尾瀬を知る

尾瀬だより

第22回 「今年初の除雪隊!」

平成23年2月15日

 暦の上では立春を過ぎ、里では春の気配が現れてくるといわれていますが、尾瀬では2月が冬本番。寒い時期の中でも、とても大切なお仕事はあるのです。尾瀬ヶ原や尾瀬沼では約2~3mほどの雪が積もり、雪の重みで建物が押しつぶされないよう山小屋の屋根に積もった雪を下ろす除雪作業など、スタッフたちは日々寒さと戦いながら、作業を行っています。また、尾瀬の麓・片品村戸倉にある東京電力自然学校では、冬にしかできないスノーシューを通して「尾瀬の自然」を学ぶことができるプログラムを行っています。

 さて、今回は、1月の終わり頃に尾瀬沼方面へ除雪作業に出かけた除雪隊より送られてきた写真を中心に桑原よりお届けいたします。ぜひ、ご覧ください。

【人員輸送ヘリコプターから見える風景】
本格的な雪の尾瀬へ出かける際に活躍するヘリコプター。ヘリコプターで尾瀬沼へ向かう途中に撮った1枚。「とてもきれいなショット!」と思い、東京電力環境保全スタッフに聞いたところ、機体はとても揺れていたため、撮るのがとても難しく、渾身の1枚だったそうです。尾瀬沼が雪に隠れて全く見えず、まるで大雪原のようです。悪天候のために1週間延期となった除雪作業ですが、出発はとてもいいお天気だったようです。
※写真上部に映る黒い棒のようなものは、ヘリコプターのローター(回転翼)です。

(1月24日 尾瀬沼上空より燧ケ岳方面)

【装備一式】
東京電力環境保全スタッフたちは除雪作業を行う3日間、山小屋で寝泊まりをします。もちろん、その期間の食事に必要な食料や水は自分たちで用意しなければならないため、ザックに詰め込んで持って行きます。これは2泊3日分の食料と水だそうです。(若干、写真の写りが悪くてごめんなさい)ところどころにあるスキーの板は、雪の上をスムーズに移動できるようにするための大切なアイテムです。これがなかったら、歩きでの移動は、身動きが取れなくなり、歩くのがきっと大変になるのでしょうね。尾瀬の中をスキーで滑ってみたいなと勝手に想像してしまう私でした。

(1月24日 尾瀬沼山荘前)

【雪をかぶった電気温水器室】
雪がこんもり乗った電気温水器室、建物よりも大きな雪の塊が乗っています。端の雪が今にも落ちてきそうな感じがしますが、なんだかマッシュルーム(きのこ)のような形をしているように見えます。そう見えるのは、私が食いしん坊?!のせいだからでしょうか。東京電力環境保全スタッフの話によると、屋根に積もった雪は2mほど越えていたそうです。

(1月24日 尾瀬沼山荘)

【建物の雪】
尾瀬沼山荘の屋根からこぼれ落ちそうなほど大きく張り出した雪庇(せっぴ)、いつ落ちてくるか判らないため、屋根の近くは近寄りません。除雪隊は、出発前に作業や移動時の危険などについて確認をきちんと行い、ビーコン(電波発信機や受信機)やゾンデ棒(雪に埋まった人を探す棒)を装備してから作業に取りかかっています。

(1月24日 尾瀬沼山荘)

【きれいになった屋根】
スタッフたち全員で協力しながら、屋根の雪をきれいに落としました。約2m以上あった雪の塊をきれいさっぱり落としました。なんだか、すっきりしたせいか、山小屋がいきいきとしたような気分に見えてしまいます。気温-12℃の吹雪の中、とても大きな雪の塊が多かったそうで雪を下ろすのが大変だったようですが、スタッフたちは全員無事だったそうです。もし、直下に人がいて落下する雪の塊に巻き込まれたらと思うとゾッとしてしまいますよね。

(1月25日 尾瀬沼山荘)

【ダケカンバ光と影】
最終日は、尾瀬沼山荘から大清水に向かっての下山となりました。下山途中、大きく枝を張り出したダケカンバと影をパチリ。東京電力環境保全スタッフの話によると、ダケカンバの影が気になって、足を止めたそうです。ちょうど太陽の光が差し込み、大きな影が威厳さを物語っていて、しばらくその場から離れることができなかったようです。(影がちょっと切れかかってしまって、ごめんなさい。)実物の大きさより横にのびた姿が、きっと迫力があったのでしょうね。

(1月26日 三平峠)

【新雪を滑る】
山スキーで颯爽(さっそう)と滑降(かっこう)する東京電力環境保全スタッフ!かと思いきや、実は転がってもがいているところだったそうです。滑るだけだから下りは気持ちよさそう!って思っていたら、そうはいかないようです。スタッフたちは重い荷物を担いで降りなければならないので、気を緩めずに安全に滑り降りをしていかないといけないのだそうです。意外と、体力がいるかもしれないですね・・・。

(1月26日 三平峠)

【これは何の木?】
雪化粧した樹々でとても神秘的な尾瀬の中、綿雪のような姿となっていたのは、三平峠でよく見るオオシラビソの枯れ木だったそうです。水分を含んだ雪が、風もなく静かに積っていき、オオシラビソが一生懸命雪を持ち上げている様子が伝わってきそうです。

(1月26日 三平峠)

【目印が足元に・・・】
尾瀬のシーズン時、遭難防止のために、2mほどの高さに取り付けていた目印のテープが、冬では足元ぐらいで見られるようになりました。それくらいの雪が積もっていたそうで、尾瀬沼周辺では、平らなところで2m13cm、三平峠は、雪が直接日本海側から吹き付けてくるため、それ以上あったらしいようです。

(1月26日 三平峠)

【暗い森を進む】
空は晴れていても、三平峠頂上付近のオオシラビソ林内は暗く感じるそうです。積雪のため、陽光がさえぎられ、一段と暗く寒く感じ、妖気が漂うような感じがします。また、ここでは、大声や振動に注意しないと、上から雪の塊がドサッと落ちてくるそうです。いたずらはいけませんよね・・・。

(1月26日 三平峠)

【屋根の雪下ろし】
尾瀬沼から大清水へ下る途中にあり、一之瀬休憩所と公衆トイレの屋根を除雪しているところです。東京電力環境保全スタッフによれば、疲労のピークもあったみたいのようですが、スタッフみんなで声を掛け合いながら、安全第一にせっせと取り組んだそうです。お疲れ様でした!2月・3月にも、スタッフたちは尾瀬ヶ原と尾瀬沼への除雪作業へ行く予定です。2月には、辰井も同行する予定ですので、次回の尾瀬だよりで尾瀬ヶ原の除雪作業をご紹介したいと思います。

(1月26日 一之瀬)

【寒風吹く中で大工仕事】
東京電力自然学校尾瀬・戸倉教室のプログラムで使用するツールを作っているところです。寒い北風がぴゅーぴゅーと吹く中、東京電力自然学校スタッフたちはがたがたと震えながら大工仕事をしていました。写真の形で、何ができるのでしょうか。冬には欠かせない風物の1つです。答えは、次回の尾瀬だよりで詳しくご紹介をしたいと思います。ぜひ、お楽しみに。

(1月26日 尾瀬戸倉森林公園)

次回は、3月中旬、尾瀬ヶ原での除雪作業、2月に行われた自然学校プログラムをご紹介したいと思います。

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