平成10年3月27日
東京電力株式会社
「平成10年度経営計画の概要」は、東京電力が10年度に取り組む経営効
率化計画と電力供給計画など、経営の諸計画の概要についてとりまとめた
ものです。
10年度は、景気の先行きが不透明であることや電気料金引下げが収支に
与える影響など、厳しい経営環境が予想されます。当社は、設備投資を
100%自己資金でまかなうことを目標に、IPPとの価格競争や国内外の
コスト比較をふまえて、電源・流通設備面でのコストダウンや負荷平準化
をさらに徹底するとともに、業務全般にわたるスリム化を進め、経営基盤
の強化に努めてまいります。
平成10年度の経営計画の具体的内容は、以下の通りです。
<安定供給の確保を基本に今後10年間に約2,000万kWの電源開発を計画>
10年度の販売電力量は、産業用需要が低い伸びに止まることなどから
1.7%増と低めの伸びを予想しています。中長期的には、産業用需要の伸
びが鈍化するものの、高齢化やアメニティー志向の高まりなどを背景に、
生活関連需要は堅調に伸び、8年度から19年度までに販売電力量で年平均
2.2%(気温補正後)、最大電力で同2.0%(気温補正後)の伸びとなると
見通しております。
こうした電力需要の伸びに対応し、今後10年間に、新たに2,071万kWの
電源増強に取り組みます。安定供給とエネルギーセキュリティの確保を基
本に、電源および流通を総合した経済性、環境適合性などに配慮しつつ、
原子力を中核として石炭火力、LNG火力、揚水式水力等を組み合わせ、
バランスのとれた電源のベストミックスを着実に推進します。また、電源
入札制度を活用し、経済的に優れたIPP電源を調達することにより供給
コストの一層の低減を図ります。
<平成10年度の設備投資は対前回計画835億円減の1.38兆円>
設備形成にあたっては、電源・流通設備面でのさらなるコストダウンを
めざし、新技術の開発・導入、設計・施工方法の見直し、資機材調達の工
夫などを一層進めます。10年度の設備投資額を前回計画の1.47兆円から
1.38兆円に削減するとともに、10~12年度の3年間平均の投資額を1.40兆
円以下とします。
また、財務体質の改善に向け、自己資金でまかなえる設備投資額水準と
することを目標に、10年度の自己資金比率を100%とします。
<原子力の推進と環境保全への取り組み>
資源を海外に依存するわが国にとって、原子力は、エネルギーセキュリ
ティ確保のため不可欠であり、地球温暖化防止にとっても重要な役割を果
たします。当社は、原子力建設・立地推進とともに原子燃料サイクルの確
立に引き続き努力します。原子力の推進にあたっては、安全管理を徹底し
、地域の皆さまや多くの方々からのご理解・ご信頼をいただくことを最重
点課題として取り組みます。
また、今後とも環境対策を経営の重点に置き、原子力を中心とする電源
ベストミックスの推進等によるCO2排出量の抑制や、大気汚染防止対策、
廃棄物の減容量化・リサイクルなどに取り組みます。
<DSMの強力な推進で5年間で85万kWのピークシフト>
ピーク需要が尖鋭化し、負荷率が低下傾向にある中で、投資額を抑制す
るためには、需要面の方策(DSM)による負荷の平準化が極めて重要で
す。
引き続き、DSM機器の開発・普及、需給調整契約へのご加入拡大、電
気料金制度・普及奨励金等によるDSMへのインセンティブの拡充などに
取り組みます。
以上により、8年度から12年度までの5年間で最大電力をさらに85万kW
シフトすることをめざします。
<その他経営効率化の徹底>
販売電力量あたり修繕費を低減し、10年度の修繕費を6,100億円(10~
12年度の3年間平均で6,100億円以下)とするとともに、原子力設備利用
率および火力熱効率の向上等により設備運用の効率化を図ります。また、
諸経費の抑制や社員数の抑制等、業務運営の効率化にも努め、経営全般に
わたる効率化を一層徹底します。
当社は、将来にわたってお客さまに「電気はやはり東京電力」と信頼さ
れ、選んでいただけるよう、経営の効率化をさらに加速するとともに、お
客さまに喜んでいただけるサービスを展開していきます。
以 上
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