中間指針第五次追補等を踏まえた追加の賠償基準に係る具体的なお取り扱い等について
2023年3月27日
東京電力ホールディングス株式会社
福島復興本社
当社福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の事故(以下、「本件事故」)により、発電所周辺地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて心よりお詫び申し上げます。
当社は、昨年12月20日に原子力損害賠償紛争審査会において決定された「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第五次追補(集団訴訟の確定判決等を踏まえた指針の見直しについて)」(以下、「中間指針第五次追補」)や、政府等のご指導等を踏まえた追加の賠償基準の概要を、本年1月、取りまとめました(2023年1月31日お知らせ済み)。
その際に検討中としておりましたADRセンターの総括基準を踏まえた精神的損害の増額事由(⑥~⑩)を含む、追加の賠償基準の概要やご請求手続き等について、以下のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。
今回追加した賠償項目においても、これまでと同様、ご請求者さまの請求書作成のご負担を軽減する観点から、世帯構成単位でご請求を受付させていただきます。しかしながら、本件事故から12年が経過する中、お住まいのご移転に加え、お子さまの独立やご結婚などにより本件事故時点の世帯構成に変化が生じているご家庭も多いと考えています。
つきましては、迅速かつ適切に手続きを進めるため、ご請求の受付に先立ち、ご請求者さまの世帯構成や郵送先住所の変更手続きの受付を開始させていただきます。また、二人以上の世帯からご請求をいただく場合には、代表してご請求される方(以下、「世帯代表者」)が、その他の世帯構成員の方(以下、「委任者」)全員の委任書および本人確認書類を揃えてご提出いただきます。
具体的には、本日から、ご請求者さまの世帯構成や郵送先住所の変更手続きの受付を開始させていただき、4月10日から、ウェブサイトを通じたご請求の受付を開始させていただきます。また、請求書でのご請求をご希望される方につきましては、当社へご連絡をいただき、現在の郵送先住所を確認後、請求書を順次発送させていただきます。
なお、当社が現在の郵送先住所が確認出来た方で、ご請求受付開始から一定期間経過してもご請求手続きをされていない方には、5月以降、ダイレクトメールを送付させていただきます。
当社としましては、引き続き、国や自治体さまの協力をいただきながら、SNSによる情報発信やチラシの配布、自治体さまの広報誌への掲載などによって、ご請求の促進を図り、迅速かつ適切な賠償を進めてまいります。
1.1月31日のお知らせ以降具体化した賠償基準
(⇒1月31日にお知らせした内容を含む賠償基準の全体概要は「別紙1」をご参照ください)
(1)生活基盤変容に準じる精神的損害
①対象となる損害
避難指示期間中、本件事故前に親が構築していた生活基盤による充実した養育を受けることができなかったと考えられることを踏まえ、本件事故後に生まれた方の精神的損害を対象とさせていただきます。
②対象となる方および対象期間・損害額
賠償の対象となる方 | 対象期間 | 損害額 |
---|---|---|
本件事故時点における生活の本拠が居住制限区域または避難指示解除準備区域(大熊町もしくは双葉町を除く)、楢葉町の緊急時避難準備区域にあった方を親とし、本件事故以降、2017年3月末までに生まれ、かつ、その親と避難生活を共にした方 | 出生月~2017年3月末 | 「対象期間の月数」×3万円/月 |
本件事故時点における生活の本拠が緊急時避難準備区域(楢葉町を除く)にあった方を親とし、本件事故以降、2011年9月末までに生まれ、かつ、その親と避難生活を共にした方 | 出生月~2011年9月末 | 「対象期間の月数」×3万円/月 |
(2)精神的損害の増額事由【ADRセンターの総括基準を踏まえ中間指針第五次追補に示された増額事由⑥~⑩】
増額事由 |
賠償の対象となる方 (避難等対象者※1の方のうち以下に該当する方) |
対象期間 | 損害額 |
---|---|---|---|
