いつでも、どこでも、誰もが使える
リーズナブルな充電サービスを拡充したい
2021/04/22
東京電力グループは、10年以上前から実業務にEVを取り入れてきたEV利用のトップランナー企業であり、脱炭素社会の実現のためにさらなるEV推進に取り組んでいます。EV推進に欠かせないのが、充電インフラの整備。東京電力が中部電力と共同で設立した「e-Mobility Power」は、いつでも、どこでも、誰もがリーズナブルに使える充電サービスを目指して事業を展開しています。「e-Mobility Power」の社員に話を聞きました。
株式会社e-Mobility Power
企画部 事業戦略担当部長
橋本 賢一
2006年入社。火力部門で技術サービス、グループ会社出向、経営管理などを経験後、2020年よりe-Mobility Power出向。経営企画、事業承継、広報対応などを担当。
株式会社e-Mobility Power
充電サービス部 マネージャー
吉畑 彩
2008年入社。法人営業、新サービス企画などを担当後、2019年よりe-Mobility Power出向。充電器設置に向けた立地営業、行政対応を担当。
株式会社e-Mobility Power
充電サービス部 アシスタントマネージャー
鈴木 佑
2018年入社。経営技術戦略研究所でEVの普及促進PJと海外調査を担当後、2019年よりe-Mobility Power出向。法人顧客のEV導入支援、サービス企画を担当。
EVの充電インフラのこれまでとこれから
橋本「東京電力グループは、早い段階からEVと充電インフラの普及拡大を推進してきました。2010年にはEVの普及に必要不可欠な急速充電方式の規格の標準化等をとおして、急速充電インフラの普及を推進するCHAdeMO協議会※を自動車会社と共同設立し、2015年には、国内充電インフラの整備促進と充電サービスの運営を担う日本充電サービス(NCS)に参画しました。そして2019年に中部電力と共同で「e-Mobility Power」を設立し、2021年4月にNCSから事業を承継しました。また、東京電力及び中部電力からの増資に加え、これまでNCSに出資していた自動車会社4社(トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、三菱自動車工業株式会社)及び株式会社日本政策投資銀行から新規出資をいただき、これまでの大きな枠組みを維持しながら、NCSから引き継いだ充電ネットワークの拡充を一層加速させていきます。
- ※CHAdeMO協議会:https://www.chademo.com/ja/
e-Mobility Powerの充電ネットワーク(旧NCSネットワーク)に接続された充電器は2020年12月末で全国に約21,700基あり、高速道路、道の駅、コンビニなど、移動の自由を確保する上で重要度が高い場所には、実は結構、充電器が設置されています。一方で、まだ未設置の地域もありますし、利用者の多いエリアの充電器では充電渋滞の問題も顕在化しています。また、現在設置されている充電器の中には設備更新の時期を迎えるものもあります。こういった現状に対して、今後のEVの電池性能やユーザーのニーズもふまえて、最適なスペックの充電器を設置場所や時期も考えながら設置していくことで、充電サービスを拡充していきたいと考えています。
EVユーザーが充電をする場所は、大きく「車庫(基礎)」、「経路」、「目的地」に分類することができますが、それぞれのニーズにあった充電器のスペックで、最適なサービスを提供していく必要があります(下図参照)。「e-Mobility Power」では、NCSから承継した個人向けの公共の場での充電サービス(パブリック充電)を拡充していくほか、商用・業務用や家庭用のプライベート充電の領域にもサービスを提供していきます。また、充電器の設置をご検討されている企業様などに向けて「充電器の調達、設置、運用、保守のワンストップサービス」をご提供し、連携して充電インフラのネットワークを拡充していければと考えています」
充電ステーションをもっと身近に
吉畑「街中で充電ステーションを見かけることが増えれば、EVはもっと身近な存在になるのではないでしょうか。現状では大半が自動車ディーラーに設置されているため、普段の生活の中で充電器を見かける機会が少なく「充電器ってどこにあるの?」と思われる方が多いと思います。EV普及のためには、コンビニ、スーパーやホームセンターなど日常的に利用する場所に設置し、充電器を身近なものにしていくことが大切だと考えています。2020年秋には、ホームセンターのカインズ様と充電器設置拡大のための包括契約を締結しました。同年11月にはe-Mobility Power充電器の第一号としてカインズ朝霞店の充電器運用を開始し、多くのEVユーザーにご利用いただいています。
