平成20年5月25日
東京電力株式会社
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<概要>
(事象の発生状況)
・5月23日から起動操作を行っている福島第一原子力発電所5号機において、
25日午前0時50分頃、高圧注水系*1の作動試験を実施したところ自動停止し
たことから、保安規定で定める「運転上の制限*2」から逸脱していると判断
しました。
・このため「運転上の制限」を満足しない場合に要求される措置として、ただち
に原子炉隔離時冷却系*3の作動試験を実施したところ、自動停止したことか
ら「運転上の制限」から逸脱していると判断しました。
・高圧注水系と原子炉隔離時冷却系のいずれも動作可能でない場合は、24時間以
内に原子炉を停止することが要求されていることから、原子炉を手動停止する
こととしました。
(今後の対応)
・原因について調査いたします。
(安全性、外部への影響)
・本事象による外部への放射能の影響はありません。
(公表区分)
・本事象は公表区分I(原子炉の計画外の停止など)としてお知らせするものです。
詳細は以下のとおりです。
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1.事象の発生状況
5月23日より起動操作中の福島第一原子力発電所5号機(沸騰水型、定格出力78
万4千キロワット)において、本日、午前0時50分頃、高圧注水系の作動試験を実
施したところ、自動停止いたしました。
原子炉圧力が1.04メガパスカル以上のときは高圧注水系と原子炉隔離時冷却系が
動作可能であることが要求されておりますが、高圧注水系が動作可能でないと判断
したことから、保安規定で定める「運転上の制限」から逸脱していると判断しまし
た。
また、「運転上の制限」を満足しない場合に要求される措置として、すみやかに
原子炉隔離時冷却系の機能が健全であることを確認することが要求されていること
から、原子炉隔離時冷却系の作動試験を実施したところ、同系統が午前2時8分に
自動停止したために、保安規定で定める「運転上の制限」から逸脱していると判断
しました。
高圧注水系と原子炉隔離時冷却系のいずれも動作可能でない場合は、24時間以内
に原子炉を停止することが要求されていることから、3時40分から原子炉の停止操
作を開始しました。
2.今後の対応
原因について調査いたします。
3.安全性、外部への影響
本事象による外部への放射能の影響はありません。
以 上
*1 高圧注水系
非常用炉心冷却系の一つで配管等の破断が比較的小さく、原子炉圧力が急激には
下がらないような事故時に、原子炉の蒸気を駆動源にしてポンプを回し、原子炉に
冷却水を注入することのできる系統。
*2 運転上の制限
保安規定では原子炉の運転に関し、「運転上の制限」や「運転上の制限を満足し
ない場合に要求される措置」等が定められており、運転上の制限を満足しない場合
には、要求される措置にもとづき対応することになる。
保安規定第39条では、高圧注水系が動作不能な場合は、原子炉隔離時冷却系の
機能が健全であることを確認することが要求されている。
保安規定第40条では、原子炉隔離時冷却系が動作不能な場合は、高圧注水系の
機能が健全であることを確認することが要求されている。
*3 原子炉隔離時冷却系
何らかの原因により、通常の原子炉給水系が使用不可となり、原子炉水位が低
下した場合等において、原子炉の蒸気を駆動源にしてポンプを回し、原子炉の水
位確保および炉心の冷却を行う系統。なお、本系統は非常用炉心冷却系ではない。
○添付資料
・高圧注水系系統概略図および原子炉隔離時冷却系系統概略図 (PDF 134KB) |