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プレスリリース

福島第一原子力発電所6号機原子炉建屋内での水漏れに関する
原因と再発防止策について

平成16年7月28日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所
 
 当所6号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、平成15年9月30日より第18回定期検査を実施しておりますが、平成16年7月16日、原子炉圧力容器等の漏えい検査準備のために原子炉圧力容器を加圧していたところ、当社社員が原子炉建屋1階の残留熱除去系熱交換器*1(A)室の外壁近傍において、水が滴下していることを確認しました。
 その後、水漏れ箇所等調査の結果、原子炉圧力容器等の漏えい検査の対象弁である残留熱除去系の格納容器外側隔離弁が完全に閉まっていなかったため、残留熱除去系(A)系の過圧防止安全弁*2取り出し配管を含む漏えい検査の範囲外に圧力がかかったことにより、残留熱除去系(A)系の過圧防止安全弁取り出し配管の溶接部に発生した長さ約23mmのひびから漏えいし、その漏えい量は約9リットル、放射能量は約5.8×103ベクレルと評価いたしました。(平成16年7月16日7月20日お知らせ済み

 ひびを詳細に調査したところ、建設時の溶接部に融合不良*3が確認され、破面には振動による高サイクル疲労*4の特徴である縞状模様が確認されました。また、破面観察の結果、ひびの長さは約60mmであることが分かりました。
 ひびの原因は、融合不良が発生したところに、残留熱除去系(A)系の定例試験運転などによる配管の振動が繰り返し加わったため、微少なひびが発生・進展し、貫通に至ったものと推定いたしました。
 また、残留熱除去系の格納容器外側隔離弁が完全に閉まっていなかった原因を調査したところ、原子炉圧力容器等の漏えい検査の準備のために当該弁の開度を調整できるように電気回路の措置を実施していた状態で、漏えい検査前に当該弁を閉めたため、中央操作室のランプ表示は全閉になったものの、弁自体は完全には閉まらなかったことが分かりました。
 以上のことから、水漏れの原因は、残留熱除去系格納容器外側隔離弁が完全に閉まっていなかった状態で漏えい検査のための加圧を行ったため、当該系統に通常以上の圧力が加わり、ひび割れの貫通部から漏えいしたものと推定いたしました。
 なお、ひびは当該部のみであり、残留熱除去系(B)系および(C)系については、問題のないことを確認しております。

 再発防止対策として、以下の対策を実施いたします。
 ・ 当該部の溶接方法を変更し、疲労強度の高い形状にする。
 ・ 当該隔離弁の開度調整処置の復旧を手順書に明記する。また、原子炉圧力容器加圧時に残留熱除去系等の低圧系統に圧力上昇がないことを確認する。
 ・ 関係者による、本事象に関する事例検討会を実施する。
以 上

*1 残留熱除去系熱交換器
 残留熱除去系は、非常時に原子炉に水を注入したり、原子炉を停止した後に炉水を冷却する設備で、熱交換器は炉水や原子炉で発生した蒸気を冷却するために使用するもの(2基ある)。
 
*2 過圧防止安全弁
 何らかの理由で系統の圧力が上昇した場合、系統保護の観点から圧力を逃がすための弁。
 
*3 融合不良
 本来完全に溶け込まなければならない溶接継ぎ手の溶接境界面に、完全に溶け込まない部分があること。
*4 高サイクル疲労
 比較的低い荷重が非常に多く(104回程度以上)繰り返し加わることにより破損にいたるものをいう。



6号機残留熱除去系系統概要図

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