マイクロガスタービン発電機の評価研究の開始について
-お客さま本位の経営をめざし、新サービスにつながる分散型電源を研究-
平成11年7月15日
東京電力株式会社
当社は、本年9月から約1年間、マイクロガスタービン発電機の運転試験を行
い、電気の需要地点の近くに設置する「分散型電源システム」としての性能評価
研究を実施することといたしました。
マイクロガスタービンは、自動車用ターボチャージャーの技術を活用した高回
転の小型タービンに発電機とインバータ(周波数変換器)を組み合わせたもので、
都市ガスなどを燃料とする出力100kW以下のシンプルで低コストな発電機です。デ
ィーゼルエンジンなどの電源用原動機と比較しても、コンパクトで冷却水が不要、
窒素酸化物(NOx)の排出量が少ないなど、運転保守性や環境面において優れた
性能を持っています。また、約250度以上の排ガスから熱交換器で温水(80度程度)
を取り出すことができるので、発電システムとしてはもとよりコージェネレーシ
ョンシステムとしても優れた特長をもつ分散型電源として期待されています。
今回の研究では、米国アライドシグナル社製・キャプストン社製のマイクロガ
スタービン発電機各1台を購入し、当社技術開発センターの研究棟の電気系統に
実際に連系して発電を続けながら、主に商業用店舗や小規模なオフィスビルに設
置する場合を想定した運転性能の確認や信頼性などの技術的評価を行うとともに、
コージェネレーションシステムとしての性能評価も実施いたします。
特に、キャプストン社製発電機の運転試験については、EPRIとの共同プロ
ジェクト(注)の一環として実施する予定であり、他社が共通の試験方法で収集
・解析したデータも共有することによって、より幅広いデータの収集・分析が行
えるものと考えております。
当社は、今後ともお客さまにとって最も効率的で魅力あるサービスを提供する
エネルギー・サービス企業をめざし、新たな成長・発展につながる事業領域の開
拓に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以 上
(注)EPRIとの共同プロジェクト
マイクロガスタービンの性能評価、技術的問題点の抽出、系統連系の特性評価、
お客さまや電力会社にとってのメリットなどを明らかにするために、当社や米国
の電力会社など16社が参加したEPRI(米国の電力研究開発機関であり、日本
の電力中央研究所に相当)のプロジェクト。それぞれ最低1台のプロトタイプの
マイクロガスタービン発電機を設置し、共通の試験方法に従って収集したデータ
をEPRIが集約・解析し、参加者が共有する。
<参考>マイクロガスタービン発電機の評価研究の概要
1.目的
マイクロガスタービン発電機を商業用店舗や小規模なオフィスビルに設置す
る想定で、実機試験によるシミュレーションを行うとともに、排熱から温水を
取り出すコージェネレーションシステムとしての技術面、環境面、経済面の成
立性を評価する。
2.研究内容
(1)時期
平成11年9月~平成12年10月
(2)設置場所
東京電力(株)技術開発センター ガスタービン要素実験室内
住所:横浜市鶴見区江ヶ崎町4-1
(3)研究費用
約1.2億円
3.評価項目
(1)基本性能の確認
・効率、出力、起動特性、系統連系特性などの確認
(2)環境性能評価
・排ガス特性(NOX、COなど)、騒音や振動特性の測定
(3)コージェネ特性評価
・カタログ値ベースでのヒートバランス評価
・実機試験での排ガス特性(温度、圧力、流量など)の測定
・排熱を有効に回収するシステムの検討、評価
(4)経済性評価
・適用箇所に応じたシステムとしての経済性評価
4.マイクロガスタービン発電機の主な諸元
アライドシグナル社製 キャプストン社製
出力(kW) 75 28
大きさ(m) 1.1(W)×2.4(D)×1.8(H) 0.7(W)×1.3(D)×1.9(H)
重量(kg) 1,540 490
熱効率(%) 30 26
NOx(ppm) 9 9
回転数(rpm) 65,000 96,000
*いずれもカタログ値
以 上
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