プレスリリース 1998年

建設発生土の再利用促進に向けたスラリー埋戻し材製造の実用大型プラントの完成について(埋戻し工費を従来比10%以上コストダウンへ。電力工事だけでなく、一般建設工事などへも適用可能なユニットを開発。)



                                                  平成10年9月21日
                                                東京電力株式会社
                                                 株式会社 関電工


 東京電力(株)および(株)関電工は、平成5年から共同で建設発生土の再
利用技術である「スラリー埋戻し工法」の研究開発に取り組んでまいりました
が、このたび、実用大型タイプのスラリー埋戻し材製造プラントを完成いたし
ました。
  「スラリー埋戻し工法」は、工事現場で掘削した建設発生土に水と固化材を
混合して、硬化性のスラリー(泥水)を製造し、それを埋戻し材としてリサイ
クルするものです。流動性の高い液状スラリーを流し込むので、狭隘部への完
全な充填が行えるほか、埋戻し後の沈下が少なく、路面陥没を引き起こすこと
がないなど数多くのメリットがあります。
 これまでは、スラリー埋戻し材製造のために、機械一式を搭載した専用車両
(スラリープラント車 平成8年3月開発)を導入しておりましたが、このた
び製作したプラントは、地中送電線工事現場など大型工事への対応と、埋戻し
作業者人員削減とコストダウンをはかるため、埋戻しスラリー製造に必要なフ
ルイ機、水タンク、固化材サイロ、ミキサー、ストックタンクなどを大型化し
一式を全て揃えるとともに、5つのユニットに分割して、運搬・移動を容易に
したものです。
 今後は、当プラントを導入することで、埋戻し工費において10%以上のコス
トダウンが見込まれますが、その活用を最大限にはかるとともに、それを通じ
て建設発生土の廃棄処分ならびに埋戻し用山砂の採取を削減し、資源の有効利
用、廃棄物の抑制、山砂採取に伴う自然破壊の防止に役立てていきたいと考え
ております。
                                                           以 上


                                                      (添付資料1)

             スラリー埋戻し材製造・実用大型プラントの開発の概要


1. 開発主体
    ・東京電力株式会社
     (半固定式プラントの基本構想検討、半固定式プラント部分性能試験)
      住所:東京都千代田区内幸町1-1-3    TEL 03-3501-8111
      社長:荒木 浩

    ・株式会社関電工
    (半固定式プラントの基本構想検討、半固定式プラント部分性能試験、
      大型プラント設計・製作)
      住所:東京都港区芝浦4-8-33        TEL 03-5476-2111
      社長:星野 聰史

2. 開発期間
    ・共同研究                              平成8年4月~平成9年3月
   (東京電力~電力技術研究所、関電工~電力本部)
    ・大型プラント製作             平成9年10月~平成10年7月
    ・試験適用               平成10年7月
      (環七東海松原橋管路新設工事)

3.  開発費用
   ・共同開発費       東京電力  3,455万円
                      関電工     3,455万円
    ・大型プラント製作費     関電工  10,500万円

4.  主な特長(能力)

(1)コストダウン効果
 今回実用化した大型プラントを活用することによる東京電力のコストダウン
 効果は年間で約1億円を見込んでおり、最初の適用件名は「環七東海松原橋
 管路新設工事」(工期:平成7年3月~12年3月)であり、同工事の埋戻し
 工費に関しては約14%のコストダウンが見込まれる。
(2)製造能力が従来型の3~4倍
  製造能力が従来型(水、発生土をスラリープラント車のミキサーに投入し、
 固化材と混練し製造)の3~4倍の1日あたり120m3以上であり、電力用マ
 ンホールなどの大型地下構造物の埋戻しにも対応可能。
(3)埋戻し作業人員の削減が可能
  従来型は埋戻し現場での製造作業のため最低10人の作業者が必要(水タンク
 車、ダンプ車、掘削機、プラント車の操作)であったが、今回の大型プラン
 トはプラントでスラリー材を作り、ミキサー車で埋戻し現場に運ぶため、作
 業者が5名で済む。
(4)工事区域の移動に対応可能
 今回の大型プラントは、複数ブロックへの分割が可能であり、それらを組み
 合わせて設置する「半固定式」であるため、プラントの移動が可能となり地
 中管路工事など工事区域が複数にわたるものにも対応可能。

 

                 スラリー埋戻し材大型プラントQ&A

Q1.スラリーとは?
 A. 英語のSLURRYで、「泥水状のもの」の意
   建設発生土に水と固化材を混練して製造する泥水状の埋戻し材で、流し込 
   むだけで狭隘部への確実な充填が行え、一定時間後に固化する新しい埋戻 
   し材料のこと。一般に、流動化処理土と呼ばれる。

Q2.「環7東海松原橋管路新設工事」の概要
 A.この工事は大田区大井埠頭内に建設予定の新大田変電所から環状7号線の
  道路下を占用し、国道1号線までの管路を新設するものである。これにより
  首都圏南部(大田区、港区、品川区)の電力需要増加に対応する。
  ・工事区間 大田区東海4丁目~大田区東馬込1丁目
  ・工事期間 平成7年3月~平成12年3月
  ・工事規模 シールドトンネル内径6.4m トンネル長さ=1,731m
        シールドトンネル内径4.3m トンネル長さ=5,132m
        開削トンネル          トンネル長さ=   47m
        立坑および換気孔  9個

Q3.具体的には「環7東海松原橋管路新設工事」のどの工事において、今回の
  プラントを使用するのか。
 A.以下の埋戻し工事に使用した。
   C換気孔:平面掘削幅   11.4m、
        平面掘削長さ  13.2m
        掘削の深さ    6.3m
        建設発生土量 702m3
               埋戻し量   135m3 (埋戻し用砂)
                          230m3 (流動化処理土)
   D換気孔:平面掘削幅    8.0m、
        平面掘削長さ  16.0m   
               掘削の深さ   12.6m
               建設発生土量1000m3                          
               埋戻し量   150m3 (埋戻し用砂)           
                          400m3 (流動化処理土)         

Q4.プラントの「半固定式」とは、普通のプラントとどう違うのか?
 A.「半固定式」とは、プラントの構成機器をいくつかのブロックに分割し、
  現場でそれらを組み合わせて設置する方式。一旦設置してしまうと移設出来
  ない普通の固定式(永久設置式)プラントと異なり、必要に応じ分解・運搬
  ・組立による移設が可能なので、供給エリアの変動等に柔軟に対応できる。
  本プラントの移設に要する日数は、10日間程度。

Q5.年間に発生する建設発生土量、埋戻し量はどのくらいか?
 A.東京電力の平成9年度の実績は、
                工務関係   配電関係     合計
          建設発生土量      21万m3     62万m3         83万m3
          埋め戻し 量      13万m3     56万m3        69万m3
                         (残土処理量の6割)  (残土処理量の9割)
      ちなみに、全国の年間建設発生土は44,600万m3であり(平成7年度)、
     これは東京ドーム約360杯分に相当する。
 



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