【世界に挑む!】タイ南部の電力供給を支える
コンバインドサイクル火力発電設備、まもなく稼働!

2016/04/01

タイ・カノーム4号機増設プロジェクト

東京電力フュエル&パワー株式会社 4月1日発行
シリーズ 世界に挑む!

2016年6月の営業運転開始を目指して着々と工事が進む「タイ・カノーム4号機増設プロジェクト」。タイ南部の電力不足を補うべく進める最新鋭火力発電設備の建設プロジェクトを現地に駐在するエンジニア・小林社員がレポートします。

東京電力フュエル&パワー株式会社
EGCOプロジェクト派遣
小林貴洋

EGCOプロジェクト派遣 小林貴洋

EGCOプロジェクト派遣 小林貴洋

タイ南部地域の電力不足を補い、地域発展に貢献するために

バンコクから南へ約700km、マレー半島北部のナコンシータマラート県カノーム市に発電所はあります。日中の気温は通年30℃以上の、いわゆる常夏の気候。観光地として有名なサムイ島まで約20kmほどの、タイランド湾に面したのどかな地域です。
本プロジェクトは2013年10月、電力需要に対し供給量が不足しているタイ南部において、電力の安定供給を図ることを目的に発電所の増設工事がスタートしました。
そもそも、タイ国内の電力供給は一括してタイ電力公社(EGAT)が担っていましたが、1992年に一部民営化の流れを受けて、独立系発電事業者(IPP)の1つとして、EGCO(Electricity Generating Public Company Limited)が発足しました。同社はタイ国内だけでなく、インドネシア、フィリピンなど東南アジアを中心に発電事業を展開しています。東京電力フュエル&カンパニーは、このEGCOを通じて技術支援を行いながら、カノーム発電所の増設工事に携わっています。

カノーム発電所(1~4号機) 手前の2つの建物・赤白の煙突が今回増設工事を行っている4号機(2軸構成)。左奥に小さく見える2つの赤白の煙突が奥から1号機、2号機で中央奥の建物が3号機。

最新鋭火力発電設備の建設・運転実績で積み上げる世界からの信頼

本プロジェクトは、既存のカノーム発電所敷地内に最新鋭ガスタービン・コンバインドサイクル火力発電設備(4号機:93万kW)を増設し、 EGATとの長期売電契約に基づいて25年間にわたり電力を供給する、というものです。2016年6月の営業運転開始に向けて、現在は試運転調整の最終段階を迎えています。
コンバインドサイクル火力発電は、ガスタービンで発電するとともに、さらにその排熱を利用して蒸気タービンでも発電するという高効率な発電方式です。また、環境性に優れる天然ガスが主燃料として使われます。

エネルギーの有効活用と環境負荷低減という点で、こうした最新鋭の火力発電設備は世界的に需要が高まっています。当社はこのプロジェクトの成功によって、地域の電力需要に貢献するとともに、世界における技術的信頼性を高め、新たなビジネスチャンスにつなげたいと考えています。

4号機(2軸構成)

4号機(2軸構成)

プロジェクト工程会議の様子(ホワイトボードの前で関係者へ説明しているのが小林社員)

プロジェクト工程会議の様子(ホワイトボードの前で関係者へ説明しているのが小林社員)

文化や習慣の違いをお互い理解し合って協力関係を築く

私は、2013年9月から今年6月までの約3年間の予定でタイに赴任し、エンジニアリングチームのリード役として火力発電設備の建設に携わっています。

この、発電設備の建設というプロジェクトには多くの企業が関わっており、お互いが協力し合いながら作業を進めています。また、海外のプロジェクトですから、生活習慣や文化、考え方などの異なる外国の方々との相互理解と連携が欠かせません。
私が特に大切にしてきたのはチームワークで、常に相手の意見や考え方をよく聞き、直面する課題の優先順位を吟味しながら、チーム一丸となって業務を進めてきました。プロジェクトに関わる全員の理解と協力があってこそ、ここまで順調に進めることができたと実感しております。

また、火力発電所の建設には、建屋を作り上げる土木建築工事や、内部に機器を設置する機械電気設備工事など、様々な工事が輻輳して行われます。これまでの火力発電所の建設や保守に携わった経験を活かし、その時々で工程上重要となる作業については遅れのないよう、現地メンバーもうまく巻き込みながら全体管理業務を行っています。また、毎朝1テーマずつの勉強会を開催するなど、現地スタッフの技術力向上にも取り組んでいます。

微笑みの国に、電力供給や雇用機会の増大など、
多くの笑顔をもたらすプロジェクト

実際に現地での業務に携わって約3年、想像していた以上に充実感や達成感が得られています。大型の建設プロジェクトを少人数で遂行しているため、しっかりとした根拠を持って議論を進めていくために、技術面での知見はもちろんのこと、契約書や国際規格を熟知するなど、一人ひとりにかなりの実務経験と調整力が要求されます。大変な面もありますが、異国であることや他社の方々と一緒に仕事ができる点で、日本では得られないような幅広い経験ができていると思います。
食事は普段、和食や簡単なタイ料理を自宅で作っていますが、週末などは近所のレストランに出かけてタイスキやグリーンカレーなど本場のタイ料理を体験することで、タイの文化に触れることも楽しみのひとつです。現地の方々とのふれあいを通じて感じることは、本プロジェクトが、地域への電力安定供給だけでなく、雇用機会の増大など、地域の発展に貢献できるプロジェクトだと皆さんから歓迎されているということ。そして、プロジェクトのメンバーや町の方々にはいつも笑顔で接していただき、とても穏やかな気持ちで仕事ができていることが、大きな心の支えにもなっています。
現在、プロジェクトは大詰めを迎え、いよいよ最後の試運転調整に入っていますが、現地のエンジニアの多くは建設工事の経験が少なく、このプロジェクトでの経験が、今後の発電所の運用や新規プロジェクトの開発にも大きく寄与するものと確信しています。残りあと数ヶ月、安全と健康を第一優先としつつ、このチームワーク力で計画通りの建設工事完工を目指して、精一杯取り組んでいきたいと思います。

エンジニアリングチームのメンバー(一番左が小林社員)

エンジニアリングチームのメンバー(一番左が小林社員)

主要マイルストーン達成セレモニーの様子

主要マイルストーン達成セレモニーの様子

「タイ王国」について

正式名は「タイ王国」。立憲君主制。日本企業1300社以上が進出するなど、日本との関係の深い国の一つ。国土はインドシナ半島中央部とマレー半島北部を占める総面積約51万平方kmで日本の約1.4倍、人口約6,718万人の9割以上が仏教を信仰。タイの発電設備容量は日本のわずか9分の1ほどで、火力発電がその大部分を占める。

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