2023年1月31日
東京電力ホールディングス株式会社
福島復興本社

 当社福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の事故により、発電所周辺地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて心よりお詫び申し上げます。

 昨年12月20日、原子力損害賠償紛争審査会において「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第五次追補(集団訴訟の確定判決等を踏まえた指針の見直しについて)」(以下、「中間指針第五次追補」)が決定されるとともに、文部科学大臣から「第五次追補を十分踏まえ、被害者に対する誠実な対応による迅速、公平かつ適正な賠償の実施」等についてご要請をいただきました。

 また、与党東日本大震災復興加速化本部からの申し入れに加え、経済産業大臣からも「中間指針第五次追補を踏まえた迅速な賠償の実施」、「福島県県南地域および宮城県丸森町への対応」等についてご指導をいただきました。

 このたび、中間指針第五次追補や原子力損害賠償紛争審査会のご議論の内容、政府からいただいたご指導の内容等を踏まえた、追加でお支払いさせていただく金額等の賠償基準の概要について、以下のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。

 中間指針第五次追補で示された内容のうち、今回お示しした内容以外の項目や受付開始時期等については、3月中を目途に改めてお知らせさせていただきます。
 引き続き、国や自治体等の関係者の皆さまのご協力もいただきつつ準備を進め、できる限り早期にご請求の受付を開始して、お支払いが着実に実施できるよう、取り組んでまいります。また、従来どおりの請求書によるご請求方法に加えて、ご請求の際のご負担を少しでも軽減できるよう、一部のご請求について、ウェブサイトを通じてご請求いただけるよう準備を進めております。

 被害を受けられた皆さまからのお問い合わせに対応させていただくための「ご相談専用ダイヤル」を、本日、開設いたしました。また、分かりやすい情報発信を目的に、損害額や対象区域等をご紹介させていただく「専用ページ」を、本日、当社ホームページに開設いたしました。
 こうした取り組み等により、引き続き、被害を受けられた皆さまに対して丁寧な対応に努め、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいります。

1.はじめに
 中間指針第五次追補にて新たに示された損害のうち、現在お示しできる賠償対象となる損害は、以下のとおりです。
 なお、今回お示しした内容以外の項目や受付開始時期等につきましては、3月中を目途に改めてお知らせさせていただきます。

2.お支払いさせていただく対象
① 過酷避難状況による精神的損害
(1)対象となる損害
 過酷避難状況(放射線に関する情報が不足する中で、被ばくの不安と、今後の展開に関する見通しも示されない不安を抱きつつ、着の身着のまま取るものも取り敢えずの過酷な状況の中で避難を強いられたこと)による精神的苦痛を対象とさせていただきます。

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
本件事故時点における生活の本拠が福島第一原子力発電所から半径20kmの区域にあり避難された方 本件事故発生から6ヶ月間 30万円
本件事故時点における生活の本拠が福島第二原子力発電所から半径8km~半径10kmまでの区域のうち、福島第一原子力発電所から半径20kmの区域外にあり避難された方 避難指示が出されていた期間
(本件事故発生から2ヶ月間)
15万円

② 避難費用、日常生活阻害慰謝料および生活基盤変容による精神的損害
<避難費用、日常生活阻害慰謝料>
(1)対象となる損害
政府による避難指示等により、避難等対象区域より同区域外へ避難し引き続き同区域外滞在を長期間余儀なくされた方、および同区域内に住居があるものの本件事故時点に同区域外に滞在され、引き続き同区域外の滞在を長期間余儀なくされた方が、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害され生じた精神的苦痛を対象とさせていただきます。

「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」における「第3 政府による避難等の指示等に係る損害について」に掲げる政府による避難等の指示等があった対象区域

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
本件事故時点における生活の本拠が帰還困難区域にあった方、または大熊町もしくは双葉町の居住制限区域もしくは避難指示解除準備区域にあった方 2017年6月~2018年3月 月額10万円

これまで2011年3月から2017年5月まで(75ヶ月間)を賠償対象期間として、損害額を750万円とさせていただいておりましたが、賠償対象期間を2018年3月まで10ヶ月間延伸し、100万円を追加してお支払いします。

<生活基盤変容による精神的損害>
(1)対象となる損害
 本件事故により、生活基盤が本件事故前の状況からかなりの程度毀損されたことにより生ずる精神的損害を対象とさせていただきます。

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方
(本件事故時点における生活の本拠が以下のいずれかに該当する方)
対象期間 損害額
居住制限区域および避難指示解除準備区域(大熊町もしくは双葉町を除く)、楢葉町の緊急時避難準備区域にあった方 期間の定めはありません 250万円
緊急時避難準備区域(楢葉町を除く)にあった方 50万円

本件事故時点における生活の本拠が、帰還困難区域、または大熊町もしくは双葉町の居住制限区域もしくは避難指示解除準備区域に該当される方については、「移住を余儀なくされたことによる精神的損害に係る賠償のお取り扱いについて」(2014年3月26日お知らせ済み)にて「生活基盤喪失による精神的損害」と同様の損害を賠償させていただいているため、追加のお支払いはございません。

