平成18年7月4日
東京電力株式会社
当社・福島第二原子力発電所1号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、
平成18年4月20日から定期検査を実施しておりますが、6月5日午前9時6分頃、
使用済燃料プールと原子炉側を冷却していた残留熱除去系*(A系)を原子炉側への
冷却水供給のみへ切り替える作業において、原子炉に接続された配管に設置してある
流量調節弁の開操作を実施したところ、流量の指示が毎時約450m3から毎時0m3と
なり、流量が確認できなくなりました。
現場確認の結果、当該弁の本体に何らかの不具合があるものと推定いたしました。
なお、当該弁が閉止状態にあっても、原子炉は燃料プール冷却浄化系および原子炉
冷却材浄化系により冷却機能が保たれています。
その後、当該弁本体を分解し調査を行っておりましたが、6月7日午前10時45分
頃、弁体を動かすための弁棒が弁体取り付け部分で折損し、弁体が落下していること
を確認いたしました。
本件は、法令に基づく国への報告対象に該当するものと判断しております。
(平成18年6月5日、6月7日お知らせ済み)
調査の結果、当該弁の弁体と弁棒は、隙間がないように締め込む設計としていたと
ころ、約1mmの隙間があることがわかりました。
このことから、当該弁の弁棒が折損した原因は、この隙間があることにより、当該
系統運転時の振動で弁体が揺れ、弁棒のネジ部に応力が加わり、疲労によるき裂が発
生・進展したため弁棒折損に至ったものと推定いたしました。
当該弁の弁体と弁棒に約1mmの隙間が生じた原因は、第5回定期検査(昭和63年
6月~11月)において当該弁の弁体を現場にて交換した際、弁棒の締め付けを作業員
の手による締め付けのみで行っていたため、ネジの締め付けが十分でなかったことに
よるものと推定いたしました。
対策として、当該弁の弁体と弁棒については新品に取り替えました。当該弁の組み
立て作業においては、治具・工具を使用して十分な締め付けを行うとともに、締め付
け後にネジ部が確実に締め付けられていることを確認いたしました。
また、当該弁と同様な口径の大きい弁について、弁体に弁棒をネジ込んで組み立て
る際には、同様の対策を確実に実施いたします。
以 上
*:残留熱除去系
原子炉を停止した後の燃料の崩壊熱の除去(燃料の冷却)や非常時に原子炉水位
を維持する系統で、燃料プール冷却浄化系と原子炉側に冷却水の供給が可能。
添付資料
・残留熱除去系 系統概略図
残留熱除去系 流量調節弁概略構造図および弁棒折損のメカニズム(PDF 105KB) |