路上変圧器とデジタルサイネージを組み合わせた新サービスを展開中!

2020/02/19

路上変圧器とデジタルサイネージを組み合わせた新サービスを展開中!

東京電力パワーグリッド株式会社は、歩道上にある路上変圧器とデジタルサイネージを組み合わせた新たなサービスを展開しています。人々がより快適に、より安心して暮らせる街づくりの一助となるべく、東京電力グループは進み続けています。本プロジェクトに携わる社員に、事業の経緯や、そこにかける思いを聞きました。

東京電力パワーグリッド株式会社
事業開発室
地上機器活用事業プロジェクトグループ

本間 裕之

2008年入社。武蔵野支社(現・多摩総支社)にて配電設備の保守や設計を担当。その後、本社配電部にて配電工事の監理や配電機材の品質管理を担当。これらの経験を生かし、現在、路上変圧器とデジタルサイネージによる新サービス業務に従事。

約5万台の配電地上機器を、どう活用していくか

現在、街の景観保護や災害時の安全確保などの観点から無電柱化が進められています。それに伴い、電気を送るために必要な機器が収納された配電地上機器(歩道上に設置する路上変圧器や路上開閉器の総称)が増加しています。東京電力グループは約5万台におよぶ配電地上機器を保有しており、この設備を用いた新たなビジネスの創出を目的として設置されたのが、地上機器活用事業プロジェクトグループです。
検討を重ねた結果、“路上変圧器とデジタルサイネージを組み合わせた情報発信”という新たなサービスにたどり着きました。しかし、東京電力グループには、路上変圧器に関するノウハウはあっても、デジタルサイネージに関する知見はありません。そのため、パナソニックグループさまと共同で、屋外でも見やすく安全で、そして路上変圧器の機能に支障をきたさないデジタルサイネージを開発。各地の路上変圧器と組み合わせて活用しています。
デジタルサイネージで表示する情報は、主に災害発生時の避難場所への誘導やイベント情報など、各自治体が配信する地域の防災・観光情報です。現在は各自治体の費用負担軽減を踏まえて、広告収入でデジタルサイネージの設置・運用にかかる費用を捻出する取り組みも進めています。

東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」周辺に設置されたデジタルサイネージ

USBポート

2020年6月開業予定の東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」周辺に設置されたデジタルサイネージ。東京都港区の防災・観光情報等を配信する。USBポートが備え付けられており、電子機器の充電も可能。

手探りで始めた取り組みが多くの評価を得て、全国規模へと拡大

設置にあたっては、関係各所と入念な打ち合わせを重ねて進めていきました。公共の道路上に今までなかった設備を設置する本プロジェクトには、各自治体や警察をはじめとする関係者のご理解とご協力が必要不可欠です。特に、歩行者の安全確保には細心の注意を払いました。
関係者との打ち合わせでは、「スマートフォンなどで簡単に情報を入手できる今、路上のデジタルサイネージは不要なのでは」という意見を頂戴する場面もありました。しかし、高齢者などスマートフォンを持たない方もいらっしゃいます。また、災害時には、フェイクニュースが流れることも少なくありません。各自治体と連携して情報発信を行うことで、虚偽の情報による混乱を防ぐことができます。人々の安全・安心へとつなげる本プロジェクトが目指す姿をお伝えすることで、実現へとつなげることができました。
過去には、デジタルサイネージの効果を調査するため、歩行者に向けたアンケート調査を実施しました。その結果、情報発信への評価だけでなく、「最先端の設備とともに、街が新しくなっていくのを実感した」という取り組みの先進性を評価するご意見なども寄せられ、「様々な形で多くの皆さまのお役に立てている」とうれしく思ったことを覚えています。
私たちがこれまでに実施してきたこの取り組みは、国土交通省からも注目され、2018年12月には「無電柱化に伴う路上変圧器を活用した『防災・観光デジタルサイネージ』実証実験地域」の公募が開始。今では全国規模での広がりを見せています。

デジタルサイネージ 東京都渋谷区(左)埼玉県さいたま市(右)

東京都渋谷区(左)と埼玉県さいたま市(右)に設置されたデジタルサイネージ。発信内容は各自治体と検討して決める。「それぞれの地域で機器のデザインや機能、発信する情報に特徴があるんです」と本間さんは話す。

仕事は、人々の“喜び”につながるものでなくてはならない

配属当初は「新たな事業を生み出していく」という緊張感の中、日々の業務に向き合っていました。しかし、様々な経験を経て、東京電力グループの持つ電力設備、それに関する知識やノウハウそのものが強みであり、会社の可能性を広げる“武器”となることを再認識しました。そして、仕事は収益を得ることももちろん大切ですが、それ以上に、社会が抱える課題の解決に結びつくもの、人々の“喜び”につながっていくものでなくてはならない。そのことを、本プロジェクトを通して学ぶことができたと思っています。
都心部に限らず郊外も含めたあらゆるエリアへ拡大させるなど、目指す目標は多くありますが、まずは一つひとつ、目の前にある課題に取り組んでいきたいと思います。そして、「東京電力、頑張っているね」という声を地域の皆さまからいただけるように、これからも業務にまい進していきます。

デジタルサイネージ

「デジタルサイネージに初めて映像が流れた時の感動は、停電していた街に明かりが灯っていくのを目にした瞬間に味わったものと似ていますね」と話す本間さん。今も街中でデジタルサイネージを眺めている人を見掛けると、笑みがこぼれるという。

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