当社柏崎刈羽原子力発電所および福島第二原子力発電所における点検計画に関する調査状況について(中間報告 その2)
平成23年2月2日
東京電力株式会社
当社柏崎刈羽原子力発電所の平成22年度第3回保安検査*1において、点検周期
を超過していた機器が確認されたことから、当社は、平成22年12月21日、経済産業
省原子力安全・保安院より、柏崎刈羽原子力発電所の全ての号機において、点検計
画の記載誤りがないか、また、点検周期を超過した機器がないかを調査すること、
福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所についても同様の事象がないか
確認すること、当該事象の原因の究明を行い、再発防止対策を策定することを求め
る旨の指示文書*2を受領いたしました。
この指示にもとづき、現在定期事業者検査*3および自主点検*4の対象となる
設備に関して調査を実施しておりますが、平成23年1月20日までに柏崎刈羽原子力
発電所5号機の調査が終了し、その結果を踏まえて原因と対策をとりまとめたこと
から、同発電所1、6、7号機の調査状況とあわせて、同院へ報告いたしました。
(平成22年12月21日、平成23年1月20日お知らせ済み)
その後、引き続き調査を実施しておりますが、新潟県中越沖地震後に運転を再開
した柏崎刈羽原子力発電所1、6、7号機における自主点検の対象機器を含めた全
ての調査が終了したこと、また、あわせて福島第二原子力発電所における同様な事
象の有無を確認するための調査も終了したことから、これらの調査状況をとりまと
め、本日、同院へ報告いたしましたのでお知らせいたします。
これまでの各発電所における調査状況は以下のとおりです。
柏崎刈羽原子力発電所
新潟県中越沖地震後に運転を再開した1、6、7号機を優先して調査を継続し
ておりましたが、これまでにお知らせした機器*5の他に、新たに自主点検の対
象となる30機器で点検周期を超えていることがわかりました。
これらの機器については、点検もしくは健全性確認を実施することで、安全上
の問題がないことを確認しております。
なお、今回の調査において、発電所の点検計画や実績管理に使用している点検
計画表の過去の記載内容についても確認したところ、1号機と6号機において、
現時点で点検周期は超えていないものの、過去に点検周期を超えていた機器が新
たに59機器あることがわかりました。
これらの機器についても、いずれもすでに機器の交換や点検を実施し、機器の
健全性を確認しており、安全上の問題はありません。
現時点では、平成23年1月20日に中間報告したとおり、保守管理の仕組みその
ものに重大な問題があるわけではなく、主に運用上の手続きや確認行為などの一
部のプロセスが不十分であったために発生したものと考えておりますが、今回の
事案も含めた最終報告に向けて、引き続き調査を継続してまいります。
福島第二原子力発電所
点検計画に係わる自社の不適合*6ならびに他社の保守管理に係わる事象を踏
まえ、点検周期を超過した機器が確認された際には、不適合として適切に対応を
行っているなど、保守管理の改善に自主的に継続して取り組んでおります。
また、今般の柏崎刈羽原子力発電所における点検周期超過事例確認後の国の指
示も踏まえ確認を行った結果、福島第二原子力発電所1〜4号機において、定期
事業者検査の対象設備については、現時点で点検周期を超えて点検を行っていな
かった機器はありませんでした。
一方、自主点検の対象機器については、現時点で点検周期を超えて点検を行っ
ていなかった機器が合計21機器確認されましたが、これらの機器については、い
ずれも不適合として適切に対応しており、点検もしくは健全性確認を実施するこ
とで、安全上の問題がないことを確認しております。
なお、3号機の非常用ディーゼル発電機関連の3機器については、健全性確認
を既に行っておりますが、同非常用ディーゼル発電機の待機状態を解除し、準備
が整い次第速やかに点検を行う予定です。
この点検は、一時的に、保安規定に定める「運転上の制限」*7を満足しない
状態として行います。また、他の2台の非常用ディーゼル発電機および原子炉隔
離時冷却系の機能が健全であることを確認するなど、運転上の制限を満足しない
場合に要求される措置*8を適切に実施した上で、点検いたします。
また、2号機の原子炉給水ポンプ用タービン関連の1機器については、健全性
確認を行っておりますが、次回定期検査で点検することとし、それまでの間、使
用禁止といたします。
なお、本日の報告に対し、同院から福島第二原子力発電所において点検周期を超
過する事態が生じた原因の究明し、それに対する再発防止対策を策定することを求
める旨の指示文書*9を受領しております。
当社といたしましては、このたびの指示も踏まえ、調査および確認結果をとりま
とめ、最終的に原因と再発防止対策について、同院へ報告いたします。
