3つの原子力発電所に新所長就任!
~原子力事業者としての熱い思いを語る~

2016/07/01

東京電力ホールディングスの3つの原子力発電所(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)に、新所長が就任。一堂に会した3氏に、各発電所が抱える課題や、就任にあたっての抱負などを聞いた。

写真左:
東京電力ホールディングス株式会社
執行役員 原子力・立地本部 柏崎刈羽原子力発電所長 兼 新潟本部
設楽 親(したら ちかし)

写真中央:
東京電力ホールディングス株式会社
執行役員 福島第一廃炉推進カンパニー・バイスプレジデント 兼 福島第一原子力発電所長 兼 福島本部
内田 俊志(うちだ しゅんじ)

写真右:
東京電力ホールディングス株式会社
原子力・立地本部 福島第二原子力発電所長 兼 福島本部
石井 武生(いしい たけお)

それぞれの課題をやり遂げる

福島第一、福島第二、柏崎刈羽―――。各原子力発電所は、それぞれに困難な課題を抱えている。廃炉、新規制基準の適合審査、原子力安全改革プランの実施など―――。まず、どのような課題を抱えているのか、3氏に語ってもらった。

内田「福島第一原子力発電所の労働環境は大きく改善され、汚染水リスク低減も進んできています。今後は、廃炉作業そのもの、中でも使用済燃料プール内の使用済燃料や原子炉内の溶融した燃料(燃料デブリ)の取り出しなど、リスクの高い作業が多くなっていきます。発電所構外へ放射性物質を放出させないことはもちろん、働く作業員の被ばくを抑え、安全な作業環境を実現していくことが重要であると考えています。」

内田「また、普通の発電所とは状況が異なり、福島第一固有の作業も多く存在することから、手順書や図面、そして仕事のやり方をしっかりと整備していくことも重要な課題です。」

石井「福島第二原子力発電所1~4号機の原子炉内にあった燃料はすべて、2015年3月までに、各号機の使用済燃料プールへ移動しました。現在は、使用済燃料プールで一括管理している状況です。課題は、約1万体にのぼるこれら燃料を安定的に冷却し続けていくことです。」

石井「引き続き、しっかりと維持・管理していきたいと考えています。」

設楽「現在、柏崎刈羽原子力発電所では6・7号機が、国の「新規制基準」における適合性審査をしていただいているところです。安全対策を確実に実施していくとともに、我々に足りない点はないかどうか、審査を通じて確認していかなければならないと考えています。」

設楽「安全対策に終わりはありません。これは、福島第一の原子力事故の教訓です。常にさらなる安全性を追求し、改善を行っていきます。」

3氏から出た共通キーワードは、「人」

それぞれの課題を聞いている中で共通して出てきたのは、「人材育成」「技術力」といった“人”に関わる言葉だった―――。

設楽「課題を遂行していくためには、発電所員の技術力の維持・向上が不可欠です。そのため、人材育成にも取り組んでいかなくてはならないと思います。」

石井「福島第二原子力発電所においても、人材育成は非常に重要であると考えています。震災当時、福島第二原子力発電所は協力企業の方々の応援をいただいて、プラントを冷温停止の状態にすることができました。自分たちだけでは、復旧作業を行うことができませんでした。」

石井「そこで、当社社員単独で、つまり、『直営』で対応できるように、技術力を向上させる訓練を2013年より実施しています。3年が経過し、『直営技術力』は着実に向上しています。さらに応用力を発揮できるよう、継続して取り組んでいるところです。」

内田「私も、人の力をいかに伸ばしていくかということを考えています。そもそも、会社(組織)は人で成り立っているので、その一人ひとりの力をいかに引き出していくか、それらを組織力として集結できるか―――これがまさにマネジメントの根幹であるといつも心がけています。」

取り組みを発信し、信頼される発電所を実現していく!

それぞれが抱える課題を踏まえ、新所長としての抱負や原子力事業者としての思いについても聞いてみた。

内田「私自身は、これまで火力部門に長く携わってきました。その際に培った現場第一主義の徹底を原子力部門においても活かし、現場力の強化に取り組んでいきます。」

内田「当社の最重要課題は、福島復興への責任を果たすことであり、我々の廃炉作業は、その責任の一翼を担っています。今後、30~40年の長期にわたって続けていかなければならない中で、作業に没頭するあまり、『福島の皆さまにご迷惑をおかけしてしまい申し訳ない』という気持ちが形骸化しないように、地域の皆さまの声を伺いながら、責任を果たしていきたいと思います。」

設楽「私は、柏崎刈羽発電所の安全性向上に努めていくことはもちろん、そうした我々の“取り組み”と、働いている“人の思い”を合わせて発信していくことで、地域の皆さまに信頼される原子力発電所にしていきたいと考えています。また、メディアの皆さまの疑問にもしっかりお応えし、丁寧にお伝えしていきます。」

設楽「つまり、福島原子力事故を踏まえて策定した、原子力安全改革プランで謳っている『技術力・対話力・安全意識』の向上に努めていかなければいけないことだと考えています。そのためには、先に申し上げた人材育成に取り組まなければなりません。人材育成こそが、原子力事業者としての重要な役割だと思っています。」

石井「私は、所長として、地元復興のお役に少しでも立てるようなお手伝いをしていきたいと思っています。地域の方々がご帰還する際の判断材料となるように、発電所内における燃料の管理や作業の状況を定期的にお伝えし、少しでもご安心いただけるようにしていきます。もちろん、トラブル等が発生した場合においても、速やかにお知らせします。」

石井「その他としては、福島第二原子力発電所は『福島の復興』と『廃炉作業』の後方支援も責務であると思っています。これまでも、福島第一廃炉作業においてタンクパトロールや溶接タンクの組み立て・保管など、さまざまな支援をしてきました。引き続き、廃炉作業が安全かつ着実に前に進むように、支援をしていきたいと考えています。」

3発電所の連携を強化していく!

最後に、3所長それぞれお互いに期待することなどを聞いてみた。

石井「『福島の復興』が第一であることを再認識しつつ、福島第二だけの課題を解決していくのではなく、全社的な課題に対応していけるように情報交換を密に行っていければと思います。」

設楽「各発電所のトップが、同じ方向を向いて、お互いの課題・情報をできるかぎり共有していくように、コミュニケーションをとっていきたいと思います。」

内田「至近1年間、私は本社の原子力・立地本部の副本部長として、福島第一の現場に密着して技術力の強化に努めてきました。それらの取り組みを福島第二と柏崎刈羽において水平展開をしていただければ、と思います。」

石井「もともと、我々3名は面識があり、お互いに話もしやすい間柄です。お互いの課題を共有して、原子力事業者としての役割を果たしていきましょう!」

ページの先頭へ戻ります

  1. HOME
  2. 東京電力報
  3. 3つの原子力発電所に新所長就任! ~原子力事業者としての熱い思いを語る~