脱炭素社会実現に向けたCO2フリー熱供給の先導的な取り組み
お客さまと志を重ね、確かな一歩を踏み出す!
2021/08/02
東京電力エナジーパートナー株式会社では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、CO2フリーを実現する電力メニューを推進しています。今回は、カーボンニュートラル実現に挑戦を続ける2名の社員と、志を同じくしたお客さまである東京下水道エネルギー株式会社のご担当者さまにインタビュー。受注の決め手となった、脱炭素社会に向けての“志”についてや、今後の抱負を語ってもらいました。
東京電力エナジーパートナー株式会社
販売本部 法人営業部 エリア開発推進部
副部長
宮井 信雄
1991年入社。入社後、千葉支店にて建築部門に配属。その後はほぼ一貫して法人営業を担当。2019年よりエリア開発推進部にて地域熱供給関連のお客さまを対象とした業務に携わる。
東京電力エナジーパートナー株式会社
販売本部 法人営業部 エリア開発推進部
課長代理
鈴木 義範
2009年入社。入社時は熊谷支社にて現地のお客様のご契約対応に携わる。震災当時は福島にて賠償関係の業務を行い、その後ゼネコンや設計関係の企業への営業を経て、2018年から現職。
先の見えない“カーボンニュートラル”実現への道
鈴木「ここ数年、RE100※をはじめとして、企業の再生可能エネルギー活用に関する取り組みが活発化しています。いまや環境問題解決への貢献は、ステークホルダーが企業の価値を判断する重要な基準と言えるでしょう。2020年、菅総理が『2050年までにカーボンニュートラルを実現する』と宣言したことで、その流れは加速しています。東京電力エナジーパートナーでは、お客さまの再生可能エネルギー由来の電力調達ニーズに応えるべく、CO2フリー電力メニューの整備を推進。電力メニューのご提案のみにとどまらず、お客さまの設備の構築・運用までを含めたトータルなご提案で、カーボンニュートラル実現に向けたお客さまの取り組みを後押ししています」
宮井「一方で、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みは始まったばかりということもあり、企業も行政も手探りで解決策を模索している状態です。当社もCO2削減に貢献可能な電力メニューの充実化を図っていますが、中には国の制度や都条例で導入の効果・恩恵を認められていない電力メニューもあります。企業の取り組みと行政の制度の足並みが揃っていない状況なんです」
鈴木「当社の電力メニューの中には、水力発電や太陽光発電をはじめとした多種多様な再生可能エネルギー由来のメニューがあります。しかし、前述の通り現行制度下では、お客さまがその導入効果を適正に享受できるメニューは限定的です。加えて、これら現行制度へも適用可能なメニューについてはお客さまからの引き合いが多く、かつ急激な拡充も困難なため、まだまだ十分な量を確保できません。電力会社としてお客さまのご要望に100%お応えできていない現状を歯がゆく感じており、電力メニューの充実化や、行政に対する働きかけなどさまざまな課題を抱えている状況です。実は、今回東京下水道エネルギーさまにご採用いただいた当社の『FIT非化石証書付電力メニュー』も、現行制度下では導入に伴う効果・恩恵を、熱供給事業者として完全に享受できるものではないのです。一方で、現行制度の枠組みを超えた将来の熱供給業界のあり方をともに考えるパートナーとして当社をご評価いただき、本メニュー採用に至ったことは、今後のカーボンニュートラル実現に向けたポジティブな出来事でした」
- ※RE100:「Renewable Energy 100%」の略。事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ
新電力メニューの採用は、脱炭素ビジネス進出への決意表明
東京下水道エネルギー株式会社
後楽事業所長 兼 温暖化対策推進担当課長
永井 誠さま
東京下水道エネルギー株式会社
技術課長
須齋 慶太さま
永井「私たちが取り組む下水熱による地域冷暖房事業では、都市部に豊富に存在し、安定的に利用できる下水を活用し、オフィスビルなどで使われる冷暖房用の熱を製造・供給しています。下水は地下を流れているため、外気温の影響を受けにくい特徴があり、例えば冬場であれば外気温が5℃前後でも、下水水温は16℃程度を維持できます。例えば、冬場のオフィスビルなどの空調から送風する温風を生み出すために、エアコンと同じ原理でヒートポンプを用いて温水を製造します。このピートポンプで循環させる熱源水を熱交換器で温める際に外気温よりも高い下水を利用することで、効率的な温水製造が可能となります。また、下水熱を活用することで化石燃料の使用を抑制しており、一般的なビル空調に比べ、エネルギー使用量で約38%の削減を可能にしています」
