尾瀬を知る

尾瀬だより

第17回 「尾瀬の麓・戸倉で見つけた動植物たち」

平成22年12月1日

12月に入り、朝はだんだん布団から出るのがつらい季節になってきましたね。尾瀬・戸倉では、毎日ストーブなどの暖房機器をつけない日はないくらい、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなっています。全国的に空気も乾燥してきていますので、火の元には十分注意してお過ごしください。今回の尾瀬だよりは、尾瀬の最新情報や群馬県で行われた講演会、地元の戸倉で見つけた動植物について辰井よりお届けします。

【来年度の木道工事の調査】
11月のはじめ、木道工事を担当する東京電力環境保全スタッフの安藤とともに、当社が整備している木道の老朽化やがたつき、冠水等の状況確認のため、シーズン終了後の尾瀬に行ってきました。この写真の場所では、ひとたび雨が降るとなかなか水位が下がらず、木道が冠水してしまっています。このような場所については右の写真のように水位計を設置してデータを収集し、木道の架け替えの際に活かしています。

(11月9日 山の鼻研究見本園にて)

【尾瀬ヶ原の水位計】
こちらが、昨年から尾瀬ヶ原地区に設置している水位計です。例年、大雨や台風などで湿原全体の水位が上がった際に木道が部分的に流されることがあるため、どの地点が冠水しやすいのか、今後はどのくらいの高さに木道を設置するのが望ましいのか、この水位計を設置して調査を行いました。今年は春先に計18箇所に設置し、増水時に環境保全スタッフたちが水位を観測してデータを集めてきてくれました。このデータを東電小屋に設置した雨量計の数値と比較しながら、今後の木道工事の設計に活かしていきたいと思います。

(5月 尾瀬ヶ原にて)

【尾瀬・戸倉教室の模様替え】
11月中旬から、東京電力自然学校尾瀬・戸倉教室の展示を冬模様に変えました。これまではブナの林と湿原をイメージして展示していたコーナーを入れ替え、広葉樹の林を再現しました。また、スノーシューを履いてのネイチャーツアーを企画し、東京電力自然学校スタッフ一同皆様のお越しをお待ちしておりますので、詳しくは東京電力自然学校HPの「イベント情報」をご覧下さい。

(11月18日 東京電力自然学校尾瀬・戸倉教室にて)

【群馬県での講演会】
群馬県前橋市で「環境フォーラム講演会」が行われ、この中で当社が取り組む尾瀬の自然保護活動について、桑原が講演をさせていただきました。日頃より環境への取り組みに熱心な方々が集まるフォーラムの場ということもあり、始まる前からとても緊張したそうです。落ち着いて話すことを心がけたそうですが、聴講されていた方によると、緊張のあまり顔が引きつっていたとか・・・。説明が終わりホッとしたのも束の間、来場者からの鋭い質問に一瞬ドキッとしたものの、上司のフォローもあり何とか無事に終わり胸をなでおろしたとのことでした。

(11月17日 群馬会館にて)

【ツルウメモドキの実】
ここからは、11月に尾瀬の麓・戸倉で撮影した写真についてご紹介します。このツルウメモドキは落葉性低木のツル植物で、日当たりのよい林などに生育します。ツルは他の植物にからまりながら上に伸び、大きくなって他の木を覆うこともあります。果実は秋に黄色く熟すと3つに裂け、中の黄赤色の実が現れます。実は、生け花や装飾用に使われるそうです。

(11月13日 戸倉十二ノ森公園にて)

【ジョウビタキ】
ツグミ科の仲間、冬によく見られる渡り鳥です。スズメよりわずかに小さく、オスは頭上が白く、目の周りが黒いのが特徴です。メスは頭が淡褐色でオスとは簡単に見分けられます。平地からの低山の明るく開けた林の中に生息し、昆虫類などを主に食べますが、冬にはムラサキシキブ、ツルウメモドキなどの木の実も食べます。

(11月13日 戸倉十二ノ森公園にて)