⑥重度又は中等度の持病があること | 厚生労働省の定める特定疾病、特発性血小板減少性紫斑病、ベーチェット病、透析治療を要する慢性腎不全のいずれかを有する方 (ただし、増額事由「①要介護状態にあること」、増額事由「②身体又は精神の障害があること」のいずれにも該当しない場合に限る)※2 | 日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間のうち、増額事由に該当する期間 | 月額3万円※3 |
透析治療を要する慢性腎不全を有する方のうち、避難により医療機関への通院に係る時間が増加するなど従前と同様の治療を妨げられた方※4 | 本件事故から6ヶ月間 | 月額5万円 | |
⑦⑥の者の介護を恒常的に行ったこと | ⑥の対象となる方の介護者 | 日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間のうち、増額事由に該当する期間 | 月額3万円※3 |
⑧家族の別離、二重生活等が生じたこと | 避難生活に伴い、18歳以下の方が親との別離を余儀なくされたご家庭 | 日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間のうち、増額事由に該当する期間 |
〇0歳~12歳 月額3万円 〇13歳~15歳 月額2万円 〇16歳~18歳 月額1万円 |
⑨避難所の移動回数が多かったこと | 本件事故時点における生活の本拠が福島第一原子力発電所から半径20㎞の区域にあり避難された方のうち、2011年5月以降に6回以上避難所に移動した方 | 2011年5月以降、日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間 | 〇一時金として5万円 |
本件事故時点における生活の本拠が福島第二原子力発電所から半径8㎞~半径10㎞までの区域のうち、福島第一原子力発電所から半径20㎞の区域外にあり避難された方のうち、2011年5月以降に6回以上避難所に移動した方 | |||
上記以外の方で本件事故以降6回以上避難所に移動した方 | 日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間 | ||
⑩避難生活に適応が困難な客観的事情であって、上記の事情と同程度以上の困難さがあるものがあったこと | 左記事由に該当する方 | 日常生活阻害慰謝料の賠償対象期間のうち、増額事由に該当する期間 | 個別にご事情をお伺いし適切に対応させていただきます |
- ※1 下記のいずれかに該当される方が対象となります。
・本件事故が発生した後に避難等対象区域より同区域外ヘ避難し、引き続き同区域外滞在を余儀なくされた方
・避難等対象区域内に住居があるものの本件事故時点に同区域外に滞在され、引き続き同区域外に滞在を余儀なくされた方
・屋内退避区域内で屋内への退避を余儀なくされた方 - ※2 【特定疾病】(厚生労働省HP「特定疾病の選定基準の考え方」の項番2を参考)
1.がん※ 2.関節リウマチ 3.筋萎縮性側索硬化症 4.後縦靱帯骨化症 5.骨折を伴う骨粗鬆症 6.認知症 7.進行性核上性麻痺、 大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) 8.脊髄小脳変性症 9.脊柱管狭窄症 10.早老症 11.多系統萎縮症 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 13.脳血管疾患 14.閉塞性動脈硬化症 15.慢性閉塞性肺疾患 16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
※医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る
【その他】
特発性血小板減少性紫斑病、ベーチェット病、透析治療を要する慢性腎不全 - ※3 「避難生活等による精神的損害(要介護者さま等への増額)に係る賠償について」(2014年1月17日お知らせ済み)にて個別のご事情に応じた賠償額(一人当たり月額1万円、1万5千円、2万円)をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。
- ※4 増額事由「①要介護状態にあること」または「②身体又は精神の障害があること」の対象となる方のうち、「透析治療を要する慢性腎不全を有し、避難により医療機関への通院に係る時間が増加するなど従前と同様の治療を妨げられた方については、月額5万円を追加でお支払いします。
<増額事由が複数該当する場合や複数の方が介護していた場合などの扱い>
