先生(尾瀬自然解説編)に登録してくださっている片品山岳ガイド協会の会長・松浦さんと事務局長・塩田さんがエコ先生となり、とても興味深い内容を話してくださいました。エコ先生の皆さんは片手にノートを持ちながら、植物の名前や聞いたことを常に書きとめ、気になればすぐに聞くほど、元気あふれるエネルギッシュな人が多くいらっしゃいました。以上、テプコのエコ先生でした。

(9月7日)

【木道の顔】
2本の木道を見ながら歩いていると、ところどころに「顔」らしきものが見えてきます。泣いた顔だったり、怒った顔だったり、笑った顔だったり、様々な表情が隠れています。この時は、雨に濡れていたのですが、なんだか雨に濡れてうれし泣きのようにも見えました。最近の木道は、3本で敷設をするようになってきているため、2本の木道は少しずつ減ってきています。木道の上を歩くときは、どんな顔が見られるのかそういった発見も楽しみの1つですよね。

(9月8日 テンマ沢付近)

【キイロスズメバチの巣駆除】
富士見峠から竜宮へ向かう長沢新道にて、キイロスズメバチが登山道脇の腐った樹木の穴の中に巣を作っていたそうです。日々、巡視を実施している東京電力環境保全スタッフが巣を発見し、環境省の許可をいただいた上で、駆除を行ないました。環境保全スタッフたちは、自然を守る活動の他、尾瀬を訪れるハイカーたちが尾瀬を楽しんでいただけるよう、木道や登山道の安全も確認しています。

(8月31日 長沢新道)

【キアゲハの幼虫】
尾瀬で見られる昆虫・動物のお話です。ヨッピ吊り橋へ向かって、歩いていたら、大きな幼虫を見つけました!調べてみたところ、セリ科の植物を好み、この時期にノダケなどの葉や花を食べて成長し、サナギになって冬を越すそうです。スタッフが「つつくと黄色い角が出てきて、ややくさい臭いを発しますよ」って。その仕組みは、まるでスカンクのようだなと思いました。

(9月8日 ヨッピ吊り橋付近)

【キアゲハ】
左の写真が羽化すると、きれいなチョウに成長します。ここ数年尾瀬で見かけることが多くなり、至仏山や燧ヶ岳、尾瀬ヶ原や大江湿原などで見ることができるそうです。春に羽化するチョウは、冬を越えるために体力を使うせいか、大きさがやや小ぶりで、夏に羽化するチョウは、大きいそうです。

(8月19日 牛首付近)

【アオダイショウ】
1~2mほどの大きさがあり、日本本土では最大のヘビだそうです。湿原内の草むらにてよく見かけるのですが、元々は樹上性で、木登りは上手く、樹上の鳥の巣を襲い、卵やひな鳥を根こそぎ食べてしまうこともあるそうです。動物の世界とは厳しいものですね。以上、昆虫・動物情報でした。

(8月27日 山ノ鼻研究見本園)

【ハンゴンソウ】
ここからは、尾瀬で見られる植物のお話です。江戸時代、薬草として栽培されていたようで、焼いたあとの灰を湿疹(しっしん)の治療に使い、根は煎(せん)じて、関節炎の患部を洗うのに使われていたそうです。人の背丈を超えるほどの高さがあり、主に川や湿原でよく見ることができます。

(9月4日 山ノ鼻研究見本園)

【ヤマトリカブト】
有毒植物ですが、特に根は猛毒だそうです。昔は、矢の先端につける毒として使われていたようです。日本には、30種類ほど自生しているそうですが、尾瀬では他にオクトリカブト、オゼトリカブトを見ることができます。湿原では、エゾリンドウと仲良く咲いているのを見ることができます。

(9月4日 山ノ鼻研研究見本園)

【タカネトウウチソウ】
「高嶺唐打草」と書き、花穂(かすい)の形を中国伝来の打ち紐(ひも)「唐打」に見立てたことから名付けられたそうです。咲いている地域が少なく、本州では、秋田駒ケ岳、岩手山、白馬山系、谷川岳、至仏山でしかみられないそうです。東京電力自然学校スタッフの話によると、「タカネトウチソウ」と呼び間違える人が多いだとか。私も当初はその一人でしたが、由来を知って納得!名前の由来って奥深いものですね。

(9月6日 至仏山)

【オオニガナ】
花の先端が5裂していることが特徴で、大きいニガナという由来から来ているそうです。特に、ニガナは、葉や茎にとても苦味のある白い乳液を含むことから名付けられたそうです。どんな味なのか気になりますが、尾瀬国立公園内では、もちろん、花や枝を折ったり採ったりすることは禁止されています。想像に任せるしかないですね・・・。 以上、植物情報でした。

(9月7日 尾瀬ヶ原)

【十二様山神祭り】
山ノ鼻で「十二様山神祭り」が行われ、毎年9月12日に行われるそうです。十二様は北関東から東北地方にかけての山の神の呼称だそうで、見本園の入り口に「山の鼻十二山神」という石碑が祀られています。群馬県側の山小屋の主人、尾瀬保護財団、ハイカーの方々で山の「安全」を祈願しました。ちょうどタイミングよく参加できたので、私も“山の神様”にお願いしてきました。山小屋の人たちによると、毎年、この日に限って、雨が降るらしいだとか。でも、ここのところ晴れが多かったので、久しぶりの恵みの雨だったそうです。

(9月12日 山ノ鼻)

【にぎわっていた餅つき大会】
安全祈願が終わったあとは、尾瀬ロッジ・山ノ鼻小屋・至仏山荘・山ノ鼻ビジターセンターの方たちが心をこめて作ったきのこ汁をハイカーの人たちに振る舞っていました。私もいただき、雨で濡れた身体に温まるキノコ汁を味わっていたら、横で餅つきが始まり、やる気満々のハイカーたちも混ざって、熱気であふれていました。今年は休日だったこともあり、例年に比べ、にぎわったそうです。

(9月12日 山ノ鼻)

【つきたてのお餅に・・・】
つきたてのお餅をきなことあんこにつけて、パクリ!とってもおいしい~。お餅とキノコ汁をついついお代わりしてしまいました・・・。以上、十二様山神祭り情報でした。

(9月12日 山ノ鼻)

【昆虫捕まえた!】

永年尾瀬保護活動担当の竹内です。以前より、拝命している「農林水産省生物多様性戦略検討会」の委員として、先日「COP10パートナーシップ事業 農林水産業と生物多様性に関するシンポジウムin東北」に参加させて頂きました。田んぼの生き物調査に続き開催されたシンポジウムでは、定員400名ほどの会場が一杯になり、皆さんの関心の高さに驚かされました。ここでは、捕虫網を大きく左右に20振りして、捕虫網に入る昆虫の数や種類を調べました。有機栽培に取り組む田んぼでは、明らかに種類も数も豊かだという結果が出ました。たくさんの昆虫を捕まえてご満悦。

(9月9日 宮城県大崎市周辺)

【あぜみちを飾る花】
あぜ道に咲く花を集めました。5分強歩いただけでトレーが一杯に。お花に囲まれて育ったお米なんてステキですね。昼食にこのお米で作ったお餅をいただいたのですが、お日さまの味がして、ほっこり 体が温かくなりました。

(9月9日 宮城県大崎市周辺)

次回は、10月上旬、秋が深まった尾瀬の様子などを中心に辰井よりお届けします。

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