平成10年8月11日
東京電力株式会社
当社は、8月12日から、福島第一原子力発電所2号機(沸騰水型、定格
出力78万4千キロワット)の第17回定期検査を開始いたします。
なお、定期検査は電気事業法により前回定期検査の終了から13か月以内
に実施することになっておりますが、本定期検査はこの13か月を12日間繰
り延べて開始いたします。
これは、定期検査中の同所3号機の停止期間が、シュラウド等の取替工
事の延長等により8月中旬まで延びたことから、本2号機と3号機が同時
に停止することを極力回避し、夏期供給力の裕度を確保するため、電気事
業法に基づき、定期検査時期変更の承認を得て行うものです。
また、本定期検査では、3号機に引き続きシュラウド等炉内構造物の取
替工事を行います。
1.定期検査のための停止期間
平成10年8月12日から約330日間
2.定期検査を実施する主な設備
(1)原子炉本体
(2)原子炉冷却系統設備
(3)計測制御系統設備
(4)燃料設備
(5)放射線管理設備
(6)廃棄設備
(7)原子炉格納施設
(8)非常用予備発電装置
(9)蒸気タービン
3.定期検査中に実施する主な工事等
(1)燃料集合体の取替え
燃料集合体548本中約160本を取り替える予定です。
(2)出力領域計装検出器の取替え
出力領域計装検出器31本全数を取り替える予定です。
(3)シュラウド等の取替え
応力腐食割れに対する予防保全として一層の信頼性向上を図るた
め、シュラウド等を取り替える予定です。
(4)制御棒の取替え
福島第二原子力発電所1号機等で不具合のあった同型の制御棒を
実績のある他タイプの制御棒に取り替える予定です。
(5)アクシデントマネジメント対策工事
アクシデントマネジメント対策として、原子炉減圧の自動化、耐
圧強化ベント設備の追加等の工事を実施する予定です。
(注)アクシデントマネジメントとは、原子炉施設の安全性に関し、その
安全性をより一層高めるために努力を重ねることが大切であるとの観
点から、原子炉の設計における多重防護の配慮に加えて、現実には起
こるとは考えられない炉心損傷に至る事故(シビアアクシデント)に
対しても、その発生の防止、影響を緩和するための措置を講じておく
というもので、原子炉設置者である電力会社が自主的に行うこととし
ています。
以 上
<参考>当社原子力発電所の現況
福島第一・1号機(46万キロワット) 運転中
2号機(78万4,000キロワット) 8月12日から
定期検査開始予定
3号機(78万4,000キロワット) 計画点検中
4号機(78万4,000キロワット) 運転中
5号機(78万4,000キロワット) 運転中
6号機(110万キロワット) 運転中
福島第二・1号機(110万キロワット) 運転中
2号機(110万キロワット) 調整運転中
3号機(110万キロワット) 運転中
4号機(110万キロワット) 運転中
柏崎刈羽・1号機(110万キロワット) 運転中
2号機(110万キロワット) 運転中
3号機(110万キロワット) 定期検査中
4号機(110万キロワット) 運転中
5号機(110万キロワット) 運転中
6号機(135万6,000キロワット) 運転中
7号機(135万6,000キロワット) 調整運転中
シュラウド等の取替えについて
定期検査中に実施する主な工事のうち(3)シュラウド等の取替え
については、炉内構造物の予防保全対策工事として、応力腐食割れの
感受性が比較的高いステンレス鋼(SUS304)を使用しているシュラウ
ド等を感受性が極めて低い材料(SUS316L)に取り替えるものです。
今後、福島第一原子力発電所のSUS304を使用している1、5号機の
シュラウドについても、定期検査のスケジュールに合わせて順次取り
替える計画です。
※ シュラウド:燃料集合体全体を包んでいる円筒形の隔壁で炉心を
下から上に流れる水の流路を確保している。
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