- 「①要介護状態にあること」「②身体又は精神の障害があること」「⑥重度又は中等度の持病があること」の複数事由に該当する場合は、いずれか一つの項目を賠償させていただきます。
- 「③①又は②の者の介護を恒常的に行ったこと」「④乳幼児の世話を恒常的に行ったこと」「⑦⑥の者の介護を恒常的に行ったこと」については、同一の対象者に対して複数人で介護・世話を行った場合は、「別紙1」に記載の損害額を、原則として、介護・世話をされた方の人数で按分させていただきます。
- 1人で複数人の介護または乳幼児の世話を担われた場合には、人数に応じて「別紙1」に記載の損害額を加算いたします。ただし、1人で合計3人以上の介護または乳幼児の世話をされていた場合には、介護または乳幼児の世話のご負担の程度を考慮して、3人目以降の損害額は、対象となる増額事由の金額の低い順から半額にして加算させていただきます。
- 「⑤妊娠中であること」「⑨避難所の移動回数が多かったこと」に係る一時金を除き、増額事由に係る一ヶ月の合計損害額が、ご請求者さま一人当たり10万円を超過する場合には、ご事情を詳細にお伺いし対応させていただきます。
- ADRセンターでの和解の仲介手続で精神的損害を増額してお支払い済みの場合は、同一の対象期間における賠償金額の合計との差額を追加でお支払いさせていただきます。
2.ご請求手続きに関するお取り扱い(⇒全体手続きの流れは「別紙2」を参照)
今回追加した賠償項目においても、これまでと同様、ご請求者さまの請求書作成のご負担を軽減する観点から、世帯単位でご請求を受け付けさせていただきます。
(1) ご請求前の手続き(「別紙2」ステップ1)
これまでに賠償金のお支払いをさせていただいた郵送先住所等の変更や、世帯構成の変化(成人、結婚、就職、別離など)が生じているご家庭におかれましては、ご請求の受付に先立ち、以下のお手続きをお願いいたします。
① 受付開始時期
ご請求の受付に先立ち、2023年3月27日から開始いたします。
② 手続き内容
- a.世帯構成変更の手続き(世帯分割)
これまでの賠償請求で世帯代表者の方にご請求手続きを委任された方が、自らご請求することをご希望される場合など、これまでと異なる世帯構成でのご請求を希望される場合 - b.郵送先住所変更の手続き
これまでに賠償金のお支払いをさせていただいた郵送先住所に変更がある場合
③ 手続き方法
- 末尾に記載の「福島原子力補償相談室(コールセンター)ご相談専用ダイヤル」までご連絡をいただくか、最寄りの相談窓口でのお手続きをお願いいたします。
- 上記手続き完了後、ご請求手続きを進めていただきます。
- なお、これまで世帯代表者としてご請求されている方につきましては、2023年4月10日から、ウェブサイト(以下、「ウェブ」)でも手続きいただけます。
(2)ウェブ請求受付、請求書受付(増額事由①~⑩以外)(「別紙2」ステップ2)
精神的損害の増額事由①~⑩以外は、ウェブ請求または、請求書のいずれかでご請求の受付をさせていただきます。
① 受付開始時期
- 2023年4月10日からウェブでのご請求受付を開始し、請求書の受付についても郵送先住所を確認後、順次開始いたします。
② 対象となる賠償項目
・過酷避難状況による精神的損害
・避難費用、日常生活阻害慰謝料
・生活基盤変容による精神的損害
・生活基盤変容に準じる精神的損害
・健康不安に基礎を置く精神的損害
・自主的避難等に係る損害
・福島県県南地域または宮城県丸森町における自主的避難等に係る損害
※精神的損害の増額事由①~⑩については、請求書での受付を予定しております。2023年4月10日以降、上記の賠償項目をご請求される際に、増額事由①~⑩に関して、請求のご意向を確認させていただいたうえで、対象となる方へ請求書を発送させていただきます。(「(3)①」において後述)
③ ウェブでのご請求受付
a.現在の世帯構成や郵送先住所の確認・変更手続き
ウェブが閲覧でき、当社への直接請求手続きでご請求履歴がある世帯代表者につきましては、ウェブでも世帯構成や郵送先住所の確認・変更手続きをいただけますので、ご請求前に確認・変更登録をお願いいたします。
b.ウェブ請求いただける方
ウェブが閲覧でき、当社への直接請求手続きでご請求履歴がある世帯代表者につきましては、現在の郵送先住所などを確認・変更手続き後、ウェブを通じてご請求をお願いいたします。
※訴訟やADR手続きでお支払いを受けたことがある方などは、ウェブで世帯構成や郵送先住所の変更手続きをいただけますが、ウェブでご請求手続きを進められないため、郵送先住所確認後、順次請求書を発送させていただきます。
