平成19年4月27日
東京電力株式会社
当社・福島第二原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、
平成19年2月16日より原子炉を起動し、発電開始準備をしていたところ、2月18日
午前9時21分、「主蒸気管放射能高高トリップ*」の警報が発生し、原子炉が自
動停止いたしました。
なお、主蒸気管放射線モニタおよびその他の放射線モニタに変動は見られず、こ
れによる外部への放射能の影響はありませんでした。
(平成19年2月18日お知らせ済み)
その後の確認により、プラントの運転状態に異常はなく、主蒸気管放射線モニタ
(以下「当該モニタ」)の記録計の指示値に変動がなかったこと、および当該モニ
タの検出器に異常は確認されなかったことから、当該モニタが誤動作したものと推
定いたしました。
当該モニタの誤動作について調査した結果、以下のことがわかりました。
・当該モニタ前面パネルは、カバーの留め金が塗装されていること、および空調に
よる風が比較的強く当たって空気との摩擦が生じることなどにより、静電気が蓄
積されやすい状況にあること。
・静電気を当該モニタ本体に放電させる模擬試験を行ったところ、当該モニタの誤
動作が再現されたこと。
このことから、当該モニタ前面パネルに蓄積された静電気が当該モニタ本体へ放
電し、その影響により当該モニタ内の回路が誤動作したことにより、原子炉の自動
停止に至ったものと推定いたしました。
対策として、前面パネルカバーの留め金の塗装を剥がすことなどにより、当該モ
ニタ前面パネルへの静電気の蓄積を防止いたします。
また、当該モニタ回路への静電気の影響を防止するため、当該モニタおよび他の
放射線モニタを設置している制御盤において、以下の対策を実施いたします。
・当該モニタを制御盤に固定している設置プレートの材質を、塗装された鋼板か
ら導電性の高い亜鉛メッキ鋼板に変更し、接地線を追加する。
・当該モニタおよび他の放射線モニタの制御盤について、接地線を太くするなど
の接地強化策を講じる。
なお、本事象の発生原因である静電気の蓄積による放電を想定出来なかったこと
に鑑み、今後は今回の対策等を踏まえ、当該モニタ等の取り替えを行う場合には慎
重な検討を実施してまいります。
以 上
*:主蒸気管放射能高高トリップ
主蒸気管の放射線レベルを連続監視し、通常範囲を超える放射線が検出された
場合に原子炉の緊急停止信号を発信する警報。
(参考)INES評価
本事象は、原子力安全・保安院による国際原子力事象評価尺度(INES)暫
定評価では、0+(安全上重要でなく、安全に影響を与えない事象)とされてお
ります。
添付資料
・主蒸気管放射線モニタ 概略系統図(PDF 22.4KB)
・主蒸気管放射線モニタ誤動作に至る推定メカニズム(PDF 17.6KB) |