平成11年3月29日
東京電力株式会社
当社は、昨年秋に発生した「使用済燃料輸送容器のデータ改ざん問題」を重く受け
とめ、社内に「風土改革検討委員会」を設けて、当社の企業体質・風土にまで踏み込
んで問題点を把握し、背景の分析と対策の検討を進めてまいりました。
このたび、その結果がまとまりましたのでご報告いたします。
1.検討体制および検討方法
(1)常務を委員長とし、関連する部門の役員・部長等で構成する委員会により議論
(2)原子力発電所と一体となった取組みとするため、発電所所員約900名、協力企業
社員約1,200名からグループディスカッションや電子メール等を通じ、率直な意
見を把握
(3)社外有識者を講師に迎え、委員会メンバー、発電所幹部等が意見交換
2.明らかになった問題点
検討の結果、当社の体質・風土に関わる問題として、一部に見られた次のような
点を改善すべきであると確認しました。
1.情報流通、コミュニケーションの不足
例:部門間・本店店所間・上司部下間の意思疎通、情報伝達が不十分。経営方
針などが第一線社員までなかなか浸透しない体質。
2.社内の意識と社会とのギャップ
例:原子力発電所のトラブル情報等の公開に関わる社内外の受けとめ方の相違。
原子力の安全性は一般の方に十分理解していただけないのではないかとい
う専門家意識。社内の安全基準値等と実質的に安全・品質を確保できる水
準とのかい離。
3.協力企業とのパートナーシップの不足
例:協力企業やメーカーの方に対する社員の礼儀を欠くような態度。協力企業
からの改善提案に対する反応の遅さ。
3.今後の風土改革を進めるにあたっての基本認識
社会的影響が大きい原子力をはじめとする高度・巨大技術を取り扱う当社のよう
な企業には、強い倫理観と社会的信頼が求められています。企業の社会的信頼は、
社員の倫理観や価値観に負うところが大きいと考えられます。それは会社の業務を
通じてだけでなく、社会人として社会と多面的に関わりを持つ中で培われるもので
あることから、個人と組織の新しい関係、言いかえれば「個人の顔が見えるような
会社づくり」を目指して、以下の視点に立って風土改革に取り組みます。
・ 第一に、部門間や上司と部下との間の情報交換、意思疎通を密にし、徹底し
た議論ができるような風通しのよい、個性を尊重する職場風土を築くこと。
・ 第二に、社員一人ひとりが社会感覚を身につけ、会社への責任と社会への責
任をともに自覚しながら、お互いに自分の意見を主張し、業務に取り組むこと。
・ 第三に、「社会に対して開かれた会社づくり」を目指すこと、言いかえれば、
広く情報を開示した上で、社会の声を聴き、社会と意識を共有し、共に考える
風土を確立すること。
4.風土改革アクションプラン
以上のような認識のもとに具体的アクションプランを実施します。
(1)全社的な風土改革推進キャンペーンの実施
本年4月~6月の期間、委員会検討結果を全社に周知徹底します。
・社長メッセージの発信、スローガンの設定、社内報や社内TV等の活用
・経営トップ層と第一線職場や協力企業との意見交換会等の実施
(2)「原子力の風土改革アクションプラン」/「全社的な風土改革アクションプラン」
の推進
体質・風土の問題の多くが当社全体に関わるものであることから、「原子力の
風土改革」と「全社的な風土改革」の両面から次を骨子とするアクションプラン
を展開します。関連会社へも働きかけ、グループ全体の取組みとします。
1.円滑な社内情報流通の確立(「風通しをよくする」)
2.社会との関わりを意識した業務運営・人材育成(「開かれた原子力発電所をつ
くる」「社会の声を聴く」)
3.モラルの徹底、協力企業とのパートナーシップの醸成(「原子力を共に育てる」
「自らを律する」)
4.意識を高める施策の実施(「原子力を元気にする」「全員が参加する」)
(3)ワーキンググループによるフォローアップ
アクションプランは11年度上期中実施を目途とし、社内関係各所の横断組織の
フォローアップ・ワーキンググループが具体的な詰めを行います。
来年以降、「風土改革推進月間」(5月予定)を創設し、意識の定着を図ってい
きます。
以 上
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