当社柏崎刈羽原子力発電所における点検計画に関する調査状況について(中間報告)
平成23年1月20日
東京電力株式会社
当社柏崎刈羽原子力発電所の平成22年度第3回保安検査*1において、点検周期
を超過していた機器が確認されたことから、当社は、平成22年12月21日、経済産業
省原子力安全・保安院より、柏崎刈羽原子力発電所の全ての号機において、点検計
画の記載誤りがないか、また、点検周期を超過した機器がないかを調査すること、
福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所についても同様の事象がないか
確認すること、当該事象の原因の究明を行い、再発防止対策を策定することを求め
る旨の指示文書*2を受領いたしました。
(平成22年12月21日お知らせ済み)
この指示にもとづき、現在定期事業者検査*3および自主点検*4の対象となる
設備に関して調査を実施しておりますが、このたび5号機の調査が終了し、その結
果を踏まえて原因と対策をとりまとめたことから、1、6、7号機の調査状況とあ
わせて、本日、同院へ報告いたしましたのでお知らせいたします。
同発電所1、5、6、7号機において、定期事業者検査の対象設備については、
これまでにお知らせした5号機の2機器*5の他に、現時点で点検周期を超えて点
検を行っていなかった機器は確認されませんでした。
また、自主点検の対象機器のうち、これまでにお知らせしている38機器*5の他
に、新たに14機器で点検周期を超えていることがわかりました(合計52機器)。
これらを合わせた54機器は、いずれもすでに点検を実施し、機器の健全性を確認
しており、安全上の問題がないことを確認しております。
また、今回の調査において、同発電所の点検計画や実績管理に使用している点検
計画表の過去の記載内容についても確認したところ、同発電所1号機と5号機にお
いて、現時点で点検周期は超えていないものの、過去に点検周期を超えていた機器
が47機器あることがわかりました。
これらの機器についても、いずれもすでに機器の交換や点検を実施し、機器の健
全性を確認しており、安全上の問題はありません。
これまでの調査の結果、点検周期を超える事象が発生した原因として、以下のこ
となどがわかりました。
原因(1)点検計画策定段階において、定められた点検周期、前回の点検実績、
次回の点検計画の整合性や誤記のチェック不足等が発生し、点検周期
を超えた計画を策定したこと。
原因(2)点検周期等を変更するにあたり、その技術的な検討書が承認される前
に、点検周期の変更を見込んで点検作業の発注を行うとともに、技術
的な検討書の承認後に点検周期の変更を確実に点検計画表へ反映して
いなかったこと。
原因(3)点検実績を点検計画表に反映する際に、工事報告書に基づいた確認が
不足しており、誤った記載を行ったこと。
原因(4)点検作業の発注仕様書と点検計画表の整合性の確認が十分に行われず、
点検の発注漏れが発生したこと。
原因(5)やむを得ず計画通りに点検を実施できない場合に、点検実施時期を延
長するにあたっての技術評価の記録の作成に不備があったこと。
当社は、今回の調査において点検計画を適切なものに是正するとともに、現時点
において、以下の対策により再発防止を図ることといたします。
原因(1)への対策
点検計画表の作成を適切に行うため、点検周期や点検区分等を変更する場合
には、変更の理由や変更後の点検実施時期の妥当性を記録するとともに、審査
者がその内容について確認を行うことを社内マニュアルに明確化する。
また、点検計画表の新規作成時や様式の変更等の際には、点検周期の整合性
や誤記等を確認するため、当社社員によるダブルチェックを実施する。
原因(2)への対策
点検周期を変更する場合は、設備保守箇所の責任者による技術的な検討書等
の承認を受け、点検計画表へ反映させたうえで、点検作業の発注を行う。
原因(3)への対策
点検計画表の維持を適切に行うため、工事報告書に基づいて、点検実績を確
実に反映する。さらには、点検を担当した本人がその反映作業を行うこととす
る。
原因(4)への対策
点検計画表に基づく点検を確実に実施するため、点検計画表と点検作業の発
注仕様書を照らし合わせて、発注の内容に誤りがないかをダブルチェックする
とともに、原子炉を起動する前に実施すべき点検が全て終了していることを起
動前の会議等で確認する。
原因(5)への対策
やむを得ず計画通りに点検できず定められた点検周期を超える場合は、不適
合管理を確実に行い、その中で技術評価を実施して記録を残すことを社内マニ
ュアルに定め、社内で教育を実施するとともに、定められた点検周期内に点検
を実施することの重要性について再徹底する。
さらに、中長期的な対策として、今回の原因分析により抽出された点検計画表や
点検作業の発注仕様書の作成ミスなどの人的エラーの問題点に対しては、システム
化により、今後、再発防止を図ることといたします。
今回の原因分析では、保守管理の仕組みそのものに重大な問題があるわけではな
く、主に運用上の手続きや確認行為などの一部のプロセスが不十分であったために
発生したものと考えておりますが、これらの問題を発生させないよう上記の対策を
行うとともに、点検計画を適切なものに是正し、今後実施する他号機の調査結果も
踏まえて、必要に応じて追加対策を講じてまいります。
以 上
添付資料:当社柏崎刈羽原子力発電所における点検計画に関する調査状況について
(中間報告)概要(PDF 51.6KB)
*1 保安検査
原子炉等規制法第37条第5項並びに実用炉則第16条の2に基づき、原子炉
施設の運転に関し、保安のために必要な事項を定めた保安規定の遵守状況を
確認するため、定期的に(毎年4回)行われる検査。
*2 指示文書
「柏崎刈羽原子力発電所の点検周期を超過した機器に係る調査結果に対する
対応について(指示)」
(22原企課第139号)
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、柏崎刈羽原子力発電所
に対する平成22年度第3回保安検査において、点検周期を超過していた機器が
確認されたことに伴い、点検長期計画において、現時点で点検周期を超過して
いる機器がないか調査を指示しました。これを受けて、本日、貴社より、柏崎
刈羽原子力発電所第1号機及び第5号機において、点検長期計画の記載誤り等
により、点検周期を超過した機器がある旨の報告を受けました。
保安院は、提出された報告を踏まえ、貴社に対し、下記の事項を平成23年2
月28日までに報告することを指示します。
記
1.柏崎刈羽原子力発電所の全ての号機について、点検長期計画の記載誤りがな
いか、また、点検周期を超過した機器がないかを調査すること
2.福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所についても、同様の事象が
ないか確認すること
3.上記1.の調査結果を踏まえ、点検周期を超過する事態が生じた原因の究明
を行い、再発防止対策を策定すること
*3 定期事業者検査
電気事業法第55条第1項に基づき、事業者が、特定電気工作物に対して、
技術基準(発電用原子力発電設備の技術基準に定める省令)に適合すること
を確認し、その結果を記録し保存するもの。
*4 自主点検
定期事業者検査など法令に基づき実施する検査以外で、事業者が自らが自
主保安の観点から、予防保全や不具合状況等を考慮して対象機器や実施頻度
を定めて実施するもの。
*5 これまでにお知らせした機器
これまでの調査の過程で、柏崎刈羽原子力発電所1号機と5号機において、
その時点で点検周期を超えている定期事業者検査の対象機器が2機器、自主
点検の対象機器が38機器あることが確認された。
なお、平成22年度第3回保安検査で、柏崎刈羽原子力発電所2号機と3号
機において、平成18年度に実施した自主点検の対象のうち、点検周期を超過
していたものが35機器確認された。
(平成22年12月21日お知らせ済み)
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