資料館
それぞれのフィールドにおいて、自然との共生や環境保護活動などに精力的に取り組んでいらっしゃるオピニオンリーダーの方々との対談内容をご紹介いたします。
新幹線の新神戸駅から歩き始めて、すぐに落差約20メートルほどの布引ノ滝雌滝と出合う。出発してまだ5分ほどなのに、もうどっぷりと自然の中。竹内さんは、尾瀬はもちろん、関東周辺の山々と比べ、その身近さと手軽さに驚いた様子。「京阪神は周りを山に囲まれていますから、駅に降りてすぐに登れるようなところが多いんです」と堀さん。こんなふうにお二人の六甲山ハイキングが始まった。
<タレント>堀ちえみ(ほりちえみ)
大阪府出身。テレビなどで活躍中。
昨年12月に82年デビュー同期の松本伊代・早見優の3人でキューティー☆マミーを結成。
5月3日にCD「ミッキーマウス・マーチ」を発売。主な著書に『堀ちえみと3人の小さな山男』(山と渓谷社)がある。
- ちょうどツバキの花が真っ盛りの登山道を堀さんがガイド役で進む
- 竹内
- 「今日歩いた六甲山は、堀さんが何度も登られた思い出の詰まった山だとお聞きしました」
- 堀
- 「ええ。幼い時には両親に連れてきてもらい、自分が親になってからは、子どもたちを連れて何度も来ています」
- 竹内
- 「六甲山とひと口に言っても長さ50キロぐらいある山地なんですね」
- 堀
- 「いろんなコースがあっていろんな登り方ができるんです。レジャーとしても面白いし、生活に密着した山だからカルチャーの部分でも楽しめることがいっぱい」
- 竹内
- 「お子さんを連れて山に登るのってたいへんじゃないですか?」
- 堀
- 「私の育った学校がハイキングや登山を楽しむ機会が多い学校だったんです。子どもの頃から自然に馴染んでたので、子どもにも経験させたくって」
- 竹内
- 「それって大切なことですよね。今の時代、人と自然がとても遠くなっちゃいましたよね。数年前母に『友達とハイキングに行ったりしないの?』って聞かれてびっくりしたぐらい。で、母と一緒に山に出かけてみると、私と同世代の人はほとんど見かけない。環境をみんなで考えなきゃいけない時代にこれでいいのかなって考えてしまいました」
- 森林植物園の中の木道は少し尾瀬に似ている-----
- 陽当たりがいい所はツツジも咲いていた
- 堀
- 「子どものうちから、自然に慣れ親しむって大切なことですよね。私たちの子どもの頃と違って、今は身の回りの自然が少なくなって遊びも変わり、自分の力で生きていく力も弱くなっているような気がするんです」
- 竹内
- 「確かにそうかもしれません。自然の中では何が起こるかわからない。自分ががんばらないとどうしようもない状況を経験しますからね」
- 堀
- 「大人が意識して自然とふれあう機会を作ってあげないといけない時代になったんだと思います。そして登山を通じて、子どもだけじゃなく私自身も母親として、手をつないで歩くことの大切さを学びました。親子の信頼関係がないと身をゆだねて歩けないでしょう。子ども達から安心して頼られる存在ってどういうものなのかを教えられました。今では逆に、道を歩いてて自転車なんかが来ると『危ないよ』って肩をつかまれて道端に寄せられますよ(笑い)」
- 竹内
- 「今度山に行くと『荷物を持ってやるよ』なんていわれるかも」
- 堀
- 「悔しいからそれはさせませんけど(笑い)。でもそんなふうにたくましく育ったのも山を登ってきたからかなって。また、子どもの頃に、そうやって感動して楽しむと、大人になっても次の世代に残しておきたいって思えるでしょうし」
- 堀
- 「今日は久しぶりに子ども抜きで歩いて気付いたんですが、さっさと歩ける反面、木の実や道端の花なんかが意外と目に入らない。子どもの目線だから気がつくものってあるんだなあってあらためて感心しました」
- 竹内
- 「そういうのってありますね。尾瀬は小さい高山植物が多いでしょう。大人の人には、ほらそこに、ほらあそこに花が咲いていますって説明しなければなりませんが、子どもたちは自然に見つけますからね。堀さんは尾瀬に行かれたことは?」
- 堀
- 「子どもが小さかったこともあって、写真で楽しむばかりでまだ行ったことがないんです。憧れの地ですよね。いまだに”はるかな尾瀬”です(笑い)」
- 竹内
- 「でも六甲山のように新幹線の駅の真裏に、あたりまえのように自然があるっていうのもいいですよね。私も、自然保護活動発祥の地である尾瀬にたずさわっている人間として、簡単ではありませんけど、もっと門戸を広げられたら、そして子どもたちが初めてふれた大自然が尾瀬だったりしたらいいなって思います」
- 堀
- 「下の子はまだ小さいですが、お兄ちゃん達が大きくなりましたから、そろそろ尾瀬デビューもできるかな?」
- 竹内
- 「ぜひ、お待ちしてます。今日はありがとうございました」