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プレスリリース

定期検査中の福島第一原子力発電所4号機使用済燃料貯蔵プールにおける
落下物発生およびシュラウド研削粉の飛散の原因と対策について
平成15年7月31日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所
 
 当所4号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)につきましては、平成14年12月2日より第19回定期検査を実施しておりますが、平成15年6月6日、使用済燃料プール内の燃料集合体の上に円筒状の落下物および微量の光沢を持った金属粉とみられるものを当社社員が確認し、その後当該プール内より、水中ポンプから落下した計10個の部品(制振用の円筒状のゴム:4個、ボルト:2本、座金:4個)を回収いたしました。また、金属粉とみられるものは、シュラウド補修作業に伴う研削粉の一部であると推定し、回収可能なものについては吸引通水洗浄により回収を行うことといたしました。(6月11日16日お知らせ済み)

 その後、研削粉の付着が認められた再装荷燃料集合体全数について吸引通水洗浄を実施し、研削粉の一部を回収しました。また、念のため、再装荷燃料集合体4体の外観検査を実施し、燃料の健全性に影響するような異物や傷などがないことを確認しました。
 
1.本事象の原因と再発防止対策
1.落下物発生およびシュラウド研削粉の飛散の原因
(1)水中ポンプの部品脱落
4月18日に水中ポンプを不具合により交換した際、当該ポンプの固定ボルト部分に、本来使用すべき廻り止め剤*1と異なるものを使用し、加えて固まる前に水中に沈めてポンプを運転したため、廻り止め効果が十分に発揮できず、ポンプの振動によりボルトがゆるみ、制振用のゴム、ボルト、座金類が脱落したものと推定いたしました。
 
(2)シュラウド研削粉の飛散
フィルターユニットと水中ポンプをつなぐホースの接続部が振動によってゆるみ、吸引中の研削粉が水とともにゆるんだ当該接続部の隙間より流出し、使用済燃料貯蔵プール内に飛散したものと推定いたしました。
 
(3)品質管理上の問題
今回の水中ポンプのように協力企業が所有する仮設備に関し、当社および協力企業において明確な品質管理方法、不適合管理方法が定められていませんでした。
 
2.再発防止対策
(1)工事計画段階
使用済燃料貯蔵プール等で水中ポンプ等の動的な仮設備を使用する場合、計画段階から落下防止措置を講ずるよう仕様書に明記するようにいたします。
使用済燃料貯蔵プール等で仮設備を使用する場合、事前に落下物混入対策を協力企業とともに確認いたします。また、必要に応じて燃料等への影響を防止する観点から事前評価を実施いたします。
 
(2)工事実施段階
使用済燃料貯蔵プール等で水中ポンプ等の動的な仮設備を使用する場合は、使用の前後および取替・修理時に当社が立ち会うとともに、使用期間中においては定期的にパトロールを実施し、機器の状況を確認いたします。
原子炉や使用済燃料貯蔵プールなどに異物混入の可能性が生じた場合は、プラントへの影響の有無に関わらず不適合として取り扱うよう管理を徹底いたします。
 
 
2.情報伝達・情報公開について
 本事象の情報伝達および情報公開に関して、以下のような問題がありました。
 
1.事 象
シュラウド修理工事の受注者は、4月29日に当該ポンプに不具合があり点検を実施した際、当該ポンプ部品が燃料プール内に脱落していることを確認していたものの、当社に連絡をしていなかったこと、また、5月22日に研削粉回収の配管接続部からの空気漏れを確認していたものの、これを不適合でないと判断し、加えて研削粉の一部が流出したことも認識できず、当社に連絡がなされていなかったこと、ならびに当社としても現場の状況を把握できなかったことが確認されました。
当社は、6月6日に発生した事象に関して社内調査が不十分な段階であり、6月9日の福島県議会全員協議会開催時点で、ご報告することができませんでした。
 
2.原 因
シュラウド工事受注の作業者は、シュラウドの研削作業に神経を集中して行っていたことから、当該ポンプの部品脱落を認識した際、燃料等に対する影響について考えが至らず、報告が必要であるという意識も希薄となり、当社にその旨の連絡がなされませんでした。
当社担当者の意識もシュラウドの研削作業に集中していたこと、また、当社担当者と現場第一線の作業者におけるコミュニケーションが不十分であったことなどから、適切に情報が伝達されませんでした。
6月9日の福島県議会全員協議会に対し、当社は、受注者から水中ポンプの部品脱落等の連絡がなされていなかったかどうか、社内の調査が不十分であり、確信のない段階での報告をすることができませんでした。
 
3.再発防止対策
(1)協力企業を含めた作業運営管理の改善
現場で実際に作業する協力企業の方々との双方向のコミュニケーションを図る等、協力企業と一体となった風通しの良いシステム作りに努めます。
 
(2)情報公開の改善
小さなトラブルも速やかに報告、連絡、相談できる風通しの良い発電所づくりを通じ「報告する文化」を現場第一線まで浸透させるとともに「先ず第一報」の徹底とタイムリーな情報提供に努める等、情報公開を徹底してまいります。
 
以 上
 
*1:廻り止め剤
 ボルト等を固定するための接着剤の一種
 
【添付資料1】:使用済燃料貯蔵プール内落下物位置確認図(GIFファイル:25KB)
【添付資料2】:シュラウド修理研削粉回収装置概念図(GIFファイル:17KB)

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