平成20年5月30日
東京電力株式会社
当社は、原子力発電所の一部のプラントにおいて過去に実施した配管の構造強度
評価結果の一部に誤りが確認されたことを受け、原子力安全・保安院からの指示文
書*1にもとづき、解析を実施したメーカが過去に応力評価を実施した福島第一原
子力発電所1号機および4号機における高経年化技術評価等報告書*2に関する再
評価を実施し、本日、再評価結果をとりまとめた報告書を同院へ提出いたしました
ので、お知らせいたします。
1.これまでの経緯
当社原子力発電所の一部のプラントにおいて過去に実施した配管の構造強度評価
結果の一部に誤りが確認されたことから、平成20年4月10日に原子力安全・保安院
から該当する配管の構造強度の再評価を実施し、根本的な原因究明と再発防止対策
の報告を求める旨の指示文書を受領いたしました。
当社は、該当する7プラント*3における工事計画書等に関する配管の構造強度
の再評価を実施し、根本的な原因究明を行い、再発防止対策をとりまとめ、平成20
年4月30日、原子力安全・保安院に報告いたしました。
なお、当該メーカが過去に応力評価を実施した福島第一原子力発電所1号機およ
び4号機における高経年化技術評価等報告書については、工事計画書の評価結果に
もとづき技術評価等を実施していることから、平成20年5月30日までに再評価を行
うこととしました。
(平成20年4月10日、4月30日お知らせ済み)
2.再評価結果
福島第一原子力発電所1号機および4号機における高経年化技術評価等報告書に
関する配管の応力評価の再評価を実施した結果、許容値を満足していることなどか
ら、いずれもこれまでに実施した技術評価および耐震安全性評価の評価内容に変更
はなく、評価結果にもとづき定めて運用している「原子炉施設の保全のために実施
すべき十年間の措置*4」に変更がないことを確認いたしました。
また、福島第一原子力発電所4号機の高経年化技術評価等報告書については、平
成20年3月に国の審査結果が出ておりますが、今回の再評価において、一部数値が
変更されていることから、変更した数値を反映した変更報告書を合わせて提出いた
しました。
3.今後の対応
当社は、本件の再発防止対策を着実に実施することで信頼性の一層の向上に努め
てまいります。また、今回の事象を鑑み、当該メーカ以外の過去に作成・改造され
たメーカオリジナルのプログラムについて点検を行ってまいります。
以 上
添付資料
○当社原子力発電所における配管の構造強度評価結果の一部誤りに関する高経年
化技術評価等報告書の再評価結果の概要(PDF 162KB)
*1 指示文書
「配管設計の応力解析における不備への対応について」(平成20年4月10日
付平成20・04・10原院第1号)
・今回の報告を踏まえ、柏崎刈羽原子力発電所第7号機における当該配管の
応力解析に使用しているものと同じ計算機プログラムを使用して応力解析
を行った配管分岐部に対して、修正した計算機プログラムを使用して応力
解析を実施した上で、その結果を平成20年4月30日(水)までに当院に報
告すること。
なお、応力解析の結果、発生する応力が配管の持つ許容応力を満足しない
ことが判明した場合には、速やかにその事実及び対応策について当院に報
告すること。
・今回、配管設計の応力解析に不備が生じたことの根本的な原因を究明し、
その再発防止対策についても、併せて報告すること。
*2 福島第一原子力発電所1号機および4号機における高経年化技術評価等報告
書
現行の制度においては、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」
において、原子炉の運転を開始した日以降30年を経過するまでに、原子炉施設
の安全を確保する上で重要な機器および構造物について、経年劣化に関する技
術的な評価(高経年化技術評価)を行い、これにもとづき原子炉施設の保全の
ために実施すべき措置に関する10年間の計画(長期保全計画)を策定すること
が義務付けられている。さらに、「実用発電用原子炉施設における高経年化対
策実施ガイドライン(平成19年6月)」において、原子炉の運転を開始した日
以降28年を経過した日から29年を経過する日までに、高経年化技術評価および
長期保全計画を国に報告することが求められている。
福島第一原子力発電所1号機については、平成11年2月に同報告書のとりま
とめを実施しており、同所4号機については、平成19年10月に原子力安全・保
安院へ同報告書を提出し、平成20年3月に同院における審査結果が公表されて
いる。
*3 7プラント
・福島第一原子力発電所1号機、4号機
・福島第二原子力発電所2号機、4号機
・柏崎刈羽原子力発電所4号機、5号機、7号機
*4 原子炉施設の保全のために実施すべき十年間の措置
高経年化技術評価として、原子炉施設の安全を確保する上で重要な機器およ
び構造物について、経年劣化に関する技術的な評価を踏まえ策定する今後10年
間の保全のための措置であり、長期保全計画としてとりまとめている。
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