【カシラダカ】
名前の由来は、興奮すると頭頂部の羽を立たせることから「カシラダカ」と付けられたそうです。ホオジロ科の仲間で、体長は15cmくらい、体全体が茶褐色をしています。オスは胸やわき腹に、黒く米粒のようなまだら模様があります。群れで行動することが多く、明るい林などを好んで生息し、主に植物を好んで食べる鳥です。

(11月13日 戸倉十二ノ森公園にて撮影)

【カラマツの実】
カラマツは日当たりの良い場所を好む樹木で、戸倉山林にも多く生育する代表的な樹木です。成長が早いことから、明治時代以降特に寒冷地や高地で広く植林され、防風・防雪用にも使われています。カラマツ材は耐水性が強いことから、尾瀬の木道にもこのカラマツの木を使っています。

(11月18日 戸倉親水公園にて)

【ツルリンドウの実】
ツルリンドウはリンドウの仲間で、多年性のつる植物です。山地の木陰に生え、茎は細長く、地面や草木にからんで長さ40~80cmになり、薄紫色の花を葉の脇に咲かせます。花が終わる秋から冬にかけて、中から突き出すようにして出て、光沢を帯びた赤色の実をつけます。

(11月18日 戸倉親水公園にて)

【ヤマガシュウ】
山地に生えるユリ科の落葉つる性植物です。他の植物にからみついて大きくなり、枝には、大小ふぞろいのとげが直角に多数出ます。直径約6mmの球形で、10~11月に藍黒色(あいこくしょく)に熟します。「ヤマガシュウ(山何首烏)」は、葉の形が「何首烏(カシュウ)」という漢方薬になるツルドクダミ(タデ科)に似ていることからつけられた名前です。

(11月18日 戸倉親水公園にて)

【ノイバラ】
バラ科の落葉つる性低木の植物です。高さは2mくらいまで大きくなり、気候の寒暖や乾燥にも強い植物です。落葉低木で、枝は直立または半直立しながら、他の植物などに寄りかかりながら、よじ登る習性があります。とげが多く、春には2cm程の白色または、淡紅色の花を咲かせ、秋に果実が赤く熟します。

(11月18日 戸倉周辺にて)

【イケマの実】
つる性多年草の植物で、他の草などに巻きついて高さ2~5mまで成長します。茎や葉を傷つけると出る白い液は、シナンコトキシンなどを含んでいて有毒です。誤食した場合、嘔吐やけいれんを起こす事もあります。花が終わると大人の指くらい(8~11cmほど)の大きさの実をつけます。秋にはこの実が割れて、中からフワフワの綿毛に包まれた種子がはじけます。

(11月18日 西栗周辺にて)

【植林ボランティア予定地】
来春に実施予定の「第15回尾瀬戸倉山林植林ボランティア」実施に向けて、戸倉から鳩待峠に向かう途中にある西栗付近にて、植林の作業場所をつくるための造林作業を行っています。植林ボランティアの応募につきましては、来年の3月1日よりこのHPにて参加ボランティアの応募を行う予定ですので、楽しみにしていて下さい。

(11月18日 西栗周辺にて)

【ビックリ!キノコ】
一面にたくさんのキノコのついた幹を発見しました!東京電力自然学校スタッフによると、この木は毎年キノコが出ていたのではなく、今年初めて確認したそうです。キノコに触ってみると硬く、ごつごつしていました。地元の人にキノコの名前を聞いたり、図鑑で調べてみたそうですが、残念ながらわからなかったそうです。

(11月18日 戸倉周辺にて)

【ヤドリギ】
ブナやシラカバなどの落葉樹の枝に、柔らかそうなかたまりになってこんもりと丸く茂っている部分がありますが、これが「ヤドリギ」という植物です。ヤドリギの果実を鳥が食べることにより、種が運ばれます。別の木々の枝に止まった鳥たちの糞に混じって移動したヤドリギの果実は枝に定着し、寄生をするのだそうです。

(11月18日 戸倉周辺にて)

次回の尾瀬だよりは、12月の尾瀬・戸倉の様子をはじめ、シーズン中は紹介できなかった浄化槽の修繕や至仏山の保全対策などを中心にお届けします。

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