今年の尾瀬は冬の到来が遅く、12月に入ってからようやく冬が訪れた感じがします。それでも、例年に比べてまだ雪は少なく、12月中旬でも尾瀬ヶ原や尾瀬沼の積雪は30cm程度でした。この頃の尾瀬沼は完全氷結しておらず、ぽっかりと穴をあけたように水面が顔を覗かせていました。
シーズン終了とともに、尾瀬に繋がる道路は「冬季閉鎖」となり、誰も歩かなくなった初冬の尾瀬。あたり一面、誰もいない静かな山道ですが、足もとに目をやると、雪上をすばやく動く昆虫の存在に気付きます。
「ガガンボダマシ」は、翅(ハネ)があったり無かったり、あっても小さかったり。
「クモガタガガンボ」は、6本脚ながら蜘蛛(クモ)に似た動きをします。
「フユシャク」は漢字で書くと「冬尺」。その名のとおり冬に現れる蛾の仲間で、オスは多くの方がイメージするような蛾の姿ですが、メスは翅が無く飛べません。
このような冬の虫たちは、氷河期に寒さから逃れるために南下し、標高の高い地域に棲みついた“氷河期の生き残り”とも言われていて、氷河期に対応するため体を変化(羽を退化)させたことにより、移動できなくなってしまったそうです。そして、捕食者の少ない冬季に羽化して繁殖行動を行います。
一見静かな初冬の尾瀬も、目をこらして見てみると、意外と賑やかなのかもしれません。
12月の尾瀬ヶ原
湖面が完全氷結していない尾瀬沼
昆虫を見つけた登山道
ガガンボダマシ(翅有)
ガガンボダマシ(翅無)
クモガタガガンボ
フユシャク(左:雄,右雌)