福島第一原子力発電所5号機「原子炉隔離時冷却系の機能喪失における保安規定違反」事象に関する根本原因分析の実施および再発防止対策の策定について
平成22年11月29日
東京電力株式会社
当社は、平成22年9月2日に福島第一原子力発電所5号機(沸騰水型、定格出力
78万4千キロワット)において、原子炉隔離時冷却系*1の定例試験(毎月1回)
を実施したところ、当該系統のタービンが自動停止した事象を受けて、9月27日、
経済産業省原子力安全・保安院より、本事象が、当社が定め同院が認可した福島第
一原子力発電所原子炉施設保安規定*2に違反しているとして、再発防止の改善を
求める指示文書*3を受領いたしました。
今回指摘された違反事項は以下のとおりです。
○福島第一原子力発電所5号機における原子炉隔離時冷却系の機能喪失について
福島第一原子力発電所原子炉施設保安規定には、5号機の原子炉の状態が運転、
起動および高温停止において(原子炉圧力が1.04メガパスカル以上)、原子炉隔
離時冷却系が動作可能であることを運転上の制限とする旨規定されているが、平
成22年8月16日から9月2日までの間、当該系統のタービンへ供給する蒸気の量
を加減する蒸気加減弁を制御する信号ケーブルを当社当直員が誤って外したこと
から、同系統が動作可能ではなかったと判断されたこと。
これらのことが、保安規定第41条(原子炉隔離時冷却系)*4に違反している
と判断されました。
(平成22年9月27日お知らせ済み)
当社は、この指示文書にもとづき、本件についての根本原因および再発防止対策
を取りまとめ、本日、同院に報告しましたのでお知らせいたします。
当社は、再発防止対策を確実に実施し、今後とも原子力発電所の安全確保に万全
を期してまいります。
以 上
添付資料
・福島第一原子力発電所5号機「原子炉隔離時冷却系の機能喪失における保安規
定違反」事象に関する根本原因分析の実施および再発防止対策の策定について
(概要)(PDF 413KB)
・福島第一原子力発電所5号機「原子炉隔離時冷却系の機能喪失における保安規
定違反」事象に関する根本原因分析の実施および再発防止対策の策定について
(報告書)(PDF 840KB)
*1 原子炉隔離時冷却系
何らかの原因により、通常の原子炉給水系が使用できなくなり、原子炉水
位が低下した場合等において、原子炉の蒸気を駆動源にしてポンプを回し、
原子炉の水位確保および炉心の冷却を行う系統。なお、本系統は非常用炉心
冷却系ではない。
*2 原子炉施設保安規定
原子炉等規制法第37条第1項の規定に基づき、原子炉設置者が原子力発電
所の安全運転を行ううえで遵守すべき基本的事項(運転管理・燃料管理・放
射線管理・緊急時の処置など)を定めたもので、国の認可を受けている。
*3 指示文書
「福島第一原子力発電所5号機原子炉隔離時冷却系の機能喪失における保
安規定違反について(指示)」
(平成22・09・17原院第6号)
原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、平成22年9月2日に福島第一
原子力発電所第5号機において、運転上の制限の逸脱が発生したことについて報告
を受けました。その内容を精査したところ、福島第一原子力発電所原子炉施設保安
規定(以下「保安規定」という。)の違反が認められたため、当院は、貴社に対し、
下記の対応を求めます。
記
以下の保安規定違反に関し、違反が発生した根本原因を究明し、再発防止策を策
定の上、12月27日までに、当院に報告すること。
1.違反が認められた条項
保安規定 第41条(原子炉隔離時冷却系)
2.事実の内容及び保安規定第41条に違反すると認める理由
保安規定第41条第1項では、「原子炉の状態が運転、起動及び高温停止におい
て(原子炉圧力が1.04メガパスカル以上)、原子炉隔離時冷却系が動作可能であ
ること」を運転上の制限とする旨が規定されている。本事象では、発電所当直員
が当該系統のタービン蒸気加減弁(駆動蒸気を制御する弁)への制御信号を誤っ
て解線するなど、事業者自らの不適切な保安活動によって、一定期間、当該系統
の機能喪失が継続したことは、保安規定の該当条項に違反する。
*4 保安規定第41条(原子炉隔離時冷却系)
原子炉の状態が運転、起動および高温停止(原子炉圧力が1.04MPa以上)
において、原子炉隔離時冷却系は表41−1で定める事項を運転上の制限とす
る。
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