④ 請求書でのご請求受付
請求書での手続きをご希望される方や、世帯構成変更の手続きにより新たに世帯代表者としてご請求される方につきましては、郵送先住所をご確認後、順次請求書を発送させていただきますので、末尾に記載の「福島原子力補償相談室(コールセンター)ご相談専用ダイヤル」までご連絡をいただくか、最寄りの相談窓口でのお手続きをお願いいたします。
(3)精神的損害の増額事由①~⑩の賠償受付(「別紙2」ステップ4)
精神的損害の増額事由①~⑩については、請求書にてご請求の受付をさせていただきます。4月10日以降、「(2)②」の対象となる賠償項目の受付時に、増額事由①~⑩についてご請求のご意向を確認させていただいた、対象となる世帯代表者の方に請求書を順次発送させていただきます。
① 受付開始時期
2023年6月20日からご請求の受付を開始いたします。
② 対象となる賠償項目
・精神的損害の増額事由①~⑩
③ ご請求いただける方
・精神的損害の増額事由①~⑩の請求をご希望される世帯代表者の方
(4)ご請求時の手続き(二人以上の世帯が対象となります)
二人以上の世帯の場合には、ご請求時に以下①および②の書類をご提出いただきます。
① 委任書
- 二人以上の世帯の世帯代表者の方へ、ご請求時に委任書※をお送りいたします。
- 世帯代表者の方につきましては、その他の世帯構成員(以下、「委任者」)の方全員の委任書をご提出いただきます。
※委任者の方が世帯代表者の方へ請求手続きを委任されたことを確認させていただくための所定の様式です。委任者の方お一人お一人の署名もいただきます。
② ご本人(委任者)確認書類
- 世帯代表者の方につきましては、委任者の方全員のご本人確認書類をご提出いただきます。 (ご本人確認書類例)
- 運転免許証・健康保険証等の写しなど
(5) ご請求受付開始後のご請求の促進に向けた対応(「別紙2」ステップ3)
当社が現在の郵送先住所が確認出来た方で、ご請求受付開始から一定期間経過してもご請求手続きをされていない方には、5月以降、ダイレクトメールを送付させていただき、ウェブでのご請求をご案内するとともに、請求書の送付を希望される方については、順次請求書を郵送させていただきます。
また、国や自治体さまの協力をいただきながら、SNSによる情報発信やチラシの配布、自治体さまの広報誌への掲載などにより、ご請求の促進を図ってまいります。
3.お問い合わせ先など
2023年1月31日、中間指針第五次追補決定に伴うお問い合わせに対応させていただけるよう、「ご相談専用ダイヤル」を開設し、分かりやすい情報発信を目的に、賠償対象区域や損害額等をご紹介させていただく「専用ページ」を当社ホームページに開設しております。
また、4月10日、「専用ページ」にウェブを通じたご請求方法に関する解説動画も掲載させていただきます。
引き続き、被害を受けられた皆さまに対して丁寧な対応に努め、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいります。
(1) 中間指針第五次追補決定に係る精神的損害等の賠償に関するご相談専用ダイヤル
・開設日 :2023年1月31日(火)
・電話番号:0120-926-470
・受付時間:午前9時~午後7時(月~金[除く休祝日])
午前9時~午後5時(土・日・休祝日)
(2) 福島県内の相談窓口のご案内
https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/compensation/images/20230104.pdf
(3) 中間指針第五次追補決定における精神的損害等の賠償に関する専用ページ
・専用HP開設日 :2023年1月31日(火)
・ウェブ請求受付開始日:2023年4月10日(月)
・URL:入口は共通
https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/compensation/daigojitsuiho/index-j.html
(2023年1月31日の掲載内容)
〇追加賠償基準の概要
〇賠償対象区域の概念図
〇ご請求からお振込みまでの流れ
〇よくあるご質問
(2023年3月27日の掲載内容)
〇上記、「追加賠償基準の概要」、「ご請求からお振込みまでの流れ」、「よくあるご質問」について更新しています。
(2023年4月10日の掲載内容)
〇ウェブでのご請求方法の動画解説
〇ウェブでのご請求に関する操作手順(PDF)
<別紙>
以 上