点検停止中の福島第一原子力発電所3号機の点検結果ならびに原子炉起動状況について
平成21年8月10日
東京電力株式会社
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<概要>
(事象の発生状況)
・調整運転中の福島第一原子力発電所3号機において、原子炉格納容器内に設置
されている非常時に原子炉に水を注入する設備の弁を動作させる電気系統で、
地絡が発生している可能性が高いことが確認されたことから、今後の安全・安
定運転に万全を期するため、8月8日午前4時30分頃にプラントを一旦停止し、
弁を点検することとしました。
(平成21年8月6日お知らせ済み・公表区分III)
(調査結果)
・調査の結果、ケーブルの被覆の一部が損傷し、銅線が露出していることがわか
りました。
(推定原因)
・今回の定期検査において点検した際に弁の電源ケーブルを強く押し込んだこと
により当該ケーブルが電源箱内で部品と接触したため、ケーブルの被覆の一部
が損傷し、地絡が発生したと推定しました。
(対策)
・電源箱内では、電源ケーブルを強く押し込まないように作業要領書に明記しま
す。
・本事象の原因と対策については関係箇所に周知し再発防止を図ることとします。
・弁の電源ケーブルの損傷部位を取り除きケーブルを再び接続した後、電源ケー
ブルの絶縁抵抗測定および弁の開閉動作確認等を実施し健全であることを確認
しました。
(現在のプラント状況)
・当該弁の修理完了後、8月9日午後10時頃より原子炉を起動しました。
・原子炉の起動操作に伴い、原子炉に水を注入する別の設備の動作確認を実施し
たところ、遠隔操作で停止できなかったことから、手動で当該設備を停止し点
検調査を実施しております。
詳細は以下のとおりです。
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1.事象の発生状況
調整運転中の当社福島第一原子力発電所3号機(沸騰水型、定格出力78万4千
キロワット)において、平成21年7月20日、高圧注水系*1の電動弁(原子炉格
納容器内側弁。以下、当該弁)の開閉試験を行っていたところ、午後0時41分頃、
当該弁の閉動作中に地絡警報*2が発生しました。その後、当該弁が完全に閉ま
った時点で警報は解除されました。
また、午後0時43分頃、同様に、当該弁の開動作中に地絡警報が発生し、当該
弁が完全に開いた時点で警報は解除されました。
その後の点検・調査の結果、当該弁の駆動用電動機内部あるいは電源ケーブル
で、地絡が発生している可能性が高いことが確認されました。
当該弁の開閉動作中に地絡警報が発生することは、プラントの運転に影響を及
ぼすものではありませんが、今後の安全・安定運転に万全を期するため、8月8
日午前4時30分頃にプラントを一旦停止して、当該弁の点検を行うこととしまし
た。
なお、本事象による外部への放射能の影響はありません。
(平成21年8月6日お知らせ済み・公表区分III)
2.調査の結果
8月8日午前3時45分頃、原子炉を停止し、調査を行った結果、ケーブルの被
覆の一部が損傷し銅線が露出していることを確認しました。
3.推定原因
当該弁の駆動用電動機の電源ケーブル3本を電源箱内に強く押し込んだことに
より、このうちの1本のケーブルが電源箱内で部品(トルクスイッチ*3取り付
け座)と接触していたため、ケーブルの被覆の一部が損傷し、地絡が発生したと
推定しました。
4.対策
当該弁の電源ケーブルの損傷部位を取り除きケーブルを再び接続した後、電源
ケーブルの絶縁抵抗測定*4および弁の開閉動作確認等を実施し健全であること
を確認しました。
また、今回の定期検査において、当該電動弁駆動部の点検を行っていたことか
ら、今後、電動弁駆動部点検等を行う際は、電源ケーブルを電源箱内に強く押し
込んで部品と接触しないように、作業要領書に明記します。
今後、本事象の原因と対策については関係箇所に周知し再発防止を図ることと
します。
5.現在のプラント状況
当該弁の修理が完了したことより、8月9日午後10時頃より原子炉を起動しま
した。
一方、原子炉の起動操作に伴い、8月10日午前7時頃、原子炉隔離時冷却系*5
(以下、当該設備)の動作確認を実施したところ、中央操作室からの遠隔操作で
停止できなかったことから、現場にて手動操作により停止しました。当該設備は、
すぐに起動できる待機状態にあるものの、現在、原子炉出力を保持した状態で起
動操作を一旦中止し点検調査を実施中です。
以 上
*1 高圧注水系
非常用炉心冷却系の一つで配管等の破断が比較的小さく、原子炉圧力が急
激には下がらないような事故時に、原子炉の蒸気を駆動源にしてポンプを回
し、原子炉に冷却水を注入することのできる系統。
*2 地絡警報
電源ケーブル等から漏電し、接地線等を通じて大地に電気が流れたことを
知らせる警報。
*3 トルクスイッチ
電動弁を保護するため、全開・全閉時および異常な力が加わった時に作動
しモーターを停止させる装置。
*4 絶縁抵抗測定
電気が流れる電路における電路相互間及び電路と大地との間の絶縁性(電
気が漏れない性能)の高さを測定すること。絶縁抵抗が低くなると漏電を生
じ、感電や火災等の原因となる。
*5 原子炉隔離時冷却系
原子炉の蒸気を駆動源にしてポンプを回し、原子炉の水位確保および炉心
の冷却を行う系統。なお、本系統は非常用炉心冷却系ではない。
添付資料
・概略図(PDF 52.2KB)
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