③ 健康不安に基礎を置く精神的損害
(1)対象となる損害
 相当量の線量地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基礎を置く精神的損害を対象とさせていただきます。

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
本件事故時点における生活の本拠が計画的避難区域もしくは特定避難勧奨地点にあった方、または福島第一原子力発電所から20km圏内にあった方のうち、避難等で計画的避難区域に一定期間滞在された方 子供※1および妊婦※2の方 2011年3月~2011年12月 60万円※3
子供※1および妊婦※2以外の方 30万円※4
  • ※1  2011年3月11日~2011年12月31日の間に18歳以下であった方。
  • ※2  2011年3月11日~2011年12月31日の間に妊娠されていた期間がある方。
  • ※3  「本賠償における3回目のご請求書類の発送等について」(2012年3月5日お知らせ済み)にてご案内させていただいた子供および妊婦の方に賠償額40万円をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。
  • ※4  「本賠償における3回目のご請求書類の発送等について」(2012年3月5日お知らせ済み)にてご案内させていただいた子供および妊婦以外の方に賠償額8万円をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。

④ 精神的損害の増額事由【ADRセンターの総括基準を踏まえ中間指針第五次追補に示されたもの】
(1)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
増額事由※2※3
避難等対象者※1の方のうち、右記①~⑤の増額事由に該当する方 ① 要介護状態にあること
② 身体又は精神の障害があること
③ ①又は②の者の介護を恒常的に行ったこと
日常生活阻害慰謝料の賠償の対象となる期間のうち、増額事由に該当する期間 月額3万円※4
④ 乳幼児の世話を恒常的に行ったこと 〇乳幼児(満3歳未満)の世話を行っていた方
月額3万円
〇満3歳以上小学校就学前の幼児の世話を行っていた方
月額1万円
⑤ 妊娠中であること 〇本件事故時点に妊娠されていた方
妊娠月齢に関わらず一時金として30万円
〇本件事故以降に妊娠された方
妊娠期間中 月額3万円
  • ※1  下記のいずれかに該当される方が対象となります。
    ・本件事故が発生した後に避難等対象区域より同区域外ヘ避難し引き続き同区域外滞在を余儀なくされた方
    ・避難等対象区域内に住居があるものの本件事故時点に同区域外に滞在され、引き続き同区域外に滞在を余儀なくされた方
    ・屋内退避区域内で屋内への退避を余儀なくされた方
  • ※2  中間指針第五次追補に示された下記の事由につきましては、現在検討中となります。
      ⑥ 重度又は中等度の持病があること ⑦ ⑥の者の介護を恒常的に行ったこと
      ⑧ 家族の別離、二重生活等が生じたこと ⑨ 避難所の移動回数が多かったこと
      ⑩ 避難生活に適応が困難な客観的事情であって、上記の事情と同程度以上の困難さがあるものがあったこと
  • ※3  増額事由に複数該当する場合の追加賠償額の算定方法については、改めてお知らせさせていただきます。
  • ※4  「避難生活等による精神的損害(要介護者さま等への増額)に係る賠償について」(2014年1月17日お知らせ済み)にて個別のご事情に応じた賠償額(一人当たり月額1万円、1万5千円、2万円)をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。

⑤ 自主的避難等に係る損害
(1)対象となる損害
 本件事故時点における生活の本拠が自主的避難等対象区域※1にあった方のうち、放射線被ばくへの恐怖や不安により同区域内の住居から自主的避難を行った場合(本件事故発生時に同区域外に滞在され、引き続き同区域外に滞在した場合を含む。)は、以下の損害を対象とさせていただきます。

 本件事故時点における生活の本拠が自主的避難等対象区域にあった方のうち、放射線被ばくへの恐怖や不安を抱きながら同区域内に滞在を続けた場合は、以下の損害を対象とさせていただきます。

  • ※1  自主的避難等対象区域とは、以下の福島県内の市町村のうち避難等対象区域を除く区域となります。
    福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、相馬市、新地町、いわき市

 本件事故時点における生活の本拠が避難等対象区域(計画的避難区域・特定避難勧奨地点を除く)※2にあった方のうち、放射線被ばくへの恐怖や不安を抱きながら同区域内または自主的避難等対象区域内に滞在を続けた場合は、以下の損害を対象とさせていただきます。

  • ※2  本件事故時点における生活の本拠が計画的避難区域もしくは特定避難勧奨地点に あった方、または生活の本拠が福島第一原子力発電所から20km圏内にあった方のうち、避難等で計画的避難区域に一定期間滞在された方につきましては、中間指針第五次追補を踏まえ、自主的避難等に係る賠償ではなく、相当量の線量地域に一定期間滞在したことによる「③健康不安に基礎を置く精神的損害」を賠償させていただきます。