EVを保有している方の9割が戸建てにお住まいです。というのも、集合住宅にお住まいの場合、駐車場に充電器を設置することは難しいため、購入に踏み切れないという実情があるからです。日本の住宅の約半数は集合住宅ですから、EVを普及させるためには、ガソリン車がガソリンスタンドで給油するように、家の外でも気軽に充電できるインフラを整備することが鍵になります。
目下、充電器を設置できる場所を探していますが、特に都心部は空き地が少なく、店舗の駐車場にもゆとりがありません。ニーズが多いエリアほど、充電器を設置するのが難しいというジレンマを抱えています。そのため、行政にも働きかけ、充電器拡充に向けたさまざまな可能性を模索しています。横浜市とは連携協定を締結し、新たな場所への充電器設置が実現できないか、新基準策定や規制緩和を含めてともに検討を進めています」
EVを当たり前の選択肢にするために
鈴木「現時点では、多くの方々にとって、EVを使うイメージを持つことは容易ではありません。個人でEVの購入を検討される方には、長距離走行時の不安や、充電時間など、今までと異なる習慣に不安を持ちながらも、十分下調べをした上で、購入を決断されています。そんなときに、街中で働くEVを見かけることで、「業務車両として使えるのなら、自家用車としては十分かもしれない」と背中を一押しできるかもしれません。企業が率先して業務車両にEVを導入し、より身近な存在にすることで、より気軽に選べる選択肢としてEVを世の中に浸透させていくことが重要だと考えています。
私は、主に法人のお客さまにEV導入の提案をしていますが、「ガソリンスタンドでの給油は数分なのに、充電のために30分も止まっていられない」というご意見をお聞きします。しかし業務中のスケジュールを詳しくお聞きすると、実際は休憩などで30分以上は駐車している場合があります。そうしたデータを分析し、よく駐車する場所に充電器があれば、業務車両をEVにできることをご理解いただくと、現実的に捉えていただけるようになります。
長年当たり前だと思っていたことを変えるためには、充分な対話によって、そのギャップを埋めていくことが必要です。私たちがお客さまとの対話を通してEVに対する正しい理解を広げていき、その価値を認識してもらうことで、街中どこを見回してもEVが走っている社会を実現できると思っています」
橋本「自動車の電動化という歴史的な転換点に立ち会っていることにワクワクしています。インフラ企業として、新しいモビリティ社会を縁の下で支え、脱炭素社会の実現に貢献していきたいです」
鈴木「2030年には、自家用車、バス、トラック、タクシーなど、誰もがEVを選べる時代になると考えています。その社会を実現するためには、現在導入を検討されている方をしっかりとサポートすることが重要です。個人のお客様はもちろん、業種や用途を問わず、さまざまな車両がEV化できる社会を目指していきます」
吉畑「充電器の設置場所を提供いただくパートナー企業とは、充電器の設置者と設置場所を提供する側という関係に留まらず、相互送客できる仕組み作りを行ったり、業務車両EV化のお手伝いをさせて頂いたりと、お互いの事業に貢献できる関係になれるよう努めていきたいです」
橋本「「e-Mobility Power」が目指すのは、いつでも、どこでも、誰もが使えるリーズナブルに充電できるサービスを、EVだけでなく小型モビリティや船舶など、すべてのe-Mobilityに提供していくことです。脱炭素社会に貢献できる仕事にやりがいを感じながら、この大きな目標に挑戦していきます」
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EV DAYS(イーブイ デイズ)は、「EV(電気自動車)を中心とした暮らしの電化」に関する情報をお届けする、東京電力エナジーパートナー株式会社のウェブマガジンです。「EVにまつわる暮らしのすべて」に役立つ情報を発信していきます。 -
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東京電力グループでは、自社の業務車両の電動化だけでなく、他企業とも一体となって電動化に向けた課題解決に取り組んでいます。