尾瀬を知る

尾瀬だより

第2回 「第14回ブナ植林ボランティア」

平成22年6月15日

 今年は全国的に気候が不安定で、寒暖の差が大きい日が続いておりますが、皆さま体調など崩されていませんでしょうか。前回の尾瀬だよりでは、まだ残雪の残る尾瀬に驚かれた方もいらっしゃると思いますが、その後尾瀬でも順調に気温が上がり、ようやく新緑と青空に包まれた春らしい尾瀬がやってきました。

 さて、今回の尾瀬だよりは、ミズバショウが満開を迎えている尾瀬から、5月下旬に行われた植林ボランティアの様子を中心に、辰井がお届けします。

【植林ボランティア全体写真】
5月26日~28日の3日間、尾瀬の南側に位置する広大な森林「戸倉山林」でブナ植林ボランティアを行いました。今回は、北は北海道、南は宮崎から、3日間で計250名のボランティアの方々が尾瀬に集合し、0.5haの土地に計2,500本の苗木を植えました。

(5月27日 富士見下)

【皆さまに苗木を配布】
この植林ボランティアは、昭和20~30年代にかけて戸倉山林に植えられたカラマツ林の成長の悪い箇所を中心に行っています。そのカラマツ林を伐った跡地に、もともとこの地域に自生していたブナやミズナラ・トチ・ヤマザクラ・ヤマモミジ等の広葉樹を植林しています。平成9年から毎年行っており、今年で14回目を迎えました。詳しくはこちらをご覧ください。

(5月27日 富士見下)

【ブナの苗畑(なえはた)】
植林ボランティアで植えているブナの苗木は、尾瀬に自生しているブナを環境省・文化庁の許可を得て採取し、写真の苗畑で4~5年かけて育てたものを使用しています。ブナ以外のミズナラ・トチ等の苗木については、片品村内の苗木屋さんで購入したものを植えています。

(5月26日 富士見下)

【初日】
初日は、地元の群馬県立尾瀬高校自然環境科の生徒達37名も参加してくれたおかげで、雨の中でしたがスムーズに作業が進みました。午後には雨もやみ、泥だらけになりながらも、皆様1本1本丁寧に苗木を植えてくださっていました。この植林ボランティアでは、皆さまの丁寧な作業のおかげで苗木の根付く率(=活着率)は90%を超えているんです!

(5月26日 富士見下)

【後半は天気も回復】
2日目、3日目と天気は持ち直し、特に3日目は快晴に恵まれ、みずみずしい新緑の中での植林となりました。参加者の方々からは、「数十年ぶりに訪れた尾瀬で、思い出に残る植林ができてよかった」「5年後、10年後に、自分の苗木を見に来たい」など、多くの声をいただきました。参加された方々にお話させていただきました、当日のスナップ写真の一部はこちらに掲載しましたので、ぜひご覧ください。

(5月28日 富士見下)

【看護師さんと】
植林は自然の中での作業ですので、万が一の事態に備え、地元の警察・病院など関係機関と連携をとりながら行っています。今回も前日に植林場所の安全パトロールを入念に行い、当日は看護師さんにもお越し頂き、AEDを現地に備えた上で実施しました。

(5月27日 富士見下)

【植林ボランティア最終日】
植林ボランティア最終日に参加いただいた方は、植林作業終了後、東京電力自然学校スタッフの案内により尾瀬ヶ原へのハイキングに向かいました。山の鼻研究見本園は、1周歩けるようになっていて、尾瀬に咲く多くの種類の花を見ることができます。

(5月28日 山の鼻研究見本園)

【下の大堀のミズバショウ】
牛首三叉路から竜宮十字路に向かう途中にある、定番の下の大堀での撮影ポイントでは、純白のミズバショウが見事に咲き誇っていました。ここまでが植林ボランティアのご報告です。

(5月29日 下ノ大堀)

【ラジオ初出演!】
植林ボランティア最中の5月27日16時からの10分間、私辰井が自身初のラジオ出演を果たしました!番組は、FMヨコハマ「E-ne!good for you 」で、現在横浜の「電気の史料館」で行っている企画展「尾瀬と東京電力」と当社の尾瀬保護活動をご紹介しました。尾瀬からの生電話での出演ということもあり、緊張の連続の10分間、終わってみるとあっという間でした。FMヨコハマさんのブログでもご紹介いただきました。パーソナリティのMITSUMIさん、不慣れなトークですみませんでした!ありがとうございました。

【駒の型】
まだ雪が残る、至仏山の斜面です。残雪の形をよく見ると、駒(=馬のこと)の型をしています。尾瀬のふもと・戸倉では、水芭蕉がきれいに咲き誇る時期になるとこの模様が現れると言われているそうです。確かに、馬の形によく似ていますね。

(6月1日 至仏山)

【開花情報①:タチツボスミレ】
春の野山で見られるスミレの仲間「タチツボスミレ」です。東電小屋周辺など、やや乾燥した場所で見られるようです。尾瀬では他にもオオタチツボスミレやスミレサイシン、ミヤマスミレ、ムラサキコマノツメなどスミレの仲間が数多く見られます。

(6月2日 東電小屋)

【開花情報②:オオバキスミレ】
ハトマチ沢に咲いていたオオバキスミレは、山ノ鼻に行くまでの木道脇に群生してみられます。サッと茹でればくせが無く、場所によっては名前の由来となったオオバ(シソの葉)の代わりにてんぷらにもするところもあるそうです。

(6月2日 ハトマチ沢)

【イワツバメ】
春になるとやってくる渡り鳥のひとつ、「イワツバメ」です。山小屋の軒先に巣をつくり尾瀬で子育てが終わる秋には、小さな体で東南アジアへ帰っていきます。高級中華食材の「ツバメの巣」とは、この燕が海草を材料に、海岸の岸壁へ巣をつくったものだそうです。

(6月2日 東電小屋)

【池塘に浮かぶ雲】
早朝、晴天に恵まれた尾瀬ヶ原です。池塘がきれいな鏡のように周囲の景色を映していました。

(6月2日 ヨッピ吊橋周辺)

【新緑のブナ】
春の柔らかな日差しは、芽吹いたばかりの柔らかな木々の新葉を優しく照らしてくれます。今回皆さまに丁寧に植えていただいた苗木が、太陽の光を浴びてすくすくと育ち、いつの日かこのブナのように成長し、豊かな森になることを願っています。

(6月2日 富士見下)

次回の尾瀬だよりは、今月開始しました当社2年目社員向けの尾瀬での研修や、小中学校への出前授業の模様を中心に、6月下旬に桑原よりお届けしますのでお楽しみに!!

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