以 上
添付資料1:柏崎刈羽原子力発電所における点検計画に関する調査状況について
(PDF 44.9KB)
添付資料2:福島第二原子力発電所における点検計画に関する確認状況について
(PDF 46.6KB)
*1 保安検査
原子炉等規制法第37条第5項並びに実用炉則第16条の2に基づき、原子炉
施設の運転に関し、保安のために必要な事項を定めた保安規定の遵守状況を
確認するため、定期的に(毎年4回)行われる検査。
*2 指示文書
「柏崎刈羽原子力発電所の点検周期を超過した機器に係る調査結果に対する
対応について(指示)」
(22原企課第139号)
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、柏崎刈羽原子力発電所
に対する平成22年度第3回保安検査において、点検周期を超過していた機器が
確認されたことに伴い、点検長期計画において、現時点で点検周期を超過して
いる機器がないか調査を指示しました。これを受けて、本日、貴社より、柏崎
刈羽原子力発電所第1号機及び第5号機において、点検長期計画の記載誤り等
により、点検周期を超過した機器がある旨の報告を受けました。
保安院は、提出された報告を踏まえ、貴社に対し、下記の事項を平成23年2
月28日までに報告することを指示します。
記
1.柏崎刈羽原子力発電所の全ての号機について、点検長期計画の記載誤りが
ないか、また、点検周期を超過した機器がないかを調査すること
2.福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所についても、同様の事象
がないか確認すること
3.上記1.の調査結果を踏まえ、点検周期を超過する事態が生じた原因の究
明を行い、再発防止対策を策定すること
*3 定期事業者検査
電気事業法第55条第1項に基づき、事業者が、特定電気工作物に対して、
技術基準(発電用原子力発電設備の技術基準に定める省令)に適合すること
を確認し、その結果を記録し保存するもの。
*4 自主点検
定期事業者検査など法令に基づき実施する検査以外で、事業者が自らが自
主保安の観点から、予防保全や不具合状況等を考慮して対象機器や実施頻度
を定めて実施するもの。
*5 これまでにお知らせした機器
これまでの調査の過程で、柏崎刈羽原子力発電所1、5、6号機において、
その時点で点検周期を超えている定期事業者検査の対象機器が2機器、自主
点検の対象機器が52機器あることが確認された。
なお、平成22年度第3回保安検査で、柏崎刈羽原子力発電所2号機と3号
機において、平成18年度に実施した自主点検の対象のうち、点検周期を超過
していたものが35機器確認された。
(平成22年12月21日、平成23年1月20日お知らせ済み)
*6 点検計画に係わる自社の不適合
平成21年10月30日、福島第一原子力発電所5号機の原子炉再循環系電動機・
発電機セット用潤滑油ポンプの点検実績を点検計画表に誤記載し、第22回定
期検査において本格点検すべきところ、簡易点検と記載した不適合。発電所
の不適合管理として、設備の健全性に問題がないことを確認し、第24回定期
検査において本格点検を実施することとした。
*7 運転上の制限
保安規定では原子炉の運転に関し、多重の安全機能を確保するために必要
な動作可能機器等の台数や原子炉の状態ごとに遵守すべき温度・圧力などの
制限が定められており、これを運転上の制限という。保安規定に定められて
いる機器等に不具合が生じ、一時的に運転上の制限を満足しない状態が発生
した場合は、同制限からの逸脱を宣言し、予め定められた時間内に修理など
の対応を行うことが求められている。
*8 運転上の制限を満足しない場合に要求される措置
保安規定第60条では、非常用ディーゼル発電機が動作可能な状態でない場
合(運転上の制限を満足しない場合)の措置として、他の2台の非常用ディ
ーゼル発電機および原子炉隔離時冷却系の機能が健全であることを確認する
ことが要求されている。
*9 指示文書
「福島第二原子力発電所の点検周期を超過した機器に係る調査結果に対する
対応について(指示)」
(23原企課第8号)
原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、本日、貴社より、平成22
年12月21日付け22原企課第139号の指示に基づき、福島第二原子力発電所にお
いて点検周期を超過した機器があった旨の報告を受けました。
これを受け、当院は、貴社に対し、既に平成22年12月21日付け22原企課第
139号で指示した内容に加え、福島第二原子力発電所の点検周期を超過する事
態が生じた原因を究明し、それに対する再発防止対策を策定の上、平成23年2
月28日までに報告することを指示します。
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