新しい価値をお届けしたいその思いから生まれた、スマホ充電器貸し出しサービス“充レン”
2018/10/02
家やオフィスにいなくても、いつでもどこでも使える電源をご提供したい。そんな東京電力エナジーパートナーの思いを実現したのが、モバイルバッテリーのレンタルサービス“充レン“。7月2日からお台場・汐留エリアでの実証試験がスタートしました。その“充レン”を立ち上げた3人の担当者が、誕生秘話と新サービスに寄せる思いを語りました。
ラスベガスでの出会いが新しいサービスへ
冨山「2017年1月、アメリカのラスベガスに出張していた部下から、日本にいる私のもとにあるメッセージが届いたんです。私はちょっと興奮気味にその文面を読みました。これは、“東京電力エナジーパートナーの思いを具現化する、新サービスができるかもしれない”という手応えを感じる内容だったからです」
尾崎「その部下というのが私ですね。そのときのメッセージはLINEで送ったんですが、はじめは既読スルーだったので、手応えを感じてくれていたとは知りませんでした。それはさておき、当時はいつも、冨山さんから公衆電源サービスの必要性を聞いていて、その取り組みも間近で見ていました。ですから、ラスベガスで開催された最新のテクノロジーが集結する家電見本市の会場で、モバイルバッテリーのレンタルサービスを見つけたとき、それと繋がると思いすぐに報告したんです」
冨山「私たち東京電力エナジーパートナーは、電気の契約をしてくださっているお客さまに滞りなく電気をお届けしています。でも、一歩外に出ると、お客さまはその電気を自由に使うことができません。電子機器のモバイル化が進み、とくに誰もがスマホを手放せないなか、そのご不便を解消したいと思った私たちは、店舗や公共スペースなどでも電気をご利用いただける新たなサービスに取り組んでいました。ただそれには、充電しながら移動することができないという課題もあったんです」
尾崎「それを解決してくれるのが、アメリカのNRGエナジー社が展開するモバイルバッテリーのレンタルサービスでした。無人のレンタルスタンドからバッテリーを借り、返すのはどのレンタルスタンドでもOKというシステムなら、バッテリーを持ったまま移動できます。帰国後は、それを日本で展開することに上層部の承諾を得ることができたので、私は冨山さんと共に再びアメリカへ向かいました。今度の行き先はラスベガスではなく、NRGエナジー社のあるヒューストンです」
3本の矢で加速したプロジェクト
冨山「NRGエナジー社との最初の交渉は比較的スムーズに進み、日本でモバイルバッテリーのレンタルサービスを提供する“充レン”プロジェクトがスタートしました。ところが、東京電力グループのなかで、主に国内での小売りを担当するエナジーパートナーには、国際取引をバックアップする部署がありませんでした。それで、本社の東京電力ホールディングスの国際室の助けを借りることになったんです。もともと国際室では、NRGエナジー社のエグゼクティブとの交流もあり、話はとんとん拍子に進みました」
小林「そこでやっと私の登場ですね。はじめに“充レン”プロジェクトのお話を聞いたとき、電力全面自由化後の最前線に立つエナジーパートーナーは、こんなチャレンジをしていたのかと驚きました。ですから、その挑戦にできる限り協力したいと思ったんです。そのなかでの私の役割は、事実を確認して法的な契約文書を作ることです。ただ、それが単なる法律文書ではなく、具体的なプロジェクトの流れが見える、見取り図のような役割を果たせればよいと思いました」
冨山「私は主にNRGエナジー社との交渉を担当しましたが、小林さんが示してくれた契約書のドラフトはその要となりましたし、大事なポイントについては具体的にズバリと指摘してくれるのですごく助かりましたね。それと同時並行で、尾崎が担当するレンタルスタンドの設置場所の確保や、“充レン”のイメージ戦略などもどんどん進められ、3人の協力体制が整ったことで、プロジェクトがスピーディーに展開していったと思います」
尾崎「私はさまざまな調査や情報収集を重ね、商品開発室のメンバーとともに日本でのロケーションの開拓などを進めました。その結果、ゆりかもめや沿線の商業施設とタッグを組むことができ、まずはお台場・汐留エリアで“充レン”の実証試験がスタートすることになったんです。その過程では、このサービスの未来を思い描きながら、大きなイメージ戦略も作っていきましたが、小林さんが示してくれる文書は、それを具体的な戦術に落とし込むための指針になりましたね」
小林「そう言っていただけるのはうれしいですが、私が担当したのは、お二人が抱える膨大なタスクの中のほんの一部です。でも、ご一緒にヒューストンへ出張する機会が何度かあり、そのたびに、“充レン”にかけるお二人の思いや熱意に触れすごく刺激になりましたし、そのプロジェクトの一員として同じ目標に向かって歩んでいることをうれしく思いました」
新しいブランドイメージを担う、日本の“充レン”
冨山「“充レン”は、すでにお台場・汐留エリアでの実証試験がスタートしていますが、この段階で広く情報発信するプロモーションを行うのは、私たちにとってはじめてのことなので、正直に言って不安もありました。でも今は、それによって私たちの思いや東京電力の新しいブランドイメージが理解され、多くのみなさまが“充レン”を利用してくださるという期待の方が大きくなっています。今後は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会場や、さらに日本全国へも“充レン”を展開していくことが目標です。そして、こうしたサービスを通じて、挑戦する新たな東京電力にも期待していただけるよう、これからもさまざまなアイディアを迅速に実行しながら、新規事業への取り組みを続けていきたいと思います」
尾崎「私たちは、エネルギーを通して新しい価値を創造することを目指しています。その思いが、“充レン”というサービスに繫がりました。今後は、『日本のモバイルバッテリーなら“充レン”だね』と言っていただけるよう、これを東京電力の新たな信頼のブランドに育てていきたいと思います。その過程で、私たちの挑戦を知り、共感してくださった方々との間に新しい接点ができることも期待しています。そこからまたアイディアが生まれ、新しい仲間とともに次のプロジェクトがはじまるかもしれません。“充レン”も、アメリカのNRGエナジー社をはじめ、多くの方々とのコラボレーションで実現することができました。これからもそうした方々との出会いや信頼関係を大事にしながら、暮らしに貢献するエネルギーサービスや商品を作り、大切に育てていきたいと思います」
小林「新規事業の立ち上げは、リスクの大きい難しいビジネスだと思います。だからこそ、その取り組みにはじめから携わり、新規プロジェクトの一員として、実現まで見届けることができたことにたいへん感謝しています。今、東京電力グループのなかでは、海外でのビジネスチャンスを模索し、活躍の場を広げようとする新規事業の芽があちこちで芽生えています。でも、日本の電力事業者を取り巻く環境が大きく変化する中、何かをしなければというプレッシャーが重くのしかかり、その芽を育てるのは簡単ではないようです。その中での私の役割は限られていますが、そうしたみなさんの描く未来の絵が少しでも早く実現できるよう、“充レン”プロジェクトのときと同じように思いを共有しながら、できる限りのお手伝いをしていきたいと思います」