「お客さま建物内地下設置200kW級NAS電池システム」の運転開始について
-今後の普及拡大に向けたデータの蓄積を行うため初めての建物内地下設置NAS電池システムが実証試験を開始-
平成11年11月15日
東京電力株式会社
当社は、鉛蓄電池に比べ電力貯蔵密度が約3倍と高くコンパクトで、自己放電の
ない、長寿命な「NAS電池(ナトリウム-硫黄電池)」の研究開発を昭和59年度
から日本ガイシ株式会社と共同で進めておりますが、このたび、お客さま建物内地
下に初めて設置して、実用的な効果を確認する実証試験を本日から株式会社関電工
本社ビル(東京都港区芝浦)で開始いたしました。
NAS電池は、深夜に電気を充電・貯蔵し、昼間のピーク時などに放電を行うも
ので、揚水式水力発電所と同様の機能を果たすことができ、しかも、都市部などの
需要地やその近傍に設置できるのが特長です。昼夜間の格差が大きい電力負荷の平
準化や電力設備の効率的運用に役立ち、設備投資の抑制につながるほか、風力や太
陽光発電などの自然エネルギーと組み合わせて、不安定な電源を安定化したり、非
常時の電源として活用したりすることもできます。
このたび建物内地下に設置した「200kW級NAS電池システム」は、当社の川崎
電力貯蔵連系試験場(川崎市幸区)で平成8年6月から同11年7月まで実証試験を
行ったシステム(100kW×8時間放電、200kW×3時間放電)を移設したものです。
これまで、NAS電池設備については、消防法上「地階を有する建物には設置で
きない」などの制限がありましたが、今年6月、火災安全性能を有するNAS電池
については規制が緩和されました。それを受けて、今回初めて建物内地下にNAS
電池設備を設置し、実証試験を行う次第です。今後、地下スペースに設置すること
によって、お客さま建物スペースの有効活用につながるものと期待しています。
実証試験期間は2年程度とし、夜間への電力ピークシフトに伴う電気料金削減効
果の確認やNAS電池の遠隔監視などの検証を実施することによって、今後のお客
さま建物内地下設置NAS電池システムの普及拡大に向けたデータの蓄積を行う予
定です。
なお、当社はすでにNAS電池について、これまでの研究を通じ、分散型電源と
して必要な充放電効率や安全性など技術的な検証を終えていますが、今後、2年程
度をかけて今回の実用性能検証の他にさらなる研究・検証を集中的に重ね、実用化
・普及に向けて、残された課題である経済性の向上について可能性を見極める予定
です。
以 上
(別 紙)
「お客さま建物内地下設置200kW級NAS電池システム」の概要
(1)開発主体
○東京電力株式会社
<開発目標・仕様の決定、実証試験の実施、成果の評価>
・社 長:南 直哉
・住 所:東京都千代田区内幸町1-1-3
・電 話:03-3501-8111
○日本ガイシ株式会社
<開発仕様に基づいた単電池、モジュール電池の開発>
・社 長:柴田 昌治
・住 所:愛知県名古屋市瑞穂区須田町2-56
・電 話:052-872-7181
○株式会社明電舎
<開発仕様に基づいた交直変換装置の開発>
・社 長:瀬古 茂雄
・住 所:東京都中央区日本橋箱崎町36-2 リバーサイドビル
・電 話:03-5641-7000
(2)NAS電池システム仕様
○設置場所 株式会社関電工KDKビル 地下1階 NAS電池室
(東京都港区芝浦4-8-33)
○NAS電池本体仕様
・製造者 日本ガイシ株式会社
・容量 200kW×3時間出力(定格100kW×8時間出力)
・使用モジュール 25kWモジュール電池×4台
・外形寸法 W1.95×D2.4 ×H2.9 m
○交直変換装置
・製造者 株式会社明電舎
・出力 200kW
・変換素子 IGBT
・制御方式 自励式3相PWM制御
・外形寸法 W4.76×D2.0 ×H2.40m
*なお、今回のNAS電池設備は川崎電力貯蔵連系試験場で運転していたものを
移設して実証試験を行う。
|