取材協力
株式会社 湯浅ファーム
〒 969-3539 福島県喜多方市塩川町源太屋敷字前畑1572番地
【掲載年月日:2019年6月28日】
「賞をとってからは、『ふくしま会津牛』をほしいって言っていただける方が増えました」
「福島牛の売価は、市場平均価格にはまだ届いていない状態です。でも、いい肉をつくり続けていけば、評価を得られて徐々に追いつくと信じています」
湯浅さんが考えるいい肉は、飽きのこない味で、好きなだけおいしく食べられる肉。例えるならマグロの脂のように、食べた後味がサラッとしている究極の牛肉をつくりたいという。
濃いうま味の赤身に脂がバランスよくきめ細かく入り、柔らかく舌先でとける、そんな特徴のある牛肉だ。
理想の『ふくしま会津牛』と共に生きる湯浅さんには、まだこれからの課題がある。
畜産農家を営む仲間が激減し、出荷頭数が減ったままになっていることだ。
「震災前は月あたり約36頭は出荷していたのに今は12頭ほど。せっかく需要が戻ってきているのに、今度は牛の頭数が足りない。お客さまから指名いただくためにも、それなりの頭数を継続して出荷することを考えていかないと」
地域の問題に頭を悩ませつつも、『ふくしま会津牛』をさらに上質な牛に育てあげて、“この肉がほしい”という買参人を増やしていきたい、と願う湯浅さん。
それと同時に、会津を含め各地域が頑張って県内の統一ブランド・福島牛の全体をベースアップして、風評被害を完全に払拭したいという思いである。
「福島には牛肥育の匠の農家がいっぱいいらっしゃるので、一丸となってやっていきたいですね。これまで会津で配合を工夫してきたエサも使ってもらったりして、福島牛は肉質的にすごいって言われるように一緒につくり上げていきたい。これからはそうなると思います」
県内の「若人の会」の副会長にもなっている湯浅さん。
『福島牛』を仲間として盛り上げていくために近い将来何ができるか、『ふくしま会津牛』同様に牛の品質で名高い『相馬牛』の産地にいる会長と話をしている。
出荷頭数を増やすということでは、後継者宣言をした三代目、湯浅さんの長男に繁殖の道を勧めているそうだ。
「肥育と繁殖とでは牛の育て方が違う。肥育はおいしい肉質をつくるために太らせる。繁殖は、仔牛を生む力をつけさせる。筋肉質にする。それぞれに大事な育て方の技術が必要です。先入観のない若手なら、繁殖のコツがすぐにつかめると思います」
いずれもう一棟、繁殖用の牛舎を建てたいと考えている湯浅さん。その時の主役は長男になることは間違いない。
「『ふくしま会津牛』を絶やさない、お客さまに“いいものを”って、期待され続けられるようにしていきたい。先輩たちがつくってきた流れを壊さずに、さらに『ふくしま会津牛』が日本一の肉として有名になって、こんなにいい肉が日本にあるんだ、ということを日本中の人に知ってほしいです」
そして、マイナスの知名度を逆手にとってプラスに転換してPRしていけば、きっといい福島になっていくのではないかと湯浅さんは考えている。
「外国の人でも“FUKUSHIMA”は知っていますから、あの“FUKUSHIMA”にこんなにおいしいものがたくさんあるんだ、サラっとした脂とやわらかな赤身のいい肉があるんだ、っていうことを発見してもらえれば、外国からの観光客も増えるのではないでしょうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、福島でも野球とソフトボールの予選が開催されるし、是非とも福島に来ていただき、おいしいお肉や野菜や果物をいっぱい食べて、食の幸も楽しんでもらいたいですね。福島はいいところです。米もうまいし、水もうまい。酒は最高だし、『ふくしま会津牛』がある。それに何より、俺の故郷ですから!」
湯浅さんの快活に笑う声が、牛舎の奥まで響いていった。 (完)
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株式会社 湯浅ファーム
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