プレスリリース 1998年

福島第一原子力発電所3号機の原子炉自動停止の原因と対策について



                                                  平成10年11月27日
                                                  東京電力株式会社

  すでにお知らせしましたとおり、当社福島第一原子力発電所3号機(沸騰水
型、定格出力78万4千キロワット)は、定格出力で運転中のところ、11月24日
午後10時37分、原子炉内の中性子の量(中性子束)が通常より多いことを示す
信号が発生し、原子炉が自動停止したため、詳細調査を実施してまいりました。


  調査の結果、以下の事実関係などから、落雷の影響により、中性子量を計測
する電気回路に中性子量が増加したような誤信号が発生したものと判明いたし
ました。
(1)  同停止時刻の炉心に関連する他のデータ(原子炉圧力、原子炉水位、炉心
  流量等)には特段の変化は見られなかったことから、実際には中性子量は  
  増加していないこと
(2)  炉心内の中性子量を測定している装置のうち、同じルートの電線管に納め
  られているケーブルの信号のみが、中性子量の増加を示していること
(3)  3,4号機主排気筒の避雷針に落雷の痕跡(黒色変化)が認められたこと

  このため、中性子量を測定している装置の点検を行い、健全であることを  
確認しました。また、落雷による影響を低減するよう、同装置の電気回路に  
信号を送っているケーブルを収納する電線管をアルミ遮へい材で包み込むこと
といたします。

  なお、準備が整い次第原子炉を起動する予定です。

  また、資源エネルギー庁による国際原子力事象評価尺度(INES)暫定  
評価では0+とされています。

<参考>  原子力発電所では、原子炉内の出力を計測するために中性子量を計
    測していますが、中性子量が約2割増えると自動停止する設計となっ
    ています。また、中性子量が増えれば核分裂が盛んとなり、原子炉内
    の出力が上がりますが、出力が上昇すると、水が蒸気になって密度が
    低下する等して核分裂を起こす中性子が減少するので、自然に出力の
    上昇は抑えられる固有の特性を有しています。

                                                           以  上



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