新潟で働く私たちの思い
〜あの日の思いを、決意に変えてつないでいく
2018/12/14
柏崎刈羽原子力発電所では、福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないために、災害に備えた様々な安全対策に取り組んでいます。そのなかで、緊急時の冷却対策に携わる社員が、自らの取り組みと安全への思いを語ります。
東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所
第一保全部 タービン(2・3号)グループ マネージャー
柳 勝司
1983年入社。福島第一原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所、青森県の東通原子力建設所などで、主に建設や保全の業務に携わり、2014年7月より現職。
緊急時に確実に原子炉を冷やす冷却対策
福島第一原子力発電所の事故では、すべての電源を失ったことで原子炉を冷やすことができなくなり、過酷な事故に至りました。その反省から、柏崎刈羽原子力発電所では、緊急時におけるさまざまな冷却対策を行っています。
電源を失い、通常のポンプで原子炉を冷やせなくなった場合には、原子炉を止めた直後に高圧ポンプで初期注水を行います。その後、原子炉の圧力を下げて低圧ポンプによる注水と、熱交換器を使用した除熱を行います。
初期注水には、電気を使わず原子炉からの蒸気でタービン(羽根車)を回し駆動するポンプ(図①)を使いますが、万が一に備えて、同じ仕組みのポンプを追加設置しました。また、原子炉の圧力を下げたときに確実な注水を行えるよう、消防ポンプ車(図②)を高台に分散配備しています。
そして、海抜45メートルの高台に貯水池(図③)を設置し、約2万トンの水を確保しています。さらに、新しい除熱システム(代替循環冷却系)を開発・導入しました。既存の除熱システムが使えなくなっても、代替熱交換器車(図④)を使用し、原子炉の熱を取り除きます。
私は、普段は発電に使用するタービンのメンテナンスを担当していますが、緊急時には復旧班の注水隊として、原子炉建屋に駆けつけ、当社社員だけで消防ポンプ車により原子炉に注水を行うべく活動します。
そのため、速やかに注水するための訓練を繰り返し行っています。
強い決意のもとで、一丸となって取り組む安全対策
福島第一原子力発電所の事故のとき、私は青森県の東通原子力建設所にいました。そして、事故から1週間後には、本社からの要請で首相官邸へ詰めることになり、そこで約1ヵ月半のあいだ、本社と首相官邸との連絡を行う担当になりました。逐次報告される現場の情報に触れながら、「みんな頑張ってくれよ」と祈るしかできないことにもどかしさを感じていました。
その後、福島第一原子力発電所で、作業員の休憩所を作るなどの環境整備に従事し、事故を起こした現場を自分の目で見た時、我々は取り返しのつかないことをしてしまったと身にしみて感じました。
だからこそ、生まれ故郷でもある柏崎市に戻り、柏崎刈羽原子力発電所に勤務するようになってからは、絶対にこの地を危険な目に遭わせてはいけないという強い思いを、改めて持つようになりました。
自らが先頭に立って、発電所の安全対策や万が一に備えた訓練に取り組むことは、事故当時を知る私の使命でもあると感じています。あのときの思いを忘れず、「二度と事故を起こさない」という決意のもと、発電所の仲間たちと共に、これからもより高いレベルの安全を追求し続けていきたいと思います。