平成9年7月28日
東京電力株式会社
当社はこのたび、96年度における当社の環境問題に対する取り組みの成
果や今後の対応などを97年版「環境行動レポート」としてまとめました。
本レポートは、環境保全、環境問題への当社の取り組みについて、社会
の皆さまにご紹介し、ご理解いただくとともに、広くご意見を承り、今後
の活動に活かしていく目的で、92年版から毎年公表しているもので、今年
で6回目となります。
96年度の主な取り組みとその実績は以下のとおりです。
(1)CO2排出量は、原単位ともども減少
当社の96年度のCO2排出量は、炭素換算で前年度より120万t
減少して2,360万tとなり、排出原単位(1kWhの電気を発電する
ときに発生するCO2の量)も前年度の86グラム-C/kWh(注1)
から81グラム-C/kWhに減少しました。
これは、96年度の発電電力量が、夏場の気温が前年度に比べて低く
暖冬でもあったため、前年度とほぼ同じ水準にとどまる一方、CO2
が発生しない原子力発電の発電電力量が、柏崎刈羽原子力発電所6号
機の運転開始などにより増加し、火力発電電力量およびその比率が減
少したことなどによるものです。
当社は、原子力発電を中心とする電源のベストミックスの推進、火
力発電熱効率の向上、送配電ロス率の低減などに努めていますが、こ
れらはいずれもCO2排出量の抑制に有効です。これらの施策による
96年度の排出抑制量は3,300万t-C以上と試算されます。
(注1)「グラム-C/kWh」とは、1kWhの電気を発電するときに
発生するCO2量を炭素換算で表した単位。
(2)SOx、NOxの排出原単位は火力発電電力量の減少やLNG比率の
増加によりさらに減少
当社の96年度の硫黄酸化物(SOx)の排出原単位は、前年度の
0.12グラム/kWhから 0.09グラム/kWhに減少し、また窒素酸化物
(NOx)の排出原単位も前年度の0.15グラム/kWhから0.13グラム/
kWhに減少しました。
これは、前述した理由により、火力発電電力量が減少したことに加
え、SOxを出さず、NOxの抑制にも効果的な液化天然ガス(LNG)
の火力発電用燃料に占める割合が増加したことなどによるものです。な
お、これらの実績は、欧米主要国と比べても極めて低い水準にあります。
(3)規制対象フロン類は実消費量、修正消費量ともに大幅に改善
オゾンを破壊しないフロンや非フロン系洗浄剤への切り替えなどを
引き続き実施した結果、当社の96年度の規制対象フロン類の実消費量
は33.9tで、前年度に比べて31%も減少しました。また、オゾンに与
える影響度を考慮した修正消費量(注2)でも12.6ODP-tと、48%
もの大幅な減少となりました。
(注2)修正消費量とは、フロンの種類ごとの実消費量に、各フロンの
オゾンへの影響度を表す「オゾン破壊係数」(ODP=Ozone
Depletion Potential)をかけて算出したもの。フロンの種類に
より、オゾンへの影響の大きさが異なる。
(4)産業廃棄物の再資源化率は93%を達成
96年度の当社の産業廃棄物の発生量は275,100tでしたが、その93
%に相当する254,800tを再資源化し、活用しました。当社の96年度
の産業廃棄物の再資源化率93%は、日本の再資源化率(39%,1993年
度)を大きく上回っています。残りの廃棄物は埋立処分をしておりま
すが、その量は前年度に比べ1,800t少ない16,400tとなりました。
これは、89年度実績に比べ48%の減少であり、「96年度には89年度
を基準として20%以上削減する」という当社の管理目標を十分に達成
することができました。
(5)環境管理規程の制定と新たな環境管理・監査システムの導入
96年11月に、当社のこれまでの環境への取り組みを整理し、見直し
た「環境管理規程」を新たに制定し、当社の環境管理に関する責任体
制や各部門・各店所の役割をより明確にするとともに、新たな環境管
理・監査システムの全社的な枠組みを定めました。
また、企業行動の透明性・客観性を求める社会的な期待に応えると
ともに今後の環境管理を一層充実させていくために、支店・発電所な
どへISO規格の考え方に沿った環境管理・監査システムを導入しま
した。
以上の内容のほか、今回のレポートでは、新たに「安全・社会貢献」の
項を設け、当社の防災対策や地域社会との連携・協調活動についても紹介
するなど、新たな情報・テーマを加えたより幅広い内容となっています。
当社は今後とも、環境保全・省エネルギー・省資源に配慮した事業活動
を、社会の皆さまのご理解をいただきながら、自主的かつ積極的に展開し
てまいります。
以 上
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