尾瀬を守り、育て、尾瀬とともに歩む、東京電力の取り組み

2017/12/15

尾瀬国立公園特別保護地区の約7割を所有する東京電力は、長年、土地所有者としての責任を持って尾瀬の自然保護に取り組んでいます。
今回は、新たに尾瀬を担当することになった二人の社員が、その現状や自然保護活動への意気込みを語ります。

東京電力ホールディングス株式会社
リニューアブルパワー・カンパニー
水利・尾瀬グループ

西村 嘉朗

1998年入社。
神奈川支店金沢営業所で配電設備の保守・管理などに携わったのち、横浜支社、相模原支社の技術サービスグループでお客さま宅訪問サービスなどを担当。
2010年から環境部、2011年の東日本大震災以降は福島の除染業務などに携わる。
2017年7月より現職。

東京電力ホールディングス株式会社
リニューアブルパワー・カンパニー
水利・尾瀬グループ

山本 直美

2005年入社。
成田支社技術サービスグループでお客さま宅訪問サービスや内線設備の事前協議などに携わったのち、東葛支社管財グループ、京葉支社設備サービスグループ、本社用地部で配電設備の用地業務を担当。
2017年7月より現職。

尾瀬との出会いと自然保護の歴史

西村「本州最大の湿原を持ち、神秘的な自然が残ることで知られる尾瀬は、国立公園・特別天然記念物に指定され、ラムサール条約※1の登録湿地でもあります。その尾瀬と東京電力の歴史は古く、昭和26年に当社が設立されたとき、尾瀬の豊富な水を利用した水力発電を計画していた当時の電力会社から、尾瀬の土地と水利権を継承したことに遡ります。水力発電は純国産の再生可能エネルギーであり、CO2を排出しないクリーンな発電方法として重要な発電方法と位置づけられております。現在も尾瀬沼の水の一部を利用して発電を行っています。もちろん尾瀬沼周辺の環境に影響を与えないよう運用を行うとともに継続的に環境調査を実施して、環境に影響のないことを確認しながら発電しています。東京電力はその尾瀬の土地所有者としての責任を担い、地域の方々をはじめ、尾瀬に関わる多くの関係者とともに、今日まで国民的財産である尾瀬の自然を守る活動を続けています」
※1ラムサール条約:国際的に重要な湿地を保護するための条約。162カ国(2012年8月現在)が締約しており、日本からも釧路湿原や琵琶湖、尾瀬など46箇所が登録されています(2012年7月時点)

山本「昭和30年代後半に『尾瀬ブーム』が起こり、大勢のハイカーが押し寄せ、貴重な尾瀬の自然が急速に荒廃してしまったことがあります。その頃から私たちは、尾瀬の自然保護に力を注ぐようになりました。そのひとつが、湿原を踏み荒らすことなく人と自然が触れ合えるようにした木道の敷設です。その後も、多くの方々に尾瀬の自然を満喫していただけるよう木道の整備や公衆トイレの設置などを続け、木道においては総延長約65kmのうち約20kmを管理しています」

尾瀬を守る仲間たちと

尾瀬を守る仲間たちと

高校生とともに取り組む自然保護活動

西村「東京電力は、昭和26年の設立時に、尾瀬国立公園内に位置する広大な森林も引き継ぎ、私たちは、この森林を『尾瀬戸倉の森』と名付け、利根川最上流域の水源の森として大切に守り育てています。この『尾瀬戸倉の森』は、群馬県立尾瀬高等学校や一般ボランティアを募り、ブナやミズナラなどの広葉樹の植林も行ってきました。その尾瀬高校の先輩たちが植林した木々が成長し、間伐の時期を迎えたことから、今年10月には尾瀬高等学校自然環境科の生徒さんとともに、現地で環境教育実習の一環として間伐体験を行いました」

山本「間伐をすることで、残った木は幹が太く枝葉がしっかりと育ち、水源かん養林機能を増します。私は、高校生たちとともに間伐をはじめて体験したことで、間伐の必要性を改めて学び、実感することができました。その後は大清水湿原へ移動し、ミズバショウの苗300株の植栽も行いました。かつての大清水湿原には2万株のミズバショウが群生していましたが、ニホンジカの食害などで激減してしまい、昨年から、高校生たちが復元するための植栽を行っています。私にとってはミズバショウの植栽もはじめての体験でしたが、せっかく植えた苗の芽が荒らされてしまうことに、少し残念な思いもこみ上げました」

