尾瀬を知る

尾瀬だより

第9回 「第12回下草刈りボランティア」

平成22年9月1日

あっという間に猛暑の8月が過ぎていきましたが、皆様夏休みはどのように過ごされたのでしょうか。夏バテ気味の方も多くいらっしゃると思いますが、まだまだ厳しい残暑が続き長い夏になるようですので、日々の体調管理が本当に大切ですね。尾瀬でも例年以上に暑い日が続いていますが、尾瀬ヶ原では少しずつ秋の花も咲き始めたようです。

今回は、先週行った尾瀬戸倉山林の下草刈りボランティアを中心に、夏から秋へと季節が移り変わりはじめた尾瀬から辰井がお届けします。

【下草刈りボランティア】
8月26日~27日の2日間、尾瀬の南側に位置する森「尾瀬戸倉山林」において、「第12回下草刈りボランティア」を行いました。今回は北は新潟県や福島県、南は佐賀県や奈良県から、計111名のボランティアの方にご参加いただきました。下草刈りボランティアのスナップ写真はこちらよりご覧いただけます。

(8月27日 尾瀬戸倉山林)

【開会挨拶】
開会式で挨拶をする東京電力環境部長の影山です。この「下草刈りボランティア」は平成11年から開始し、今年で12回目を迎えました。今回は平成18年、19年に植林した約5,000本の苗木の保育作業として、この下草刈りを行いました。戸倉山林では、毎年ボランティアの方々にご協力いただきながら5月に植林、8月には下草刈りを行っています。詳細は「尾瀬でできるボランティア」のページをご覧ください。

(8月27日 尾瀬戸倉山林)

【班ごとに作業開始】
東京電力自然学校スタッフからの作業説明のあと、4班に分かれて作業を開始しました。スタッフからもお話しましたが、この尾瀬戸倉山林は、平成21年度に「フォレストック認定」FSC認証という2つの「森林認証」を取得し、第三者機関からのアドバイスをいただきながら管理・保育を行っています。これからも皆様のご協力をいただきながら、利根川水系の最上流域にあり「水源の森」であるこの戸倉山林を、より豊かな森にしていきたいと考えています。

(8月27日 尾瀬戸倉山林)

【小学生の男の子と】
東京からお父さんと一緒に初めて参加してくれた小学生の男の子と2人でパチリ。「夏休みの宿題がまだ終わってないよ~」と心配そうに話していたけれど、ちゃんと間に合ったのかな。夏休み最後の楽しい思い出になってもらえたらと思います。

(8月27日 尾瀬戸倉山林)

【悔しい!】
小学生になった頃から、お母さんと一緒に植林や下草刈りに参加してくれているゆさちゃん。すっかり大きくなって、今年は6年生になったそうです。「(以前参加したときに)植林したブナが私より背丈が高くなっていて悔しいけど、下草を刈ってあげることでブナを応援したい!」と元気に話していました。

(8月26日 尾瀬戸倉山林)

【こまめな休憩を】
暑い中でも皆様集中して作業をしていただいているのですが、熱中症対策のため、頻繁に休憩を入れて、水分を補給して頂くように班長からお願いしました。また、安全対策として、前日や当日朝に現地パトロールを実施し、現場にハチの巣等がないか入念にチェックするとともに、万が一の事故に備えて、毎回看護師の方にお越し頂き、救急箱やAEDも備えた体制で作業を行っています。

(8月27日 尾瀬戸倉山林)

【間伐体験型ゲーム】
お昼のランチタイムの際、体験型のゲームをしました。これは、参加者の方に植林した苗木になっていただき、苗木が生長して両手(両枝)を広げるまでに大きくなると、両手が隣の人に当たってしまい生長が阻害されてしまうため、適度な間引き(間伐)を行う必要性があること、また代表的な間伐の方法について、樹木医の笛木よりご説明しました。肩をポンと叩かれた方は間伐された苗木となり白いテープの外に出ていただくのですが、非常に盛り上がりました。

(8月26日 尾瀬戸倉山林)

【尾瀬ヶ原へのハイキング】
作業終了後、東京電力自然学校スタッフが同行して、尾瀬・戸倉教室に立ち寄った後、尾瀬ヶ原へのハイキングに出発しました。同行したスタッフ達に話を聞くと、参加した子供達からは質問攻めを受けたそうです。ところどころで、自然解説や当社の保護活動の解説をしながら、この日の宿泊地である山の鼻地区の至仏山荘へ向かいました。

(8月26日 鳩待峠)

【オニシモツケ】
ここからは、最近咲き始めた秋の花についてご紹介します。このオニシモツケの花は、白色か紅褐色を帯びていて、5~6mmほどの小さい花がまとまって多数つきます。切れ込みの深い手のひら状の葉は20~25cmで、ざらざらした葉触りがあり、触ると痛いのが特徴です。湿原の拠水林などに多く分布しています。

(8月11日 尾瀬戸倉山林にて撮影)

【ミズオトギリソウの実】
オトギリソウの仲間で7月中旬~8月中旬に赤紫色の花をつけるのは、この種類だけなのだそうです。葉の付け根に小指の先ほどの小さな花をつけ、午後になって開き、夕方にはしぼんでしまう植物です。ヒツジグサと同じで朝寝坊な花なのだそうです。

(8月11日 アヤメ平にて撮影)

【フキバッタの仲間】
フキバッタの仲間がときおり飛び、そのバッタが一緒に案内をしていたお客様のズボンに止まりました。皆さんがよく見かけるバッタの総称がフキバッタです。尾瀬に生息しているバッタ科の仲間は、8種類あります。

(8月18日 牛首~ヨッピ吊橋間にて撮影)

【ミヤマアキノキリンソウ】
湿原を黄色に染める代表的な秋の植物です。花は茎先に黄色い花をまとまってつきます。麒麟草とは、花が穂状(ほじょう)に長くつく姿を動物のキリンに見立てた説や中国の想像上の獣(キリン)で、体に黄色い毛があるため、花の色をその毛に見た立てたことなど、いろいろな説があります。

(8月18日 牛首~ヨッピ吊橋間にて撮影)

【チョウジギク】
長い花軸に柄のある花が、茎の先端に6~9個の黄色い花を横向きにつけます。花柄は長く白い毛が密生しています。その姿が、最初茎の先端に毛虫がついているかのように見えました。葉は、5cmほどの細長い楕円形で、先がとがり対(つい)になってついています。

(8月19日 見晴付近にて撮影)

【ヒメシロネ】
葉の付け根に米粒ほどの白い花を、輪生状に数個まとまってつけます。茎の断面が丸型ではなく、四角形をしているのはシソ科の特徴です。葉は互い違いに生え、上から見ると十字形に見えます。尾瀬では、同類のエゾシロネもありますが、見分け方は、葉の幅が狭いか広いかです。ヒメシロネは、葉の幅がせまく、先がとがっています。

(8月19日 牛首付近にて撮影)

次回の尾瀬だよりは、群馬県の山の鼻地区で9月2日~3日にかけて行われる「尾瀬サミット」や、今年度の木道工事での一コマを中心に、9月上旬頃に桑原よりお届けします。

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