平成10年4月14日
東京電力株式会社
すでにお知らせいたしましたとおり、当社・柏崎刈羽原子力発電所3号機
(沸騰水型、定格出力110 万キロワット)は、定格出力にて運転中のところ
2台ある原子炉冷却材再循環ポンプ(PLRポンプ)(注1)のうち1台
(A号機)が自動停止し、出力が54万キロワットに低下したため、原子炉を
停止し(4月6日)、原因調査を行ってまいりました。
調査の結果、「可変周波数電源装置」(注2)の制御回路において誤信号
が発生し、それにより同装置に過電流が流れ、結果としてPLRポンプが自
動停止したものと推定されました。
このため、以下の対策を実施することと致しました。
(1)当該可変周波数電源装置制御回路の主制御ユニット基板を新品に取替
える。
(2)過電流発生時に待機系(バックアップ)の制御回路への切替が的確に
行われるよう、制御ロジック(注3)を過電流が急速に減衰できるよう
変更する。
なお、ポンプが停止に至った原因の詳細については以下のとおりです。
(1)PLRポンプ(A)の可変周波数電源装置において、2系統のうち使
用中の制御回路の「主制御ユニット基板」(注4)のインバータ(注5)
制御部に、一過性のものと推定される誤信号が発生しました。このため、
同電源装置のインバータが短絡して、過電流が発生しました。
(2)2系統の制御回路は、使用中の制御回路が故障すると、バックアップ
の制御回路へ切替えられることになっておりますが、今回は、発生した
過電流の減衰が遅く、切替可能時間内にリセットされなかったため切替
が的確に行われませんでした。
その後、切替前の制御回路に復帰し制御を開始したものの、再び過電
流となってしまい、PLRポンプ(A)が停止しました。
また、資源エネルギー庁による国際原子力事象評価尺度(INES)暫定
評価では、0-とされております。
以 上
(注1)PLRポンプ:原子炉内の冷却材を循環するためのポンプで、ポン
プ回転数を変えることにより、冷却材流量を増減させ、原子炉出力
を増減させます。
(注2)可変周波数電源装置:同電源装置の出力周波数を変えることにより
、PLRポンプの速度を制御してポンプの回転数を変化させ、冷却
材流量を増減させます。この可変周波数電源装置をインバータと呼
ぶ場合もあります。ちなみにインバータエアコンにもこの装置が使
用されています。
(注3)制御ロジック:制御ロジックの変更とは、過電流発生時に急速減衰
動作が行われるように基板上の論理回路を変更することです。
(注4)主制御ユニット基板:PLRポンプ速度を調整するためのユニット
(半導体や抵抗、コンデンサ等の多数の電気部品で構成されたもの)
を集積した基板です。
(注5)インバータ:直流電力を所定の周波数の交流に変える装置で、サイ
リスタと呼ばれる半導体素子により構成されたものです。
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