尾瀬高等学校自然環境科の生徒さんたちと

尾瀬高等学校自然環境科の生徒さんたちと

 

  • 【動画】
    みんなの尾瀬をみんなで守る ~尾瀬高校環境実習~

野生動物との共生は大きな課題

西村「ニホンジカは尾瀬を代表するミズバショウやニッコウキスゲを食べ荒らすなど、大きな被害を与えます。一部で防止柵を設置するなど対策をしていますが、予想を超えるジャンプ力でその柵を跳び越えたと思われる形跡も見られます。貴重な尾瀬の植生を保護するため、これまで以上の対策を必要としています。尾瀬には他にも多くの野生動物が生息しており、ツキノワグマが木道に居座ってしまうケースもあり、入山者への注意喚起を徹底していかねばなりません。私たちは、尾瀬を訪れる方々の安全を守ることが、尾瀬に関わる一員としての大きな責任であるため、関係者の方々とともに、根気強く解決に向けた努力を続けていきたいと思います」

山本「ニホンジカの被害でミズバショウが姿を消せば、尾瀬が尾瀬でなくなってしまいますし、湿原は一度破壊されるとなかなか元には戻りません。私は、尾瀬の自然保護に携わるようになって、改めて自然と共生することの難しさを感じました。これからは、この問題と向き合い、知恵を絞っていかなくてはなりませんが、こうした私たちの尾瀬の自然を守るためのさまざまな取り組みも、積極的に情報発信していきたいと思います」

多くの方々に尾瀬を訪れ、楽しんでいただくために

西村「私は海の街である神奈川県横須賀市の出身です。海とともに育ったので、海洋汚染などの環境問題に興味を持つようになり、週末には海岸のゴミ拾いや環境ボランティア活動などにも取り組んできました。ですから、今仕事で尾瀬の自然保護に携わることができ、日々やりがいを感じています。尾瀬の豊かな自然の恵みに感謝の気持ちを込め、これからも尾瀬の自然保護に全力で取り組んでいきたいと思います」

山本「私は、尾瀬を担当するようになってまだ日が浅いですが、そんな私に、『木道を整備してくれてありがとう。尾瀬の景色は本当にきれいね』と声をかけてくださったハイカーがいます。そのときは、私たちの地道な活動を知っていただけてとてもうれしかったです。それと同時に、一人でも多くの方に尾瀬を訪れ、この貴重な自然とその魅力を感じていただくために、できる限りのことをしようと思いました。だからこそ、一日でも早く尾瀬に関わる業務をマスターし、正確な知識を身に付け、幅広い視点から自然保護の提案や調整ができるようになりたいと思います」

尾瀬の情報発信基地『尾瀬ネイチャーセンター』

群馬県片品村戸倉にある「尾瀬ぷらり館」内に、東京電力が運営する『尾瀬ネイチャーセンター』を開設しています。
ここでは、尾瀬の歴史・自然環境・保護活動や入山マナーについて学べるだけでなく、尾瀬で暮らす動植物の展示を見ることもできます。
登山やハイキングの疲れを癒やす、日帰り温泉『戸倉の湯』も併設されています。

尾瀬ネイチャーセンター

開館時間:
9時~17時
休館日:
毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
年末・年始
入館料:
無料
住所:
群馬県利根郡片品村戸倉736-1
お問い合わせ:
尾瀬ネイチャーセンター
TEL.070-2163-0707

日帰り温泉「戸倉の湯」

営業時間:
10時~18時(夏期)
12時〜19時(冬期)
料金:
大人500円・小学生200円
休み:
第2・第4火曜日(夏期)
毎週火・水曜日(冬期)
お問い合わせ:
尾瀬戸倉観光協会
TEL.0278-58-7263

関連情報

  • 「尾瀬と東京電力」

    尾瀬と東京電力の環境とエコへの取り組み

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