通信機能等の新機能を搭載!
導入が進む“スマートメーター”ってどんなもの?

2016/04/01

2016年4月、電力小売自由化の対象が一般の家庭にまで拡大した。最近ではテレビやインターネットを通じて、自由化についてたびたび目にすることも多い。とはいえ、いままでと何が違うのかわからないという方も多いはず。東京電力パワーグリッドをはじめ各電力会社が全国で導入を進めている自由化のキーアイテム「スマートメーター」について、推進事業の最前線にいる竹谷脩さんに話を聞いた。

スマートメーター推進室 営業業務革新グループ
竹谷脩

2010年入社。江東支社の料金グループに配属、メーターを検針し、お客さまの電気使用量を確定する業務を担当。
2014年10月、スマートメーター推進室に異動し、現在に至る。

家庭の電気使用量を30分ごとに計測。
さらに通信機能が搭載されデータ通信が可能に!

東京電力パワーグリッドが導入を進めているスマートメーターは、この自由化にあたり、その変化を目に見えるカタチで感じさせてくれるアイテムだろう。はたしてどういう電力メーターなのか。どんな機能があり、これまでと何が違うのだろう。

竹谷「スマートメーターとは、ご家庭の電気ご使用量をデジタルで計量する通信機能を持った電力メーターです。現在、当社エリアはもちろん、すべての電力会社が導入を進めており、2020年代の早期には全世帯への導入を完了する予定となっています。」

竹谷「従来の電力メーターでは、月1回の検針でメーターの数字を確認。当月の数字と前月の数字の差し引きで1カ月間の電気の総使用量を算定していますが、スマートメーターは30分ごとの使用量を計量します。そして最大の違いは、通信機能が搭載されたこと。メーターの内部に通信部が搭載されていて、スマートメーターと電力会社、また、スマートメーターとご自宅内のHEMS(Home Energy Managemant System=家庭で使うエネルギーをかしこく管理するシステム)機器との通信が可能になりました。」

各メーカーが開発を進めているスマートメーター。コストダウンのため、サイズなど最低限の共通仕様を決定。メーカーにより形や液晶サイズに若干の違いがあるが、機能はどれも同じだ。

これまではグルグルとメーターの中の円盤が回転し、電力使用量がアナログ表示されていた計量部。スマートメーターでは、計量値がディスプレイにデジタル表示される。表示もすっきりスマートにしつつ、通信機能を搭載。デザインフリーや国際標準規格を採用し、開発コストの低減はもちろん、外部接続性や技術的拡張性を図っている。

無線により個人データを送受信できるとなると、接続の安定性やセキュリティ面を心配するお客さまもいると思ってしまうが、実際のところはどうなのだろう。

竹谷「スマートメーターと電力事業者間との通信は、無線方式・携帯方式、さらにこれは現在開発中ですが、PLC方式(Power Line Communication=電力線を通信線として使用する技術)を組み合わせ、住宅密集地域から山間部まで、安定した通信が行えるような工夫を行います。無線方式は、無線マルチホップ方式とも言われますが、隣接したスマートメーター同士がバケツリレーをして電柱などに設置されたコンセントレーターと呼ばれる集約装置までの通信を行う方式です。主に住宅密集地域に適用しています。また、携帯方式は、スマートメーターから直接データを携帯電話の基地局に送信する方式で、主に郊外や山間地に適用しています。このような通信により、スマートメーターのデータは、当社のメーターデータ管理システム(MDMS)サーバまで送られてきます。また、宅内のHEMS機器との通信は国際規格(Wi-SUN)に対応。いずれも、安全かつ安定した相互の接続性を確保し、正確に電気ご使用量等のデータ送受信が可能です。」

竹谷「そして、スマートメーターが適切に動作しているかどうか、不正な動きやアクセスはないかなど、スマートメーターに関する品質管理やセキュリティチェックなどを、24時間365日態勢で当社のスマートメーターオペレーションセンターが行っています。」