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
本件事故時点における生活の本拠が自主的避難等対象区域にあった方のうち、自主的避難等対象区域外に自主的に避難
または自主的避難等対象区域に滞在された方
子供および妊婦以外の方※1 2011年3月11日~2011年12月31日 20万円※2
本件事故時点における生活の本拠が避難等対象区域(計画的避難区域・特定避難勧奨地点を除く)にあった方※3のうち、同区域または自主的避難等対象区域に避難または滞在された方 2011年4月23日~2011年12月31日 20万円※4
  • ※1  子供および妊婦の方については、従前にお示しした賠償内容から変更がないため、追加のお支払いはございません。
  • ※2  ①「自主的避難等に係る損害に対する賠償の開始について」(2012年2月28日お知らせ済み)にてご案内させていただいた子供および妊婦以外の方に対する賠償額8万円、②「自主的避難等に係る損害に対する追加賠償について」(2012年12月5日お知らせ済み)にてご案内させていただいた子供および妊婦以外の方に対する追加的費用の賠償額4万円をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。例えば、12万円(①8万円+②4万円)をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補で対象となる損害額は20万円のため、8万円を追加でお支払いします。
  • ※3  屋内退避区域または南相馬市の一部地域(「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」において「地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域」として扱うこととされた区域)に生活の本拠があった方は、避難の有無や避難先を問わずお支払いの対象とさせていただきます。
  • ※4  「福島県の県南地域、宮城県丸森町および避難等対象区域の方に対する自主的避難等に係る損害に対する追加賠償について」(2013年2月13日お知らせ済み)にてご案内させていただいた「2.避難等対象区域の方に対する賠償」のうち、子供および妊婦以外の方に対する賠償額4万円をお支払い済みの場合には、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いします。

⑥ 福島県県南地域または宮城県丸森町における自主的避難等に係る損害
与党東日本大震災復興加速化本部からの申し入れや、与党の申入れを受けた国から当社への指導等を踏まえて追加賠償をさせていただきます。

(1)対象となる損害
 本件事故時点における生活の本拠が福島県県南地域※1(以下、「県南地域」)または宮城県丸森町(以下、「丸森町」)にあった方のうち、放射線被ばくへの恐怖や不安により県南地域または丸森町の住居から自主的避難を行った場合(本件事故発生時に県南地域または丸森町以外に滞在され、引き続き同地域・同町以外に滞在した場合を含む。)は、以下の損害を対象とさせていただきます。

 本件事故時点における生活の本拠が県南地域または丸森町にあった方のうち、放射線被ばくへの恐怖や不安を抱きながら県南地域または丸森町に滞在を続けた場合は、以下の損害を対象とさせていただきます。

  • ※1  白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村

(2)対象となる方および対象期間・損害額

賠償の対象となる方 対象期間 損害額
本件事故時点における生活の本拠が県南地域にあった方のうち、同地域以外に避難もしくは同地域内に滞在された方、または本件事故時点における生活の本拠が丸森町にあった方のうち、同町以外に避難もしくは同町に滞在された方 子供および妊婦以外の方※1 2011年3月11日~2011年12月31日 10万円※2
  • ※1  子供および妊婦の方については、従前お示しした賠償内容から変更がないため、追加のお支払いはございません。
  • ※2  「自主的避難等に係る損害に対する追加賠償について」(2012年12月5日お知らせ済み)にてご案内させていただいた「2.福島県の県南地域および宮城県丸森町の方に対する賠償」のうち、子供および妊婦以外の方に対する追加的費用の賠償額4万円をお支払い済みの場合には、その金額との差額を追加でお支払いします。

3.お支払いさせていただく賠償額
 お支払いさせていただく賠償額については、前記「2.お支払いさせていただく対象」の各損害項目と同趣旨の損害について、直接請求手続、ADRセンターでの和解の仲介手続または訴訟などにおいて、賠償金をお支払い済みの場合は、中間指針第五次追補を踏まえ、その金額との差額を追加でお支払いさせていただきます。

4.ご請求の受付
 ご請求の受付開始時期やご請求方法については、3月中を目途にお知らせさせていただきます。
 また、従来どおりの請求書によるご請求方法に加えて、ご請求の際のご負担を少しでも軽減できるよう、一部のご請求について、ウェブサイトを通じてご請求いただけるよう準備を進めております。

5.お問い合わせ先など
中間指針第五次追補決定に伴うお問い合わせに対応させていただけるよう、「ご相談専用ダイヤル」を開設し、分かりやすい情報発信を目的に、賠償対象区域や損害額等をご紹介させていただく「専用ページ」を当社ホームページに開設いたしました。引き続き、被害を受けられた皆さまに対して丁寧な対応に努め、迅速かつ適切な賠償に取り組んでまいります。

(1)中間指針第五次追補決定に係る精神的損害等の賠償に関するご相談専用ダイヤル
  開設日 :2023年1月31日(火)
  電話番号:0120-926-470
  受付時間:午前9時~午後7時(月~金[除く休祝日])
       午前9時~午後5時(土・日・休祝日)

(2)中間指針第五次追補決定における精神的損害等の賠償に関する専用ページ
  開設日:2023年1月31日(火)
  URL:https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/compensation/daigojitsuiho/index-j.html

<別紙>

以 上

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