須齋「当社は従来より、運転改善はもちろん、設備のリニューアルなどを通してCOP(成績係数)向上を中心とした運転を行い、エネルギー使用量の削減に積極的に取り組んできました。一方で、近年のカーボンニュートラル実現に向けた潮流の中で、CO2削減の取り組みを今まで以上に推進していく必要性を感じています。そこで着目したのが再生可能エネルギーの活用でした。熱供給に使用する電力を再生可能エネルギー由来に切り替えることで、さらなる環境負荷軽減が期待できます。今回、東京電力エナジーパートナーさんの電力メニューを採用したことは、従来の低炭素ビジネスを発展させ、脱炭素ビジネスを目指す決意表明と意気込んでいます」
採用の決め手は“志”にあった
鈴木「今回東京下水道エネルギーさまにご採用いただいた電力メニューは、『FIT非化石証書付電力メニュー』です。『非化石』とは、その名の通り化石燃料を使わずに発電された電気を指し、『非化石証書』とは、非化石電源がもつ環境価値を抽出し、環境価値のみの売買や取引を可能にした証書のことです。火力発電などの環境価値を持たない電源構成でも、非化石証書と組み合わせることで、環境価値を有する電気であると制度で認められます。そのため、CO2削減活動の一つとして期待されています」
宮井「『FIT非化石証書付電力メニュー』の強みは、調達の安定性です。FIT制度を活用している発電設備から創られたすべての環境価値が市場へ供出・取引されるため、そのポテンシャルは非常に大きくなります。通常、電気を使用するお客さま自身が再生可能エネルギー発電設備を導入した場合には、天候などの外部要因に影響されるため、十分な発電量を確保できない可能性がありますが、FIT非化石証書付電力メニューであれば確実な調達が可能になる。この環境価値の安定調達という点は、東京下水道エネルギーさまにご採用いただいた評価ポイントの1つだと思っています」
永井「宮井さんのおっしゃる通り、安定して電力を調達できる点は、本電力メニューの強みですね。加えて、東京電力エナジーパートナーさんをはじめ、東京電力グループへの信頼も採用を決めた理由の一つです。私たちの事業はお客さまに安定した熱エネルギーを供給することが責務ですので、熱エネルギー生成に必要な電力も安定して調達できなくてはなりません。その点、多様なCO2削減手法を展開していることに加え、長年電力事業に携わってきた東京電力エナジーパートナーさんの安定した供給力は強みだと感じました」
須齋「加えて、採用の決め手となった最も大きな理由は、2050年の脱炭素社会実現に向けた東京電力エナジーパートナーさんの志に、当社と通じるものを感じたことです。まだまだ国の制度や条例、各企業の取り組みは過渡期で、今後も継続的な改善やアクションが官民どちらにも求められます。そのような中で、電力メニューの改善や行政への積極的な働きかけなど、カーボンニュートラルの実現に向けた東京電力エナジーパートナーさんの主体的な姿勢は、脱炭素社会を共に目指すうえで心強いものでした」
異なる立場だからこそ、共感がムーブメントにつながる
宮井「当社の脱炭素社会実現に対する思いに共感していただき、素直に嬉しい気持ちです。熱供給事業を営む東京下水道エネルギーさまは、熱エネルギーの生成のために大量の電力を調達されます。当然、電気料金を低価格に抑えた方がメリットは大きい。一方、私たちのご提案したメニューは非化石証書が付く分、どうしても通常の電力メニューに料金を上乗せせざるを得ません。それにも関わらずご採用いただけたことからも、東京下水道エネルギーさまのカーボンニュートラル実現に向け熱供給業界を先導しようとする強い決意が伝わってきました」
永井「同じ志やビジョンを持って共に取り組んでいただけるということは、熱供給を通じて供給地域全体の価値を向上させる当社の意義に共感していただけたということだと思っています。今回の事例は、熱供給事業の業界からも注目度が高く、業界紙にも取り上げていただくほどの反響がありました。今後の私たちの取り組みにも期待が寄せられている中、東京電力エナジーパートナーさんの存在は頼もしい限りです」
鈴木「ありがとうございます。永井さんがおっしゃるように、私たちの取り組みは注目されています。ここで確実な実績を残すことで、業界問わずカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速し、輪が広がっていくはず。当社と東京下水道エネルギーさまは、電力供給側と利用側のそれぞれの立場から継続的に取り組みを推進することで、カーボンニュートラルの実現を目指します」