スマートメーターから電力事業者へデータ通信のイメージ

スマートメーターから電力事業者へデータ通信のイメージ

2020年度までに約2,700万台すべての設置完了が目標。
導入スピードがますます加速している

2014年から導入が開始されたスマートメーターは、現在どの程度導入が進んでいるのだろうか。

竹谷「東京電力パワーグリッドで約2,700万台を導入予定ですが、2016年3月22日現在、当社エリア全体で約468万台を設置済みです。当初は、2014年から2023年にかけてメーターの有効期限にあわせての交換を計画していましたが、少しでも早く多くのお客さまにスマートメーターをご利用いただけるよう、当初計画を3年前倒して2020年度までに全数設置を行う計画に見直しています。2016年度からは、設置を加速し、2016年度末には1,000万台の交換が完了する予定です。」

具体的に自分が使っているメーターがいつ交換されるのか、気になる人も多いだろう。ひと言で言えば、現在のメーターの有効期限が切れたときが交換時期になるのだという。

竹谷「ご自宅のメーターをご覧になるとわかりますが、メーターのカバーに丸いシールが貼られており、メーターの有効期限が表示されています。電力メーターは5~10年ごとに交換しなければならないと計量法で定められているからです。」

交換にあたって、手続きなど私たちが何かを行う必要はあるのだろうか。

竹谷「メーターの有効期限で交換となる場合のお手続きは不要です。また、電気の契約先を変更される場合、お客さまが新しい契約先に変更手続きを行うことで、スマートメーターへの取替工事が手配されるため、この場合にもスマートメーター設置に関するお手続きは不要です。ご自宅内にHEMS機器を導入される場合で、スマートメーターからのデータ提供(Bルートサービス)をご希望の場合には、当社ホームページにて、お客さまからのお申し込みが必要です。お申し込みいただいた後、順次スマートメーターへ交換いたします。今後ご自宅を新築なさる場合は、最初からスマートメーターになりますね。いずれも、設置に費用はかかりませんし、交換作業も基本的には電気を止めることなく行います。」

  • 当初計画は、当社エリア全域に約2,700万台の設置としておりましたが、最近の情勢変動を考慮し、約2,900万台へ変更しております。

電気使用量の"見える化"と省エネ効果に期待大!
HEMS機器、家電との接続で、より快適な暮らしを実現。

スマートメーター設置により、私たち消費者には具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。

竹谷「通信機能が搭載され、遠隔での自動検針が可能となるため、毎月検針員が訪問して行っていた検針作業がなくなります。お引っ越し時の電気を止める手続きや契約アンペアの変更なども遠隔で行えますので、お客さまにお立ち会いいただくお手間が減りますね。」

竹谷「そして、停電など電気の不具合の際も、スマートメーターの機能が活躍します。通信でスマートメーターの通電状況を確認することで、不具合箇所をある程度判断することができます。スマートメーターまで正常に通電されている場合には、不具合原因はお客さまのご自宅内と想定できます。スマートメーターからの応答が無いときには、当社設備の不具合が考えられます。この機能により、点検や修理などその後の対応が迅速に行えます。」

竹谷「電気の"見える化"も大きなメリットです。スマートメーターからHEMS機器に30分ごとの電力使用量のデータを提供(Bルートサービス)できるので、より具体的に電気が時間帯別にどのように使われているのかを把握していただけます。お客さまご自身で電気の使用傾向がわかるので、省エネの工夫や電気の使い方の見直しなどに役立てていただけると思います。」

家庭内で使うエネルギーの管理システム"HEMS機器"とスマートメーターとをつなぐことによるメリットとはどのようなものになるのだろうか。

竹谷「スマートメーターには宅内向け通信機能(Bルート=電力情報発信サービス)が搭載されているので、ご自宅にHEMS機器が導入されていれば、それにより使用量を確認できますし、さらには、HEMS機器対応のエアコン、冷蔵庫など家電機器別の使用量を"見える化端末"でご覧いただけます。そうなれば、家電機器別、部屋ごとなど、よりきめ細やかな省エネも可能になりますね。」

今後、HEMS機器と対応家電が普及し、私たちのスマートフォンや携帯電話と連動するようになれば、外出していながら家の電気の使用量をチェックしたり、家電を操作したりすることも可能になる。そして、そういった新たなサービスが、すでにさまざま考えられているという。近未来のようなライフスタイル、スマートホームやエコハウスが実現するのは、そう遠い未来のことではないのかもしれない。

注:HEMS機器などご自宅内の設備は、お客さまの設置となります。

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